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公園

※この小説は、ある人物の実話を元にオマージュとして書かれているフィクションです。実在の人物や団体とは一切関係ありません。



「ともみん」


彼がそう呼ばれるようになったのは、4日前に遡る。ちょっとした間違いと、彼のふざけた興味から、その実に歪んだ人間関係が形成された。


彼の名は、根嶋智。下の名前は「ともみ」ではなく、「とも」である。


一小説家として名をあげようと、コンクールの度に書き溜めた著作を出すものの、未だ認められることはなく、近所のコンビニのバイトに励む青年である。歳は25歳。


彼には長く付き合っている彼女がいた。大学時代に文化祭で知り合った、ひとつ年下の女性。名を、るかといった。福音書記官のルカとは関係なく、ただ母親がイルカが好きだったからという短絡的な由来らしい。珍しい名前だが、彼女は自分の名前を嫌がってはいなかった。


一緒に住んでいた2人は、お互い仕事の休みがたまたま重なったある火曜日のお昼頃、公園のベンチで喋っていた。


「子どもは男の子と女の子と1人ずつが理想だなぁ。あ、そうだ智。わたし従姉妹の結婚式あるし、最近帰ってなかったから、明日から来週頭まで実家に帰るね。ちゃんと自分でごはん作って食べるんだよ。あと、浮気もダメ」


智は浮気心を抱いて、るかとは別の女の子と親密なメールをしていた過去があった。それがバレた時のるかの怒りようたるや、某格闘ゲームのように命が複数あって、一度死んだ後に生き返って助かったのではないかと思えるほどであった。


「もう浮気とかしないって言ってんじゃん。そういうの興味ないから」


実際、智は向かいのベンチで母親に抱かれて泣いている赤子ほどの寂しがり屋だった。しかし、持ち前のプライドでか、それをひた隠しにして生きていた。なんでも話せるいい彼女、と思って付き合っているるかにも、意外とさらけ出していない部分があることを、彼自身は知っていた。

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