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水曜日の夕方、るかが小さめのスーツケースを転がして彼らのアパートを出た後、智は普段見られないアダルトサイトなどを嬉しそうにサーフィンしていた。


「へぇ。もう年下の子もたくさんデビューしているんだな。歳を取ったな」


独り言をぶつぶつ言いながらサーフィンを続けていると、昔るかと大喧嘩した原因となった出会い系サイトに行き当たった。


「うっわ、懐かしい。ていうか、テレビ電話機能とか、LINE風チャットとか、すごい進化してんじゃん」


浮気はダメ、と思いつつも、懐かしさとドキドキ感からサイトをくまなく観察してしまう智。


「水木金土日…5日あるんなら、日曜朝までに退会すればいいんじゃね?」


智が会員登録のボタンに矢印を持っていったその時、


ーピンポーン


るかが通販で注文したマッサージ器具が届いた。るかが忘れ物を取りに帰ってきたわけではなかったことに肩を撫で下ろした智は、登録画面の入力に戻った。


「あの時とは携帯の番号もアドレスも違うから、問題なしっと」


やがてメールボックスに仮登録の自動メールが届き、入力を進めていくと、あることに気づいた。


「やべ、俺、性別女で登録されてる」


配達員が来た時に矢印の位置がぶれたのか、焦ってか、初期の登録画面の選択を女性に設定してしまっていたらしい。


「まじか。いやでも、まっ、最近ボーイズラブとか世の中流行ってるし、男でも覗きに行ってみるか」


智は烈火のごとく怒っていたるかを思い出して独り言を続けた。


「これならるかにバレても笑われるだけで済みそうだし!」

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