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――やっぱり!
その時、声がした。
「あいつらが来たぞ」
「心配するな。俺たちも来た」
気づけば父と祖父が木梨の左右にいた。
木梨は周りを見た。
真っ白な空間にいる。
工場から通りに出たはずなのに。
「あれだ」
「あいつらだ」
見れば目の前に作業服を着た男が二人立っていた。
そして憎悪そのものの目で木梨を見ている。
男が言った。
「おや、助っ人が来ているぞ、二人」
「二人とも、俺らが殺した奴じゃねえか」
父と祖父が言った。
「確かにお前らに殺されたが、今度はそうはいかないぞ」
「今度は俺たちが、おまえらを叩きのめしてやる」
木梨が男たちに言った。
「おい、どうしてこんなことをするんだ。ひい爺さんのことは俺たちとは関係ないぞ。産まれる前の話だ」
二人はお互いの顔を見た後、笑いながら言った。
「産まれる前の話だあ。そんなの知ったこっちゃないね。おまえのひい爺さんに俺らはひどい目に合ったんだ」
「胸を患って寝たきりになり、長く苦しみながら死んだんだぜ」
「だから一族みんな、呪ってやろうと思った」
「社長を殺した後も、孫子の代までたたってやると決めたんだ」
「孫子どころか、少なくとも七代はたたってやるけどな」
「だから子供が産まれるまで待ってやったんだ」
「子供が産まれる前に殺したら、呪う子孫がいなくなってしまうからな」
そして高らかに笑った。
父と祖父が言った。
「残念だったな。こっちは三人いるんだぞ。どういうことか、わからないのかい」
「おまえら二人じゃ、勝ち目ないってことだ」
二人が笑うのを止めた。
そして低く言った。
「俺らはみんなの代表なんだ」
「社長にひどい目にあったのは、二人だけじゃないぜ」
すると二人の後ろに現れた。
同じ作業服を着た男が。
その数は、十人はいた。
木梨は路上で倒れているところを発見された。
もがき、苦しみ、わめき、叫んでいた。
病院に行ったが原因は不明。
総合病院に大学病院まで行ったが、医者には何もわからず、どうすることもできなかった。
木梨はずっと見るに堪えないほど苦しみ続け、五日後に全身の穴という穴から血を流し、息を引き取った。
終