迷惑
迷惑をかけているのは、あなたと私とがかかわっている証…。
そんなことを言っておきましょう。
ではどうぞ!!
寝る時である。
少し困ったことがあった。
今まで、俺はベッドで寝ていた。
しかし、そのベッドは実莉のもの。
俺を寝かせるにあたって、実莉は自分の寝るところを貸し、自分ははソファーで寝ていた。
しかし、そんな事情を知った今、実莉をソファーで寝かせるわけにはいかない。
だが、「俺がソファーで寝るから、お前はベッドで寝ろ」っと言っても、「あなたは客人だからベッドで寝て」と譲らない実莉。
俺は「そうだな」「客人だし借りとくよ」と返事は決してしなかった。
なぜなら、俺のプライドがプライド許さないのだ。
そのことを散々説明すると、実莉は「仕方ないなぁ」「わかったよ」っと言って、ベッドで寝ることを了承してくれた。
朝のことである。
起きたのは9時前後…。
それからご飯を食べ、昨日実莉がおろしてくれた新品の歯ブラシで歯を磨いた。
その後である。
俺が歯を磨き終わると、実莉が俺を呼んだ。
そして「あのさ……。名前、、、まだ思い出せないんだよね?」っと言う。
俺は静かに「あぁ…」っと答えた。
正直、記憶については聞かれたくない。
それは、何もわからずに世話になっていると思うと胸が痛むからだった。
そんな俺に実莉は言った。
「気を落とさせたならごめんね?」
「私はただ、名前がわからないからなんて呼べばいいのかなって思って…」
「だから、その…」
実莉はここで言葉に詰まる。
『何か言いにくいことなのだろうか?』
俺はそんな実莉を気遣って「どうした?」っと優しく聞いた。
すると「いやっ、名前を考えたいなって…」
「今までみたいに“あなた”だけだと何かと不便だと思うから…」っと言う。
「!?」 『それだけ?』っと俺は思った。
そして「それもそうだな…っていうかもっと早く言ってくれればよかったのに……」「前から思ってたんだろ?」っと俺は聞いた。
実莉は本当に優しい子だ。
それは実莉のことを見ていればわかる。
記憶をなくした俺を気遣って、そして気遣っている。
そんな実莉に、俺は“ありがとう”としか言いようがなかった。
そして、俺はその言葉と共にある提案をした。
「あのさ、布団と一緒に服とかを買いに行きたいんだけど…ダメかな?」
実莉は「いいよ」っと即答してくれた。
それと共に「ありがとうなんて言わないで?私はただ当たり前のことをしてるだけだから…」っと言う。
“なんて優しいんだ…”
それからしばらく、俺はそんなことしか考えることができなかった。
なかなか終わらないみたいです。
終わりが見えない…。
作者はこれと闘っているから!!