浮気 - 2 -
その夜、智は布団を敷くことはなかった。メールは既にるかにバレていて、会ったこともすべてがお見通しだった。2人はお互いに泣きじゃくり、虚しさをぶつけ合った。
あくる日もあくる日も、泣いたり、馬鹿なことで無理に笑ったり、また泣いたり、怒ったり。
信頼関係が戻るまでにかなりの時間を要したが、2人はお互いを捨てることができなかった。結局は弱い者同士で、腐れ縁なのかもしれない。
しかし、その晩以来、度々泣きじゃくるるかを見て、智は過ちの大きさに自問自答した。
ヒト1人を嘘や冗談で笑顔にすることができても、ヒト1人を大切にして共に助け合って生きていくのは、甘ったれや中二病にはできない。
彼はそう思った。
連絡先をしっかり交換してあったカヨはしばらくの間、一方的にメールをしてきていた。
住んでいる場所が大して遠いわけではないし、智の街でデートしてしまったこともあり、トラブルを避けるため自然消滅を望んだ智は、メールを拒否にはしていなかった。彼女のメールは相変わらず独り言のような愚痴と、再会への希望だった。
それを見る度に、智は一瞬返信するか迷ったが、結局返信することはなかった。