告白
「友美さん、昨日はハメを外してしまってごめんなさい。しかも僕の方が先に寝落ちしてしまったり、色々すみませんでした。朝もメールできず、重ね重ねですがごめんなさい。昨日言っていた、母へのプレゼント、無事いいものを買えました。それから、色々考えてかなり悩んだ末、友美さんへのプレゼントも結局買ってしまいました。ネックレスなんですが、どうか受け取ってくれませんでしょうか?会うのがもし怖いとか、予定が合わせにくいのだったら郵送でも僕は構いません。でも、この気持ち、どうかあなたに伝えたい。会ったことも触れたこともないけど、この僕の気持ちは確かなものです。
友美さん、大好きです。
どうか、僕とお付き合いしてくれませんか?」
智は口を閉ざしたまま携帯を閉じ、そのまま家まで帰った。独り言が多いはずの彼は、何も言わず、ただ買ってきたものを冷蔵庫に放り込んだ。
そして、だいぶ前から棚に置いてあったカップラーメンを開けて、お湯を沸かして食べた。
頭の中は真っ白だった。
今鏡を見たら、白髪になっているかもしれない。ボケて、実は大事なことを全部忘れて生活しているかもしれない。
舌を火傷しかかって、水を一気飲みした。なぜか額には涙が流れていた。
カップラーメンの残骸をゴミ箱に投げ込むと、申し訳なさから携帯を手に取ることができなくなっている自分に気づいた。
既読をつけてしまったのに、あれから1時間半は放置している。ロッキーはきっと返事を待っている。
携帯を放置したまま、智はパソコンで性転換の仕方や整形費用、戸籍の変更に必要な条件からニューハーフの体験談まで、無我夢中に読み荒らした。
膨大な情報の中に、日本という国の性同一性障害などへの理解度の低さ、それに闘う人達の主張や海外脱出、その他努力の数々に行き当たったり、巨乳になるための費用が莫大で、そのためにパトロンを見つけることに奮闘したり、夜の店や色んなことを駆使して荒稼ぎをした人達の経歴など、普段興味を持ってこなかった世界の情報を一気に知ることになったが、そのどれもが今の智にとっては虚しさを増させるものだった。
気づけばもう日付が変わろうとしていた。
突然思い出して携帯をとって確認すると、ロッキーはあれから再びメールはしてきてはおらず、オフラインだった。
智は自分の過ちの大きさに頭を抱えた。
ひとりの男を、完全に騙してしまった。




