朝
深夜まで続いたメールのやりとりは、毒入りの蜜とは知らずに歓び叫びながら食す無能な野獣達と、女装した悪魔の飼育員ともみんとの、ゆがんだ愛の営みだった。
中には妄想に駆られて天にも昇る想いをした者もいるだろう。あるいはそのすべてか。
悪魔の夜業に気づかず、ケダモノ達は時間と労力を喜び勇んで費やしていった。
「男って馬鹿だなぁ。性欲が爆発してるときってホントに何も疑わずに興奮するもんなんだな」
木曜日の朝。
パンを頬張るヒゲ面の智は、昼からのバイトに備えて準備をしつつ、ともみんを演じ続けた。
「今日は午後から学校で、夕方からバイトなんだけど、ちゃんと返すからみんなメールしてね♡ともみん寂しがりだから、かまってね!今、朝シャンしてきたの♪バスタオルの下、見てみたくな〜い?」
掲示板にエサ配給の情報を転がすと、またたく間に新たな動物たちがやってきた。キリがないので、ともみんは普通によくいる肉食系ではない、珍しいケモノを探すことにした。
「はじめまして。ロッキーといいます。ともみんさんの投稿、見させてもらって、仲良くしていただけたらいいな、と思い、メールしてみました。よかったら僕とメールしていただけませんか?」
礼儀正しく、エロくなく、シンプルで、どこかこういうサイト上ではあまり見かけないタイプの男性。ロッキー、歳は27。智の2つ上、ともみんから見たら7つ上だった。