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第六話 はじめての魔法

 しばらく歩き、とある施設に辿り着いた。

 ここはカルラウリン訓練場。お金を払えば誰でも利用することができ、模擬戦ができる闘技場、湖、森、洞窟などの自然フィールドなど、様々な設備が整っている。

 二人は森林フィールドの魔法試射場へやってきた。

 魔法試射場には遠くの的をねらうシューティングレンジと、実戦形式の訓練ができるフィールドがある。

 今回はオトハの魔法の訓練、試射なのでシューティングレンジに入る。

 受付をし、スタッフに促され、十一番のレンジに入る。


「それじゃあ始めようか」


「はい!」


 オトハが返事をする。


「まず、魔法についてどのくらい知ってる?」


「えっと、火属性、水属性、風属性、地属性、光属性、闇属性があって、使える属性は生まれつきなんですよね」


「うん。そして使える属性は種族によっても異なる。人族は光と闇が使えない。魔族は光、天族は闇が使えないんだ」


 マサミツが空間魔法【次元収納(ストレージ)】からとある六枚の紙を取り出した。

 全て白い小さな紙だが、隅に小さく属性のシンボルが描かれている。


「これはラタリア試験紙と言って、この紙に魔力を流すことで属性適性がわかるんだ」


 このラタリア試験紙はラタリアという果樹に実る果実から取れる果汁を使って作られる。

 ラタリアの果実は熟す前までは透明なのだが、完熟し、鳥などの動物に食べられる時期になると自ら果実に魔力を送る。そうすると、透明だった果実に色が付くのだ。

 その色は各個体によって異なる。

 この特性を利用し、特定の属性の魔力を流したときのみ色が変わる紙を作り出せるのだ。


「これを持って魔力を流してみて」


 オトハが六枚の試験紙を持ち、魔力を流す。

 二枚の試験紙が赤色、緑色に変わった。


「火と風か」


「少ないですか?」


「いや、そもそも複数属性持ちの方が多くない。二属性使えたら充分さ」


 多く属性を持ちすぎても器用貧乏になりやすいので、二属性くらいがちょうどいい。


「ところでマサミツ様は何属性持ちなんですか?」


 そう聞かれ、マサミツは六枚のラタリア試験紙を持ち、魔力を送る。

 すると、試験紙は全て色が変わった。


「俺は全属性持ちだよ」


「え?人族には光と闇は使えないんじゃないんですか?」


 どうして全属性が使えるのか、それについてはマサミツ自身も知りたいと思っている。

 両親がわからない以上、どうして光、闇属性が使えるのかはわからないが。


「まあ、この話は置いておいて、特訓を始めようか」


「はい!」


 マサミツが手のひらを上に向け、拳大の炎を作ってみせる。

 

「これは火属性で最も基本的な【火創生(フィーレ)】という魔法。これを丸くして【火球(フィーレ・ボール)】に派生できるよ」


 マサミツが手を的の方へ向け、火球を放った。

 火球は五十メートル先の的へ当たり、消えた。


「よし、やってみようか。指先から魔力を流すのは出来ていたから、それを手のひらから出してみて。最初は両手で行使するのがいいよ」


 両手の方が魔力コントロールが容易だからだ。

 オトハが【火創生(フィーレ)】を行使すると、両手から炎が高く立ち上った。

火創生(フィーレ)】は行使できるようだ。しかし、炎が安定していない。これは魔力を制御しきれず、暴走してしまっている状態だ。


 マサミツがオトハの魔法に手をかざす。


「魔法を使うときは、魔力を出して、それに輪郭をつけて整えるイメージを持つといいよ」


 そして、炎が先程マサミツが出した火球と同じくらいの大きさになった。


「今のこの制御している感覚を忘れないようにして。今日はこの練習を続けて、終わったら帰ろう」


 日が傾き、夕方頃にはオトハの【火創生(フィーレ)】は拳ほどの大きさで安定するようになった。

 二人はカルラウリン訓練場を後にし、宿へと向かう。

 この国には冒険者優先の宿がいくつかある。

 一般人も泊まることができるが、満員になった場合は冒険者へと譲らないといけない。


 宿に着き、部屋をとる。

 荷物を置いて、夕飯を食べるために外へでた。


「何か食べたい物はある?」


「いえ、マサミツ様におまかせします」


「それじゃあ、俺のお気に入りのお店があるんだ。そこに行こう」

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