最終話 『10年頑張る』を『毎回リセットして500億セット』というのは可能だが、『5000億年頑張る』というのは無理。
最終話 『10年頑張る』を『毎回リセットして500億セット』というのは可能だが、『5000億年頑張る』というのは無理。
「お前は凡だからなぁ! そういう浅い常識の中でパチャパチャすることしかできない! だが、俺は天才だから、お前の想像のナナメ100歩上をいく! それだけじゃない! 俺は、お前を鍛えてやった! お前の固有神化を覚醒させただけじゃ飽き足らず、『固有神化2』まで引き上げ、その上で、さらに、戦闘力をとことん磨いてやった! 苦労したぞ! 卓球で例えれば、ラケットの握り方から教えてやったみたいなもんだ! どうだ! すごいだろ! 這いつくばって、感謝しろ! とりあえず、いったん、俺のケツをなめろ!」
「わかった、わかった。そんなになめてほしいなら、なめたるから、ケツだせや」
「よるな、無礼者! 汚らわしい! 人のケツをなめたがるとは、とんだ性犯罪者が! てめぇは、そんなんだから、アレなんだ! 何がどうとは言えんけど! アレだ! とにかくアレなんだぁあああああ!! うわぁあああああ!!」
「やっかましいのう。もう、ただの危ない人やん」
と、だるそうにつぶやいてから、
「どうやら、もう、だいぶ、キとるっぽいな……ん……」
そこで、田中は、頭の中に、記憶が注ぎ込まれていく感覚を覚えた。
天星神化2への覚醒により、メモリが爆裂に膨れ上がった結果、『記憶の引継ぎ』にもリソースを注げるようになった。
「……お、だんだん、記憶も回収できてきた。うん、この感じの記憶回収やったら。問題ないね。……で、えっと……今回で、2億8953万7786回目か……おお、すごい回数やっとんな」
ループ前に経験したことすべてを思い出すわけではない。
それをすると、脳が『時間の連続性』を感じてしまい、将来的に精神が崩壊する可能性がある。
『10年頑張る』を『毎回リセットして500億セット』というのは可能だが、『5000億年頑張る』というのは無理。
田中は、自分が『何百億年級の記憶の負荷』に耐えられるとは思っていない。
ゆえに、その手の形にならないように調整した。
イメージ的には、『単語帳で、歴史の重要語句を確認する』といった感じ。
『現状を認識する上で大事になる、断片的なデータ』だけをインストールする。
「こんだけの回数ループしたら、そら、壊れるわなぁ……てか、こんだけやって、壊れん方がどうかしとる」
「回数で壊れたんじゃねぇ! てめぇのせいだぁああああ!」
と、叫びながら、
センは、田中の胸倉をつかみ上げる。
「俺の根性があれば、この程度のループ、何億回やろうと、壊れはしねぇ! てめぇだ! てめぇが、俺の神経を、とことん逆撫でしたから、こんなことになったんだ! つまり、お前が全部悪い! 俺は悪くない! 俺が悪かったことなど一度もない!」
ぴーぴー、キーキー、ワーワーと、騒ぐだけ騒ぎ散らかしたセンエース。
とても命の王とは思えない。
どこからどう見ても、ただのDQNです。
本当にありがとうございました。




