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吉原のさくら  作者:
2/13

2話 船出

女衒に連れられてさくらが来たのは、江戸の吉原遊郭。


江戸時代、幕府公認遊郭街が3つ存在した。

京都の島原遊郭、大阪の新町遊郭、そしてさくらが連れてこられた江戸の吉原遊郭。


その中でも、江戸の吉原遊郭は煌びやかで有名であった。


『ここだ。入りな。』

女衒に連れられてきたの、吉原遊郭の中にある『華の郷』という店だった。


『女将、新しい子連れてきたぜ。』

『はいよ。こっちの部屋に連れてきとくれ。』


通された部屋に入ると、鮮やかな赤の着物を身にまとった貫禄のある女性が座っていた。

あまりの威圧感に、さくらは少し萎縮してしまった。


『そこの、私の前に立ってくるっとゆっくり回ってごらん。』

『へっ?』

『しのごの言わずに、言われた通りにしな。』

『は、はい!』


さくらは言われた通りに回ってみせる。

回り終わったさくらを見て、その女性は。


『なかなか素材が良さそうな子だね。

でかしたよ。また、頑張ってくれよ!』

そう言って足元にあった巾着袋を、女衒に手渡す。


『へい!それでは私はこれで…』

女衒は巾着袋を受け取ると、店を後にした。


急に見知らぬ場所に連れてこられ、どうしたらいいかポーッとしていたさくら。


『そこで、ボーッとしてないでここに座りな。』

女性に扇子で指さされた、女性の座る前あたりに座る。


『お前、名はなんという。』

『さ、さくらといいます。』

『そうかい。いいかい、お前にはそれなりの金を払っているんだ。一生懸命働くんだよ。』

『はい。』

『私は、内儀の村雨だよ。

ここを取り仕切ってるものだよ。よろしくね。』

『こ、こちらこそよろしくお願いいたします。』

『お前は、どこの出だい?』

『田舎の農村出でございます。』

『農村の出でにしては、随分と凜としてるね。

お前は磨いたら、もしかしたら原石かもしれないね。』

『…?』


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