トリック・オア・トリートは合言葉
「トリック・オア・トリート」
オムライスを作る準備をしていた俺は、リビングで夕食前におやつを食べている、妹のミカにそう声をかけた。
今、この家には俺と妹しかいない。
父は僕が五歳の頃に離婚して出ていき、母は俺たちを育てるために、遅くまで働くことが多くなった。
そのため、家事の全般を俺がしている。
ミカが驚いた顔で振り返り、俺の方を見てきた。
「え?」
「トリック・オア・トリート」
俺はそう言葉を繰り返し、夕食の準備を止め、ソファーに座るミカの前に行く。
毎年、ミカの方から言ってくることだ。
今年は、言われる前に言ってやった。
あの行為を止めるために……
「トリック?」
サイドテールの髪を揺らし、俺を見上げてそう声をだした。
「本気か?」
「うん……」
そう短く返事をして、目を閉じてしまう。
お菓子なら、手元にあるのに。
何かを期待するように頬を赤く染め、俺を見上げてくる。
最初は、冗談だと思っていた。
ミカが小学六年生の時にこの行為は、始まったのだ。
俺に、「トリック・オア・トリート」と聞いてきたので、お菓子を持っていなかったため、「トリック」と、返事をした俺の頬にミカはキスをしてきた。
それから中学二年まで、毎年のように俺の頬にキスをしてきたのだが、去年は口にしてきたのだ。
ファーストキスだった。
唇と唇が軽く触れただけなのに、ミカの唇は柔らかく、マシュマロのようだと思った。
唐突の出来事に驚く俺を残して、ミカはその場を逃げたのだ。
少し時間がたってから、「本気で、お兄ちゃんが好きなの」と、告白された。
俺たちは兄妹だ。そんなの間違っている。間違っているはずなのに、俺はその言葉が嬉しかった。
だから俺は少し待って欲しいと言って、来年に返事をする事を約束したのだ。
今から返事をする。
言葉ではなく、キスという形で。
「ミカ……」
妹の唇を奪う。
「ア、ンッ」
頬を撫でると、小さく声を漏らした。
僕はそのまま、舌をいれていく。
妹の唾液はどこか甘く、時間を忘れて何時までもこうしていたいと思わせてくる。
「ミカ、僕も好きだ」
物足りなさを感じながらも口を離し、そう耳元でささやく。
「嬉しい……お兄ちゃん、大好き」
そう言って、微笑むミカの瞳から涙が流れていた。
「ゴメンな、待たせて……」
ミカの頬を伝う涙を指で拭って、謝罪する。
ダメなことなのに、兄として止めなくてはならない立場なのに、俺はミカの気持ちを受け止めることを選んだ。
いや、他の男に取られたくなかった。
俺も好きだったんだ。
その思いに気づかないふりをして、何時しか蓋をしていた。
もう、止まれない――
ミカの頬を両手で掴み、顔を近づけていく。
目を閉じるミカの唇に口を合わせて、舌をいれる。
舌を絡め、唾液を送り込む。
「はぁ、うん、はぁっ――」
「お兄ひゃん」
口を少し離すと、潤んだ瞳のミカが、拙く俺を呼ぶ。
「ミカ、可愛い」
頭を撫でソファーに押し倒して、口を重ねていく。
「お兄ちゃん、獣みたいな目をしてる……」
「怖いか?」
「ううん、私に夢中になってくれて嬉しい」
手を俺の首に回して、そう言ってくる。
熱っぽい吐息を漏らし、潤んだ瞳で見つめてくるミカに俺はもう、止まれそうになかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから妹はキスをねだる時に、「トリック・オア・トリート?」と、言うようになった。
もちろん俺の回答は――
これは、ハロウィンなのですかね? 笑
どうでしたか兄妹恋愛物です! この後は、ここでは書けないですね(笑)
少しでも楽しんでもらえると嬉しいです!
感想くれると嬉しいです