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#10 また会う日まで

「アイツらがどうなったか知りてェしな」

 全くの嘘でもない。

 入江は少なからず、小林も五十嵐も気にかけている。

「どぉしてだよ。出口」

 江頭が入江の腹を蹴飛ばし、また座らせた。

「蹴るんじゃあねェーーよ! 薄ら禿‼」

「どぉして?」

 入江は視線を逸らした。


「アイツらがピンチのときに、守れんのは俺だけなんだわ」


 少し顔も赤い。

 江頭の表情から笑顔が消える。

「いつからそんなツラするようになったんだかな」

「! どんな面だよ! 気色 ワリィこと言ってんなよ‼」

「折角、優しいお兄さんが昔の よしみで助けてやったっつ~~のに」



 はた。



「そーいや。ここはどこなんだ?」

 入江は振り向き、窓の外を見た。

 ギシーー……

 横に江頭が座る。

「通常の人間、生きてる奴が乗れねえもんだよ」

「??? やっぱろ、俺ァ、死んだっつーーことか?!」

 ドス!

 江頭は入江の脇腹にワンパンチ、入れた。

「最後まで聞けよ。禿馬鹿」

「だから! 禿じゃァねェって言ってんべ!?」

「ほれ、外にーーこれと同じもんがあるだろう?」

「?? あァ、あんなァ」


 一台ではない、数えきれないほどの乗り物だ。


「《【神霊ミタマ特急ファーレ】》っつー輪廻転生便だ」

「! あんなのが?!」

「で。こいつあー古い型落ちで俺が囚われてる牢獄だ」

「牢獄??」

「ああ」

「2年間も、ここにいたんか???」

「ああ」

 一体、この親父は何なのか。

「平子の奴もーー俺と対となる人間でならざるものでな。なんっつーのかな? 早々、カッコよく言えやぁ、処刑人なんだぜ」

 っに!

 よく分からない上に、絵空事のようにも聞こえる。

「--死神ってもんだな」

「……馬鹿らしい」

「この監獄に引っ張り込んだがいいが。なんだッ、そのよぉ~~」

 ぞわわわわわわあわわあわわわわわあわわわわあわわわわあわわわわ……

「な、何だよ!」

「代償がいる」

「! はァ?! 頼んでもいねェのに、連れ込まれて、代償だとォ??」

 突然の知らせに、入江も怒鳴った。

 しかし、江頭は冷静だった。

「てか。安心しろよ、あの二人は無事に帰ってんだから」

 江頭は指を絡め、真っ直ぐ前に伸ばした。

「--お前、出口だけが無事じゃなかったんだぜ」

「! ッな‼」

「あのまま次の舞台ステージに行ってたらーー正直、死んでたわ」

 ブルブル。

 入江の身体が小刻みに震えだす。

「--……で、代償っつゥのは何なんだよ」

「身体」

「?!」

「ふへへへ。卑猥なことじゃぁねぇよ!」

 身構えた入江に、江頭が笑う。

 そして、江頭が立ち上がった。


「願わくば。お前が、俺をーー解放すると思いたいねぇ」


 江頭が宙に手を置き、スライドさせた。

 すると。


 ぱッ! パパパパパパパパ‼


 読めない字が泳ぐように、歪み、そして、浮いていた。


「お前は、いつも怒ってるよな。どんなときも不平不満しかもってやがらねぇ」

 ピク。

「だから、それを媒介とする!」

 ゾクゾク。

「怒っている限り永劫に続く呪いだが仕方ねぇよな??」

 ぞわぞわわ!

「お前は今日よりーー……」


 ぷつりーー……


 視界が真っ暗になった。

 ただ、江頭の最後の言葉だけは鮮明に耳に残っている。


『女になる』





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