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天女 ルクセラ

勢いを増す魔王軍に対抗すべく、王都では卓越した技能保持者たちによるパーティが編成された。

むっつり王子こと聖剣の使い手、第三王子マーティ・ハンス

胸毛から沸き立つ男性ホルモン、タンクのグレゴリー・マルセル

血走った目は変態の証、アサシンのパトリック・ベンハー

テカテカに光ったその体、どSモンクのザノバック・レスリー

得意技はパラライズとスリープ、黒魔導師のイアン・パーマー

そして最後に紅一点16歳のナイスバデイ、ルクセラ・エルリック

の6名


って絶対ルクセラの貞操がヤバイじゃん。


娘の貞操を守るため、ここでちちが立ち上がる。

 う~、苦しむ声が聞こえる。

兵舎の中には傷ついた者たちが大勢いた。

「みなさん、大丈夫なのです。いま治しますのです」

「こっちも頼む」

ヒーラーの白魔導師は3人。けが人に対して圧倒的に足りない。

治すより送り込まれる人数が圧倒的に多いのだ。


「シスターアマンダ。このままでは……」

「焦ってはいけません。一人一人しっかりと確実に」

血と汗が入り交じった室内。

自分自身を激励するかのように言う、長身の美女アマンダ

「間に合わないのです」 

そう弱音を吐く新人のバーバラ

ふたりとも天女の羽衣と言われる薄い布をサリーのように体に巻き付けただけの格好で

回復魔法を行使している。


白魔導を司る女神エルディアは処女神である。

男は童貞で、女はみな処女である。

しかも全裸であらせられる神はまだ幼気な少女の姿をして、その笑顔は万人をしあわせにする。

が故に白魔導は全裸に近ければ近いほど、いや全裸でこそその真の力を発揮する。


「広域魔法を行使します」

まだ16歳とは思えないほどメリハリのきいた体をしたルクセラが立ち上がり

スルスルと天女の羽衣を解いて行く姿に、

いままでうめいて死にそうにしていたはずの男達が黙って目をみひらいている。


普段なら止める立場のアマンダも、現状を鑑みて黙って俯いた。

しかしそれを良しとしない者が一人いた。


大事な部分を覆っていた布が墜ちそうな刹那、大量の霧が室内を満たした。


「誰だよ」

「見えねぇじゃねぇか」

「ふざけんなよ」

信じられないほど元気な声が聞こえる。


そんな中、「みなを癒やせオールヒール」

澄み切った声ともやの中に輝いた顔を見せたルクセラに

男達はみんな癒やされた。

癒やされたが、癒やされはしたが納得できない空気が漂う。


霧が晴れた頃には、みんな元気になり。

ルクセラはしっかりと羽衣を体に巻き付けていた。

男達はすこしがっかりしながらも、一様に「ありがとう」と礼を言って兵舎を出て行った。


そんな中一人の男がルクセラに声をかける。

「お疲れ」

「ああっ、お父様」

あごひげを蓄えた長身の黒魔導師ノヴァ・エルリックは微笑んで

「ルゥ。あんな男達の為に、裸にまでなって回復魔法を行使するなんて。

なんてやさしい娘なんだ」

ノヴァはやさしく娘を抱擁する。

「あの霧はやっぱりお父様なのですね」

「もちろんだよ。大事な娘の裸をあんな男共に見せられるか」

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