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後編

 もう一度お金を投入し今度は幼く見せるを選択して撮った。

 なんだろう? この不思議な気持ちは。

 友達なのに……友達じゃないような。

 楽しいのは楽しいんだけど……すっごくドキドキしてる。

 もしかして……私、マリナに恋しちゃってる?

 再び撮影が終わり落書きコーナーに移動した。

 恋と意識し始めてからマリナを直視することが出来ない。

 指や手を見るだけでドキドキしてしまう。

 これじゃ、落書きに集中できないよ……。

 マリナは先程と同じように笑顔で落書きを進めている。

 なんか、マリナに主導権を握られてどんどんペースを乱されている気がする。

 どこかで起死回生、一発逆転の行動を起こさないとペースに呑まれ捕食されてしまう。

 ……ん? 今って二人きりの状況だよね?

 落書きコーナーはプラのシートで遮られ外から覗き見ることは不可能になっている。

 画面と椅子の間の空間はほぼなく私とマリナはほぼ密接状態。

 監視カメラも今のこの状態を見ることは不可能。

 マリナの顔を見ようとするが、どうしても唇に目が行ってしまう。

 もう一度、もう一度だけキスをしてさっきの快感を。

「ねぇマリナ……」

「ん? どうし――」

 マリナが顔をこちらに向けた瞬間……唇を奪った。

「んん!」

 マリナは驚いて何か喋り、訴えているがキスで封じ込めているため聞こえない。

 最初こそ抵抗して離れようとして私を押しのけていたが、優しく抱きしめているうちに徐々に抵抗する力が無くなり開けていた目もゆっくりと閉じた。

(かわいい……)

 恥ずかしがり無抵抗のマリナはとてもかわいい。

 口に出してかわいいと言ってあげたいけど生憎キスをしているため喋ることが出来ない。

 唇を剥がすとマリナはゆっくりと、とろんとした目を開いた。

「かわいいよ。マリナ」

「んぅ……ばかぁ」

 最初のマリナからのキスによって完全にリミッターが壊れてしまったのだろう。

 一度快感を味わってしまったら後戻りすることはもうできない。

 レズだろうが百合だろうが関係ない。

 私はマリナを愛している。

 それ故にめちゃくちゃにしたい。

 今見ている蕩けた顔も声もマリナの全てを私だけが独占したい。


『ボーナスタイムスタート!』


 機械が落書き時間を延長することを告げた。

 当然、落書きなど出来ずに私たちは見つめ合っている。

「ねぇマリナ」

「どうしたの?」

「もう一回だけ……キスしよ」

「……うん」

 今度は確認をしてからキスをした。

 最初こそ目を開いていたがマリナが目をゆっくりと閉じた。

 優しく唇と唇が触れ合い、ちゅっ、と音を立てる。

 何回もキスを繰り返すうちに少しずつ口のガードが緩み舌と舌が触れ合う。

 舌が触れ合った瞬間お互いにリミッターが外れ、普通のキスではなく舌と舌が濃厚に絡み合うフレンチキスをし始める。

 ちゅっ、ちゅぱっ、など少し卑猥な音をさせながらマリナとのキスを楽しんだ。


『落書きタイム終了! 出口から印刷されるから少し待ってね』


 盛り上がっている最中、機械が水を刺してきた。

 渋々キスを辞めると、

「んぅ……まだカオリと一緒に居たい!」

「私も、まだマリナと一緒に居たい!」

 お互いに気持ちは一緒だった。

 だが、個室でイチャイチャできる場所となると近場にはカラオケしかない。

 カラオケには防犯カメラが付いていて不貞行為は監視されている。

 そもそも、カラオケは歌を歌う場所なので行為が始まった瞬間電話がかかってくるか、店員さんが入室してくるだろう。

 けど……気持ちは一向に収まる気がしない。

 一体どうすれば……と悩んでいるとマリナが提案をしてきた。

「夕方まで親帰ってこないからさ家おいでよ」

「え……でも」

「カオリは続きしたくないの?」

「……」

「続き……出来るんだよ? 私とカオリだけの空間で誰にも邪魔されず、気にする必要もなく」

「そうだけど……本当にいいの?」

「私達付き合ってるんだよ? ダメなわけないじゃんっ!」

 印刷されたプリクラを近くにあったハサミで切り2人で分けた。

 1枚目はすごくデコレーションされているのに2枚目はほぼ手付かずの状態だ。

 ……私のせいなんだけど。

 落書きの時のキスを思い出すと顔が熱くなるのを感じた。

「それじゃ善は急げ! 私の家に行こー!」

「う、うんっ!」

 マリナに手を引かれいつもより少し早いペースで歩きながらマリナの家に向かった。





 少し歩くとマリナの家が見えてきた。

 なんというんだろう……。

 ヒロインはこんな家に住んでいて欲しいなと思うような理想的なお家。

 柵で家が囲まれて洋風の家が引き立っている。

 2階建ての“とても”オシャレなお家。

 門の前まで来て急に足が竦んでしまう。

「ね、ねぇ……本当にいいの?」

「へぇ~。ここまで来て辞めちゃうんだ」

「いや、その……辞めるとか辞めないじゃなくて」

「じゃあ問題ないよね?」

「う、うん……」

 家のドアを開けた瞬間マリナの家の匂いが私を包み込む。

 他人の家の匂いが久しぶりでとても新鮮だ。

 玄関を入り、靴を脱いで手洗いうがいを終えてマリナの部屋に向かう。

 2階に上がり少し歩くと“マリナの部屋”と掲げられた一室にたどり着いた。

 部屋に入るとThe女の子という感じの部屋。

 ベッドにくまさんのぬいぐるみ。

 勉強机には不必要なものは一切置いておらず服も脱ぎ散らかされていない。

 女子力だ……部屋そのものが女子力で出来ているに違いない。

「ほらほらー、早くしよ?」

「えっ……ちょっと」

 戸惑う私を置き去りにし、脱いだブレザーをハンガーにかける。

「ほら〜。はーやーくー!」

「え、えぇ……」

 マリナにされるがままブレザーを脱がされワイシャツ姿にされてしまった。

 お互いワイシャツにスカート姿になり不思議な雰囲気。

 マリナが外から覗かれる心配を無くすためにカーテンを閉めて部屋が薄暗くなった。

 ワイシャツに透けて見えるマリナの可愛い下着に目がついつい行ってしまう。

「ちょっと! ……どこ見てんの?」

 マリナが慌てて胸を隠す。

「え、いや……そ、そんなつもりじゃ」

「何色だった?」

「……わ、分からない」

「本当は?」

「……水色」

「見てんじゃん」

 マリナに“本当は?”と問い詰められるとどうしても隠すことが出来ない。

 それに下着を透けて見た事により心臓がさっきより早く鼓動している。

「ぎゅ~!」

 硬直している私に可愛く甘えてハグをしてくる。

 故意にやっているのか分からないがとてつもなくかわいい……例えるなら餌を欲しがる子猫に近い。

 それも強く抱き締めて来るのではなく背中には手を添えるだけ、くっついているという感じに近い。

 目を閉じ私もマリナの背中に手を回し体をくっつけハグをする。

 ゆっくりと目を開けると……唇がとても近い距離にある。

 ほんの少し踏み出せばまたマリナとキスができる……けどいいんだろうか?

「ねぇ……本当に本当にいいの?」

「もうっ、いい加減しつこい!」

 少し怒り口調でマリナがキスをしてきた。

 また唇が触れ合い脳に焼き付いた快感が蘇り、体が疼く。

 上唇と下唇の隙間から舌を侵入させマリナの舌と絡め合わせる。

 舌同士が触れ合った瞬間体中に電撃が走り抜けた。

「んぁ……」

「カオリ、かわいい♡」

「マリナの方がかわいいよぉ」

「んっ♡」

 一度キスをやめてお互いに褒め合いまたキスを始める。

 さっきより濃厚にそして長くじっくりとゆっくりと。

 体中、脳の隅々まで相手に浸透するように甘えて攻める。

「ねぇ……ベッド行こ?」

「う、うん」

 マリナからの誘いに戸惑いながらも同意した。

 お互いに服を脱がし下着姿になった。

「カオリは胸でかくていいな~」

「いいことなんてないよ……私はマリナくらいが良かった。だって男子と話す時絶対、ぜぇーったい胸に視線が落ちるもん」

「なんか……羨ましいんだけど、嫌だね」

「男子なんて大きいおっぱいにしか興味無いんだ……私なんておっぱいだけの存在なんだ……」

「そんなことない! 私の愛し、愛された最高の恋人、世界でたった一人しかいない大切なかけがえのない存在なんだから!」

「マリナ……大好き! 愛してる!」

「私もカオリのこと大好きだし愛してるよ」

 同性ということもありどこが感じやすいかを熟知しておりお互いにお互いを攻め合い求めあった。

 時間という存在を完全に忘れ私とマリナは疲れ果て瀕死状態に近かった。

「好き……だよ♡」

「私も。大好き♡」

 頭をマリナの胸に当てると優しく腕で包み込んでくれた。

 いつの間にかマリナの胸の中でゆっくりと安らかな眠りに就いていた。




 ピピピピピ!

 携帯の着信音で夢の世界から現実に引き戻される

「え!? あ……も、もしもし」

『ちょっと、今どこをほっつき歩いてるの? もう19時よ? 道草食ってないで早く帰っておいで』

「あ、うん。今マリナちゃんの家にいるから急いで帰るよ」

『くれぐれも夜遅いんだから気をつけて帰ってくるのよ~』

「はい。わかりました」

 ピッ!

「何? お母さん?」

 電話を切ったのを確認するとマリナが話しかけてきた。説得してみるよ

「うん。この歳にもなって心配しすぎなんだよ」

「いい事じゃん。心配して貰えるって」

「えぇ……こっちからするとウザイだけだよ」

「めっ! そんなこと言わないの。ほら、制服着て早くお家に帰るよ」

「やだ! このままマリナといたい!」

「わがまま言わないの。うーん、それじゃ今度は泊まりで来なよ」

「え!? お泊まり?」

「何を驚いてるのよ。私の彼女でしょ? 恋人ならお泊りくらい当然のことでしょ」

「お泊り……許してくれるかな?」

「あれれ? 大切な彼女のお願いなのに聞いてくれないのかな?」

「うぅぅ……大切な彼女の頼みだし何とか親を説得してみるよ」

 制服を着て帰る準備を進める。

 マリナと一時的とはいえお別れするのは寂しいけどこれ以上一緒にいたら色々とヤバい。

「また明日」

「うん! また学校でね」


 ちゅっ!


 玄関でマリナとお別れのキスをする。

 昨日したキスと同じはずなのに何回もしたせいだろうか、当たり前でないと困る存在になりかけていた。

 依存症になりかけているかもしれないがこれからはずっとマリナと一緒にいることが出来る。

 喧嘩だってすることがあるだろうしお互いに強く反発してしまうこともあるかもしれない。

 世間から非難の目で見られて親からも見放されてしまうかもしれない。

 それでも私はマリナと幸せな未来を描くために何があってもマリナと一緒に考え相談し納得のいく選択をしていこうと思う。

 まだまだ私たちの恋愛は始まったばかりだ。

 これからもっとたくさん大事で、大切な思い出を作っていこう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘お願いいたします。

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