出会い系
エロい女性を求めて野獣と化した男達。
目を光らせるケダモノは、自己アピールの限りを尽くして、その豪華な肉体美、芸能人かアニメキャラのように立ち上がる髪型、高収入のエリートサラリーマンや医者のタマゴなどを装うプロフィール、「紳士感」という彼らの武器は、ただの着ぐるみも同然、智の眼にはそれらがピエロの衣装であることが完全にバレていた。
「俺もこの仲間だったわけね」
サファリパークの百獣が住まう檻から出て、人間用のゴツいジープに乗り込むことができた智は、そこに男の自分が存在することを野獣たちに怪しまれないように、ユーザー名を「ともみん」とし、自分の好きなタイプー胸が大きめな女性の写真をネット上から拾ってきて、多少の加工を施して、自らの仮面とした。ともみんはピチピチの二十歳の大学生。
「彼氏と2ヶ月前に別れてから寂しくて、毎日ツライです。。年上の男性からのメール待ってます。わたしの愛しのダーリン、募集中でーす!」
清楚さとビッチさが混在する女性が1番モテる。これが彼の持論だった。
「来いや。ライオンでも虎でも、このともみん様が食らってやるわ、野獣ども!」
程なくして現れた野獣は、54歳の、妻に飽きたオオカミだった。
「はじめまして、ともみんさん。稲妻と申します。おおきいですね。まだ発育途中かな?こんなおじさんとでよければ、メールしませんか?おっぱいもっと見たいなー」
智はゲラゲラ笑いながら返信した。
「わーい!今登録したばっかりだったから、はじめてメールもらったよ!すごく嬉しい!稲妻さん、わたしのはじめてのひとぉー!!わたし年上大好きだから、ぜひぜひ!これ、今着てる服だよぉ〜」
普段から小説を書き溜めている智にとって、若い女性の話し言葉や文を書くのは何の苦労もなかった。
むしろこんな形でいつもと違う角度から男性と会話できるなんて、なんて勉強になるのだろうとまで思った。
「わたしのおっぱい見たい人、この指とーまれっ!メールくれた人には必ず返すからね!わたしが何カップか当てられたら、ご褒美の写メ送ってあげる」