想い出酒
『秋の夜長の歌会』5作品目
僕が死ぬ時、楽しかった想い出はどれくらい残っているだろう…。
思えば、楽しいこと、悲しいこと、辛いこと…。
いろんなことがあった様に思う。
もちろん、忘れてしまっていることもたくさんある。
今、目を閉じて思い出してみる。
ふと、笑みがこぼれる。
どの想い出も今にして思えば過ぎ去った時間でしかない。
そう考えると、今、こうして生きていることに感謝しよう。
縁側に出て空を見上げる。
雲が晴れて、月が顔を出した。
中秋の名月とはよく言ったものだ。
月を眺めながら、僕は酒をすする。
想い出を
一人噛みしめ
月見酒




