第5話 職員会議議事録Number:6
ブクマが日に日に増えてて嬉しいです。
この形式、書いてて楽しかった。定期的に入れようか検討中……
この話に出てくる先生たちが、主人公たちに騙されます
丑三つ時の鶯山中等部。学校に潜む怪異の数々が、表面化してしまいそうな暗闇に校舎が包まれているような時間。職員室のみが煌々と光っている。職員室の中で1人寝ているので、電気も消さず寝落ちしてしまったのだろう。
机に突っ伏して寝ているのは、瑞浪琥珀。年齢イコール彼氏いない歴を更新し続けている23歳。深優や葵香の所属する3-Aの担任。左利き。
左手には、万年筆が握られている。何かを書いている途中、いや書き終えた後だったのだろう。
窓が開いているわけでもないのに、風が吹く。机の上に置いてあった議事録と表に書かれた冊子がペラペラと捲られる。そこには、こう書いてあった。
『第68期生用職員会議Number:6』
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第68期生用職員会議Number:6
記録者:瑞浪琥珀
参加者:私含め5名。各教科の代表者のみ。
*後述のため、人名の表記を下記のようにする。担当教科についても明記。
・瑞浪琥珀 (担当教科公民)→瑞浪
・柳ヶ瀬伊月 (担当教科生物)→柳ヶ瀬
・郡上いなば (担当教科数学)→郡上
・安八孝雄 (担当教科英語)→安八
・中津川広志 (担当教科化学)→中津川
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瑞浪:えー、それでは。これより職員会議を始めさせていただきます。
一同:お願いします。
瑞浪:進行はいつも通り私が進めていきます。まず、最初の議題ですが……。今日実施したテストについてです。郡上先生、採点ですが、終わりましたか?
柳ヶ瀬:いやいや、瑞浪氏。郡上氏が採点を終わらせないわけがないであろう?なあ、郡上氏。
郡上:ああ、もちろん終わっている。
柳ヶ瀬:やはりそうであったか。
瑞浪:さすがですね、柳ヶ瀬先生。では、今回のテストの総評をお願いします。
郡上:今回のテストの平均点は86点だった。最低点でも6割を超えていたから、夏季休業の学習は問題なかったと言えよう。
安八:で、郡上先生。『例の』生徒は、どうなんですか?
郡上:まあ落ち着け、安八先生。それについて説明する前に、瑞浪先生。『安宅深優』に対しての夏季休業前の個人面談での応対なんだが。本当に予習はあまりやっていないという回答だったんだよな?
瑞浪:ええ。『高等部の勉強に関しては、兄の教科書をペラペラと見る程度』という回答だったわね。
郡上:本当なのか。信じられん。
中津川:どうだったんだ?
郡上:高等部2年で学習予定の範囲から出題したんだが、正解した。それも減点のしようのない、カンペキな正答で。他の生徒との差を縮めるために、他の生徒の問題の難易度を優しめにしたんだが、その正答率を軽々と超えてきた。
瑞浪:まさか、そこまですごいとは。
柳ヶ瀬:ふふっ。さすが神童であるな。小生の生物においても、同じ結果を残してくれるのを期待していよう。ふふふっ。
郡上:恐らく、その期待は叶うことになるぞ。あの天才は、我々の理解を超えている。
安八:我々も、期待しておこう。
中津川:まったくですな。
瑞浪:皆さん方、手加減してあげて下さいね。私のクラスの優秀な生徒なんですから。
一同:もちろん、分かっているさ。
瑞浪:では、別の話題がある先生はいらっしゃいますか?いらっしゃらなければ、今回の会議は終了しますが。
中津川:ああ、瑞浪先生。この『安宅深優』が、私の担当している寮に入るという噂は本当ですか?
瑞浪:ええ。本当ですよ。夏季休業前に、寮の受け付け用紙を貰いましたので。ただ……。
中津川:ただ……。なんですか?
瑞浪:ただ、今日の深優さんは、そのことを忘れているようだったんですよね。
中津川:なんと!それは大変だ。明日、しっかりと確認しておいて下さいね。
瑞浪:分かりました。確認しておきます。他に何かある先生はいらっしゃいますか?
柳ヶ瀬:ないぞよ。
郡上:ないな。
安八:我々も。
中津川:ええ。ないですね。
瑞浪:はい、それでは今回はこのくらいで。次の会議では、修学旅行について話し合いましょう。
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備考:この会議は68期生のために開かれた、6回目の会議である。
会議中の発言に少し修正を加えたものであり、ほぼ発言通りの記述である。
これで1章は終わりです。
2章『2日目オリエンテーション』を開始するにあたって、重要であると考えたのでキャラ設定をきちんと組みます。その作業のため、次の更新は11/8になります。現時点で決まっているのは、次話が『変態な先生の話』であることです。更新を楽しみにしてくれている方 (いると信じてます)、ブクマをしてくれている方、この作品を読んでくれているすべての方。次話の投稿が遅れること、本当にごめんなさい。
後書きにて、このような長文失礼致しました