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神様のごほうび

作者: みい

彼と出会えたのは、神様の情けなのかな。別れた頃はそんな風に思っていた。だけど、今ならごほうびだったんだと思える。


あの頃、わたしは公私ともに頼り切っていた大好きだった人に振られ、ぽっかりと大きな大きな穴が空いていた。それに、新しい仕事をするようになり、右も左も分からず、心は疲れ切っていた。


そんなわたしを彼は見つけてくれた。さすが人のことを見ている人だった。何に困っているのか、何をどうすればいいのかさえ分からず、ただ闇雲に走り続けてるわたしに、大先輩である彼は自然に手を差し伸べてくれた。天邪鬼で人に優しくされることに恐れさえあるのに、彼の押し付けではない、人を尊重しながら助けてくれる気持ちに、自然と心を開いていった。


ある時、何故私を助けてくれたの?って聞いた。すると、彼はチームだからさ、当然じゃんってサラッと言ってた。あと、君はよく見てるから、先があるって思えたって。本当に嬉しかった。


少しずつ彼とのコミュニケーションも増えていって、少しずつ仕事もうまく行き始めた。たまには、仕事帰りに仕事の愚痴を聞いてもらうことが多かったけど、その頃はまだ彼に優しくされる理由はチームだからっていう仕事上のものだと思ってた。人に優しくされても、いつもうまくいかなくなる。。。それ以上の気持ちをもたないようブレーキをかけていた。


でも会えると嬉しいと思うようになってたし、ある時、休みの日に会おうという話になって、彼の気持ちにも気付いた。これはデートかなって思って、嬉しい反面、覚悟してた。始まれば終わりが来ることを。


不幸症と名付けたこの性質は、いくつもの恋愛の傷が作り上げていったことは否めない。でも、それはきっと性格もあって、破壊に向かって進むようにできてるんだと、最近では諦めもつくようにもなってる。自分が幸せであることが落ち着かないんだ。幸せだなって思えた瞬間が少ない人生だったから。


案の定、彼と数回デートして、わたしの気持ちが盛り上がろうとしている最中、彼との音信が途絶えた。きっと重くなるのを察知して去ったんだと思う。今の時代、LINEをブロックされると、全く知らない人以上に他人になれる、そう思い知った。みんなが繋がってる中で、いちばん繋がりたい人と繋がれない。


あまりのショックに、一向に既読にならないLINEを送り続けた。仕事で悩むとLINE電話を鳴らしたりもした。でももちろん彼が出ることはなかった。


出会った頃、ボロボロだったし、神様は情けで彼を引き合わせてくれたのかなって思ってた。別れたあとも、彼との出会いは神様の情けで、そんなの最初からなくても良かったのにって、最初から優しくしてくれなくてよかったのにって、彼のあの時の優しさや言葉を否定していた。なんなら、そこに気持ちは無かったんじゃないかと、彼の気持ちも否定していた。そうしないとまた折れそうだったから。


そんな別れから一年、がむしゃらに仕事に打ち込んだ。彼がいなくてもしっかりやれてるって思ってもらえるようにってどこかでそう思ってた。

今では仕事でも会えないし、どこでどうしているかも分からなくなってしまった。だけど、あの時彼と出会えたことは、神様の情けじゃなくて、あの時も失恋から立ち直ろうと必死でもがいていたわたしへのごほうびだったんだって、今なら思える。だって、彼はやっぱり特別な人だし、シンプルに彼に出会えたことはわたしのタカラモノなんだ。これはごほうびだよ。なんでか分からないけど、今ようやくそう思える。


もしも、またいつか会えたら、出会ってくれてありがとうって伝えたい。彼にとっても、人生のごほうびだったんだと思える出会いになっていること願ってる。

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