2度目の人生
「水琴窟って知ってる?」
「知らない」
「水琴窟とは手水鉢のそばに置かれるもので地面の中の空洞に手水鉢の水を落とした時にカラカラと音が鳴るやつだよ、その音は水滴が落ちた時にヘルツホルム共鳴が起きて、音が増幅されるんだ」
「へー」
「現在は陶琴と呼ばれるものもあって、それは壺状で上に植物を植えて音と植物の色彩とを楽しめるんだ」
「ふーん」
「つまり、その水琴窟にこれから君はなるんだよ」
「なんで?」
「えっと、上の命令なんだよね。最近は物に転生するのにも寛容になってるから。上司にワビサビ文化にすごく興味を持ってる人がいて、水琴窟が今回は選ばれたんだ」
「そっか」
「昔ながらの水琴窟と現代的な陶琴と選べるけどどっちがいい?」
「昔ながらの」
俺はまた死ぬのか、水琴窟として生きるのも悪くないかもしれない。目の前で喋ってるこの謎の人物が何を企んでるのか知らないが、俺は第2の人生をまっとうしてやる
--------
ちょろろろろろ
カン、かん、カコン
〜完〜