表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/20

告白



「友美さん、昨日はハメを外してしまってごめんなさい。しかも僕の方が先に寝落ちしてしまったり、色々すみませんでした。朝もメールできず、重ね重ねですがごめんなさい。昨日言っていた、母へのプレゼント、無事いいものを買えました。それから、色々考えてかなり悩んだ末、友美さんへのプレゼントも結局買ってしまいました。ネックレスなんですが、どうか受け取ってくれませんでしょうか?会うのがもし怖いとか、予定が合わせにくいのだったら郵送でも僕は構いません。でも、この気持ち、どうかあなたに伝えたい。会ったことも触れたこともないけど、この僕の気持ちは確かなものです。

友美さん、大好きです。

どうか、僕とお付き合いしてくれませんか?」


智は口を閉ざしたまま携帯を閉じ、そのまま家まで帰った。独り言が多いはずの彼は、何も言わず、ただ買ってきたものを冷蔵庫に放り込んだ。


そして、だいぶ前から棚に置いてあったカップラーメンを開けて、お湯を沸かして食べた。


頭の中は真っ白だった。


今鏡を見たら、白髪になっているかもしれない。ボケて、実は大事なことを全部忘れて生活しているかもしれない。


舌を火傷しかかって、水を一気飲みした。なぜか額には涙が流れていた。


カップラーメンの残骸をゴミ箱に投げ込むと、申し訳なさから携帯を手に取ることができなくなっている自分に気づいた。


既読をつけてしまったのに、あれから1時間半は放置している。ロッキーはきっと返事を待っている。


携帯を放置したまま、智はパソコンで性転換の仕方や整形費用、戸籍の変更に必要な条件からニューハーフの体験談まで、無我夢中に読み荒らした。


膨大な情報の中に、日本という国の性同一性障害などへの理解度の低さ、それに闘う人達の主張や海外脱出、その他努力の数々に行き当たったり、巨乳になるための費用が莫大で、そのためにパトロンを見つけることに奮闘したり、夜の店や色んなことを駆使して荒稼ぎをした人達の経歴など、普段興味を持ってこなかった世界の情報を一気に知ることになったが、そのどれもが今の智にとっては虚しさを増させるものだった。


気づけばもう日付が変わろうとしていた。


突然思い出して携帯をとって確認すると、ロッキーはあれから再びメールはしてきてはおらず、オフラインだった。


智は自分の過ちの大きさに頭を抱えた。


ひとりの男を、完全に騙してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ