表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

東火節の三週目 《親指》の月


 我はラトゥーの祝福を受けアズレトの森に育ち、ロルグニの《黒の部隊(レンカーラ・オスミア)》の使命に敗れ、矢をペンにサシュノーチ・ヂーモイ持ち替えて(・ヘール・ジーメル)アリトゥリに来たる。


挿絵(By みてみん)

(書への名乗り。やはり足跡がついている)



東火節(ガータクスカ・)の三週目(ヴァンコム) 《親指(ヅーク)》の月



 古地図によれば、エヴェロイは翡翠山脈(ガヤル・サヂテリオ)を越えた更に西、ドンダルヴァエと呼ばれる土地にある。西の航路の要である港町ヴァストイまでは今日でも栄えているし、その先にしても、今でこそ人の往来も絶えているが、かつては立派な街道が築かれ、ミルファ河から水路が引かれていた。だから私は寂れた街道と崩れた水道橋に沿って廃都へ向かえばよかった。

 私の故郷では秋分(エフェリュカ)を過ぎれば風は早々に冷たさを帯びていたものだが、この地方はずいぶん暖かい。広葉の木々はその手を空に伸ばし続け、野生の(レン)はまだ熟れきってはおらず、人が少ないせいか、獣たち(シャボリオ)は私たちを見ても形だけ逃げてみせるだけだった。

 驚異的に湿っぽいシエトゥのため息(シャツシェト)(季節風)に見舞われたのと、腐れチーズ(ファリンチャ)がラシュトス(崖や岩壁にくっついている巨大な顔。あまり動かず、山羊を飼っている)の山羊(ラクモク)を仕留めてしまい、ちょっとしたいざこざとなった以外は順調な旅だった。



●「書への名乗り」ローマ字表記


Latú dj'urkhetónch'f ó rašdoch' ar Azreto Lésev, vlagoch' Chésekoi séa Lenkalér osmiír sen-Lórgnia, sašnoch' Djímói hér Zímér ói'h túreloch' ilya Arituria.


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ