#7 みんなで帰ろう
じゅわ、じゅわわわあわ!
「あっちィ~~ったらねェ~~~‼」
入江は額の汗を拭う。
「脱げばいいのに。俺みたくにね」
そう笑いながらいう五十嵐は上半身が裸になっていた。
「いや、うんーー……それやったら、何か失う気ィーすんで」
入江は、よこに顔を振った。
「何も失われないっつのwwww」
そして、脱いだ制服を肩に担いだ。
「今はいいでしょうね」
ここでようやく、小林が口を開いた。
「知ってる? 五十嵐君」
「ふぇ? 何がっスか?? 主任」
「砂漠の夜は、ものすっっごく寒しらしいよ」
徐々に、辺りは暗くなっていく。
「喉、乾いたーーって! 主任??」
ゴクゴク。
ぷは!
「何?」
五十嵐が腕を振った。
「そそそっそ! そのボトルはどうしたんっスか??」
「あ。これ? 朝、鈴又君に貰ったんです」
実は、ずっとーーペットボトルを持っていた。
「少し飲ませて下さい! ちびっとだけ‼」
「って、言っといて君は全部飲むじゃないですか。いっつも」
「別に減るもんじゃー」
「減るし、無くなる」
また。
漫才が始まりそうだった。
(このOBコンビ、ぶっ殺してェ~~‼)
はた。
ポケットから、さっき拾った種を出した。
「あ」
これいけんじゃね??
「あのよー漫才はいいからよー~~アンタ子供もじみた真似しねェ~~で、そのお茶くれっての!」
兎角、入江は説明せずに、よこせと言う。
どうなったか??
そりゃあ~~、ねぇ?
「「あ゛ん゛??」」
ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!
蹴っ飛ばされますわ。
◆
「痛ェなァ~~‼ ったくよ~~」
身体に着いた砂を払い落す。
もう熱さにも、少し慣れた。
火傷は間違いなくしているけど。
「で。何か案でもあるんだろうね。お茶だってそんなにないよ」
アンタが飲んだからだろォ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ‼
ぴくぴく。
「はいはいっと。さっき、あの標識が枯れたとこによーこの種があったんだわ」
入江は手のひらの上に種を置き、二人にも見せた。
「変わった種っスね。主任」
「--水晶のように、透明だしね」
二人の反応も薄い。
「で。コイツをこの砂の上に放り投げっだろ~~でだ」
ビチャ、ビチャーー……
「このお茶をやる」
シ……ンーー……
「すっとだな~~こーーシュビって標識が生えるわけよ‼
シ……ンーー……
「ァ、うん。おうーーた、多分な‼」
「「へぇーーーーーほぉん……」」
二人の視線も細くなる。
すると、突然ーー砂が盛り上がった。
《【標識調】》が生えた。
一気に入江のテンションも上がる。
ほれ、見たことか‼ とね。
「さ。帰ろうぜ! さ! アンタ! どのボタンを押しゃァいいんだ!?」
入江は小林に聞いた。
「はぁ?? 何、言ってんの??」
「え゛」