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第1話 妹の為なら……って思えるかぁっ!

9時更新で頑張ります



「なあ、みゆ。お前さ、産まれてくる性別まちがえたんじゃねぇの?」

「はあっ?何言ってんの。俺が女に産まれてきた方が良かったってことか?」

「そうだよ。みゆ、あんまり筋肉ついてねぇし、声も声変わりあんましてないし。女って言われたら信じちゃうくらいの顔たちだし。肌めっちゃキレイだし。ってかすべすべ。ちょーすべすべ。ついでに名前も『実優斗(みゆと)』とかいう女っぽい名前だし。妹ちゃんの『深優(みゆ)』って名前に似てるしな。そういや、妹ちゃんと顔瓜二つだったな。妹ちゃんと身長、特に変わんねぇし。もしかして妹ちゃんの方が高いんじゃないか?ほぼ妹ちゃんと同じ、双子でもないのに。胸は、……さすがにないけど」

「あったら可笑しいわっ!深優よりも身長低くないですしー。べつに高くもないけど、同じ146センチですしー」

「いや146って……。十分低いから……」



こんな会話を親友、いや悪友としたのは8月29日。3日前のこと。3日だけで、まさか俺が女として、『妹(深優)』の代わりとして中等部に通うことになるとは思わなかった。



俺が今いるのは、妹(深優)が通う学校、鶯山中等部。鶯山高等部が俺が通っていたところだ。中等部は高等部に入る前に通っていたので『迷う』ということはないが、色々と不安である。なぜかと言うと、妹(深優)は、ちょーぜつ優等生だったのだ。この入学すること自体が大変な学校で、だ。


入学するためには、『とりあえず3ヶ国語話せること』という曖昧すぎる基準と『小学校におけるテストで満点以外をとったことがないこと』という明確な基準がある。それだけ聞くと、『それ何て無理ゲー?』と言われるかも知れない。ちなみに、俺は日本語、英語、フランス語で合格した。だが、凄くはない。日本語、英語、フランス語。面接のとき、3ヶ国語で挨拶しただけだからだ。テストの点についても、授業中に確認するためのテストしかなかったから、何も問題なかった。


俺はこんな適当な感じで入学したが、一応、入学したときには頭は割りと良い方だった。だが、『高等部に入れば大学に行くつもりがなければ楽できることで有名だったので中等部時代頑張っただけ』で『高等部に入ってからは、授業中ずっと寝てる』今の俺の学力では話にならない。不安すぎる。


どれもこれも全ては、家に『愛しのお兄ちゃんへ。もう優等生を演じるの、疲れた。私の代わりにお兄ちゃんを中等部に通わせればバレないと思うので、その方向でお願いします。私は今まで貯めてきたお小遣いで1年間、ハワイでバカンスを楽しんで来ます。高等部からはちゃんと行くので、高等部へ入ることができるように単位を落とすことがないようにお願いします。お兄ちゃんの大好きな妹、深優より(はーと)。PSお兄ちゃんは高等部なので1年間、登校しなくてもサボりとしか思われないので大丈夫です』という置き手紙を『性別間違えたんじゃ』のくだりをやった日に見つけたことから始まる。全てを俺に押し付けてハワイにとんずらかました妹のせいだ。


それに対して、父さんと母さんは怒る訳でもなく、『あらあら〜、深優ちゃんったら。滅多にワガママ言わない子だったのに、仕方ないわね〜』(母さんの言葉)、『こーなったらしょうがない。実優斗、深優が中等部をちゃんと卒業できるように中等部に通うんだぞ』(父さんの言葉)である。


なんですか、これ。うちの父さんと母さんは、妹に洗脳でもされてるんですか?妹に対して甘すぎませんか?そう言ったら物理的に打ちのめされたので、仕方なく中等部へ通うことになりました。


べ、べつに俺が女装したかったってわけじゃないんだからねっ!あーはい、そうですか。男のツンデレなんて誰得って感じですか。そーですよね、はい。


そんな訳で、2日間、ずっと勉強させられました。カンヅメですよ。カンヅメ。酷いですねー。


中等部の『女子用の』制服を着て歩いているのに、『俺が』歩いているのに、誰にも止められないし何も言われない。おい、誰か気付けよ!女物のリュックで登校するのちょー恥ずかしい。女装してることが1番恥ずかしいんだけども!


スカートって脚、スースーするな、これ。女子ってみんなこんなの着て外を歩いてるのかよ。すげぇな。


えぇっと、妹のクラスはっと。妹が置き手紙と共に置いていった生徒手帳で確認する。3-Aか。よっしっ。気合い入れて頑張るとするか。



3-Aの教室へ入って出席番号に従って席に座ろうとする。苗字が『安宅(あかた)』だから、たぶん1番前の左端だろうと思って勝手に座る。



「(それにしてもこのクラス、女子しかいないな)」



それが、この教室へ入ってから1番最初に俺が思ったことだった。いくら10分前とはいえ、少なからず1人くらいは男子がいてもいいと思うんだが。実際、俺のときは20分前くらいには必ず教室の椅子に必ず着席してるやつがいたし。そんなことを考えていると、後ろから人がやってきた。



「あの、深優ちゃん。そこ、私の席だよ」

「え?ごめん、ありがと」

「めずらしいね、深優ちゃんがこんなミスするなんて。夏休み中に勉強し過ぎたのか…な……って、え?」



話しかけてきた女の子が固まる。



「どうしたの?」

「あの、実優斗さんですよね?深優ちゃんのお兄さんの。なんで、お兄さんがここに?」



なぜか今まで気付かれていなかったけど、この女の子にいきなり、身代わり初日に俺だとバレました。ヤバくね?これ。

安宅実優斗、初日からピンチ。



ブクマ。あったら嬉しいな……

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