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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第四章 行商仕入れ旅編
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第四話 シャルロッテの回想

私の名前は、加藤さゆり。二十四才独身。・・・でした。


私は車の前に飛び出した近所の男の子をかばい、死んでしまった。

そして、私は馬として転生した。


『うぎゃー! 何てこったー!』


転生前の意識がはっきりしたのは、馬として生まれた瞬間。

そして、ここが異世界だと知ったのは、しばらく経ってからの事だった。



そして、私が転生してから三年の月日が過ぎた。


わたしは三年間、まだ誰もこの背中に乗せてない。

私を育てた、牧場の家族でさえも。

私が背中に乗せるのは、《金髪美少年》と決めている。


そして、やっと巡り会えた。


彼とおじさんは、馬を購入する話をしている。

私は彼の気を引こうと、アピールの方法を考えた。

でも、私は馬である。私の声は、彼に届かない。


私は苦肉の策で、ちょっと変わった態度をとる事で、彼が興味を持つよう仕向ける。

そして、なんとか興味を引く事に成功し、念願叶って金髪美少年を背中に乗せる事ができた。


《至福の時》である。

このまま、私のご主人様になって貰いたい。


私は調教をちゃんと受けてないので、合図だけではどう動いていいか分からない。

しかし、異世界の言葉は理解している。

私は金髪美少年の言葉に合わせ、なんとか動く事ができた。


そして私は、ついに《彼の物》になった。

嬉しくて、堪らない。


ここにいると、牡馬のアピールが鬱陶しい。

早く、私をここから連れ出して。



私は始めて牧場の外を、金髪美少年の操車で走った。


嬉しさのあまり、足が自然に早くなってしまった。

そんな私を、ご主人様は止めて注意した。


私は落ち込んでしまったが、私に名前を付けてくれる事になり、期待して待った。


ご主人様は、私に《シャルロッテ》という可愛らしい名前を付けてくれた。

私は、ご主人様に喜びをアピールした。



街道を走っていると、十人の馬に跨る盗賊に道を塞がれてしまった。


ご主人様の指示で、私は止まった。

私はせっかく掴んだ幸せが、こんなに早く終わってしまうのかと心配になった。


ご主人様は、盗賊と会話をする。

そして、盗賊は私を寄こせと言っている。


『そんなの、嫌! あんな汚らしい盗賊の物になるなんて、我慢できない』


そんな事を考えていると、突然風が吹いた。

そして、牡馬が私に興奮しだした。毎度の事ながら、本当に嫌になる。


『私は元人間だから、あなた達はお呼びじゃないのよ』と、言ってやりたい。


私は牡馬達から逃げる為、来た道を引き返したかったが、荷車を引いているので小回りが利かなかった。

私は牡馬達の隙間を掻い潜って、突破した。


私はそのまま走り続け逃げようとしたが、荷車を引いてる分私のほうが遅く、盗賊に追いつかれてしまう。

そんな心配をしていると、ご主人様が『盗賊を止める』と、言い出した。


追い付いた盗賊は、七人もいた。

騎乗してない馬が三頭いたので、三人は落馬したらしい。

『ご主人様一人で大丈夫なの?』と思ったが、あっという間に全員倒してしまった。


ご主人様は、あれなの?

この世界の主人公なの?

素敵過ぎる(ハート)。


この時、私は人間に()()れ代わりたくなった。馬だけに・・・。


直後、私は牡馬に囲まれ、夢から覚めた。

そして、私は悲鳴を上げた。


ご主人様が魔法で結界を張ってくれたが、気分のいいものではなかった。



捕まえた盗賊を馬車に乗せ街道を走ると、牡馬が付いて来た。


ご主人様が私に《消臭》の魔法を掛けてくれたお蔭で、牡馬達の興奮が治まっていた。

それでも私は凄く嫌で、ご主人様の言う事を聞かず、スーピードを上げてしまった。


次の街で盗賊と牡馬は、衛兵に引き渡された。

やっと牡馬達から開放され、私は落ち着く事ができた。



ご主人様のペットの猫が、人語を話してる。


会話から、ご主人様と猫は私と同じ転生者だという事が分かった。

私は猫のシロンに、馬語で話し掛けてみた。


「シロン、あなた転生者なの? 私も、元日本人の転生者よ。でも、あなたみたいに人語が話せないの。ご主人様に、伝えてくれない?」


「なんニャ。転生者だったニャ。シャルロッテも、金髪美少年好きニャ?」


シロンは、私の金髪美少年好きを見破った。


「私は金髪美少年に出会うのを夢見て、やっと叶ったの。今まで、誰も背中に乗せて無いわ」


「好みが被ってるニャ。ご主人は、シロンのご主人ニャ。シャルロッテに渡さないニャ」


シロンは、結局私の願いを叶えてくれなかった。


でも、私は諦めない。


ご主人様が私を転生者だと気付き、可愛がってくれるその日まで。

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