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あんた誰やぁあ  作者: サラ
1/1

二人の出会いはここからでした

湿った空気が部屋中に広がる


(あぁ…。今日も雨か。)


雨の日は何もいいことがない

近所に住む老夫婦は

足腰が痛くて動けないから

外に出れないと言う

それに、このじめじめした空気と

体のダルさは雨のせいだ

早く太陽に会いたい…そして老夫婦に会いたい

なんてロマンチックに言いたいものだ


そんな今日は日曜日。

私は毎週日曜日になると教会へ行く

なぜ行くのか…

それは自分でもわからない

なぜ行くのだろう…


きっとそこには

優しさと

私が探し求めていた

愛があるからだ

きっと、、、そうだ。


PCやスマートファンが

誰にでも持てるようになり

会話がない時代になっている


そんな世界に飽きたのだ

そして冷たい過去からも逃げたくなり

教会へ足を運ぶ


周りからは"洗脳されないように気をつけてね"と

言われるが

洗脳というよりかは

心の支えとなっている


想像しているように

皆が優しくて心の清い人とは限らない

人間だれしも感情があるもの。

もちろん何年もきてるいるからと

私の方が教会暦上よ!と態度で威張ってくる人もいるが

気にしていたらきりがない。。。


そして今日は

私がなぜこの教会へ行くようになったのか

という話を礼拝に来ている人たちの前で

体験記を発表する日だった



なんせ私は17。

、、、高校生。

珍しいのだろう

高校生で教会へ通い

毎週のように教会で奉仕をしていることが


幼い頃私は…と体験記を語った


父親からの虐待

両親の離婚

転校

いじめ

自殺未遂…

あぁ言葉にするだけで

フラッシュバックが激しく

脳裏に映し出される


そんなことを人々の前で言うことは苦しく

心臓を誰かにえぐられているかのように感じた


怖かった。。。

そして捨てたかった過去の記憶と全てを


打ち明けることで

新しい自分に出会える気がした


そして涙を流しながら

体験記の発表は終わった


席に戻ると知らない外人の老夫婦が

そっと抱きしめ、

頬にキスをしてくれた

私の知らない愛情表現がここにはある

そんなことを思いながら

ほっと一息

涙は止まらず


とまれ、とまれっ。

なんで止まらないの

涙に対し心で呟いていた


「泣きたい時に泣いて笑いたい時に笑えばいい」


ありったけの言葉なのに

心に沁みた


辛い時、苦しい時こそ毎日笑っていた

笑っていれば

誰かが明るいねと言ってくれた

笑顔でいれば

いじめもなくなった


泣いているばかりの弱虫な自分は

もういないと思っていた


けど、泣いていることが弱いんじゃない

笑っていることが

明るいんじゃない


あぁだから私はここが好きだ

パイプオルガンが流れる


礼拝堂で

祈ることが好きだ

私と神様との秘密の時間


ガチャっ。


誰かが入ってくる

そして隣に座る


柔軟剤のほのかに香る

香りが私までを包んだ


秘密の時間を返してと

言いたいところだったが

その甘い香りに気を引き取られ

目を開けてしまった


「ねぇ、なんでそんなにさ

いつも笑ってられんの?

よく分からんあんたの心理」


….え。



これ私に言ってるの?

口を押さえながら

あたりを見渡した


…え。


そうじゃん私しかいないじゃん…

何この人⁉︎


顔は整っていてオシャレな雰囲気を漂わせている


えっと…何か言わないと

「どう言う意味さ⁉︎」

あちゃぁ…

やってしまった

もう少し乙女っぽく言えばよかった


一応私は女子

ましてや女子高生

それなのに…

イメージはボイーシュで気の短い人だと思われたに

違いない…


「どう意味って…

辛い人生歩んでるのに

何でそうやって笑顔で入れんのかなって」


最初からそうやって

分かりやすく言って欲しいわ…って


「あんた誰やぁあ」

と心の声が出てしまった…


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