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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第四章 行商仕入れ旅編
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第二話 シャルロッテ

僕は四十万マネーを支払い、牧場のおじさんから馬車を受け取った。


荷台には、騎乗用馬具と餌の飼葉が積んであった。


「この飼葉は?」


「サービスだ。餌をやる時に、少し塩を混ぜてやれ」


「分かりました。ありがとうございます」


僕はおじさんにお礼を言って、御者台に座り手綱を取った。

シロンは、飼葉の上で早速寝ている。


騎乗した時もそうだが、この馬は誰も乗せて走った事が無いと言ってた割りに、僕の言う事は聞いてくれる。

合図をすると、素直に走り出した。


「お前、いい子だな」


「ヒヒーン!」


まるで、僕の言葉が分かっているかのように応える。



しばらく走っていると、気分がいいのか馬は張り切ってスピードを出そうとする。

僕はそれを嗜めるのが、結構大変だった。


飼葉が風で飛ばされるので、馬車を道の端に一旦止めた。


「ご主人、どうしたニャ?」


「寝てるところ悪いけど、飼葉が風で飛ばされるから、しまいたいんだ」


「分かったニャ」


シロンは、素直にどいてくれた。

僕は餌用に用意した魔法袋に、飼葉を全てしまった。


「ご主人、干し草の上で寝るのも、気持ち良かったニャ」


「ごめんな。変わりに、これを使ってくれ」


シロンには、いつも使っているスノーウルフの寝床を出してやった。



僕は荷車の前に移動し、大人しく立ち止まっている馬に話し掛けた。


「なあ、お前。スピード出し過ぎだぞ。もうちょっと、ゆっくり走ってくれよ」


そう言いながら、馬を撫でてやる。


「ヒヒーン!」


「こいつ、返事はいいんだよな。そう言えば、名前を付けてないな」


「ヒヒーン!」


「牝馬だから、女の子の名前だよな。どんなのがいいんだろう」


馬の名前を付けた事がないので、直ぐに出てこない。


「えーと、《シャルロッテ》でいいかな」


一応、馬にも聞いてみる。


「お前の名前、《シャルロッテ》でいいか?」


「ヒヒーン!」と鳴きながら頷き、頬ずりをしてきた。


彼女の名前は、《シャルロッテ》に決まった。



しばらく走り、今度は昼食をとる為に、開けた場所に馬車を止めた。

シャルロッテを荷車から離し木に繋ごうと思ったが、自由にさせても大丈夫な気がして繋ぐのを止めた。


「シャルロッテ、お昼の準備をするからその辺で遊んでいいよ。遠くへ行くと危険だから、僕が見えるところにいるんだよ」


シャルロッテは『ヒヒーン!』と鳴いて、散歩に出掛けて行った。


僕はタライに塩を混ぜた飼葉とリンゴを入れ、桶には《水属性魔法》の《飲水》で水を入れた。

シャルロッテは、その様子を見て戻って来た。


『食べていいぞ』と言うと、シャルロッテは早速食べ始めた。

どうやら、お腹が空いていたようだ。

いい勢いで、食べている。


僕は自分用に、パンにハムとチーズをはさんで食べる。


シロンも、僕と同じメニューだが少なめだ。

おやつには、バナナのスライスを三切れ付けてやる。残った分は、いつものように僕が食べる。



シャルロッテを休ませている間、僕は荷車の改造をする事にした。


実を言うと、魔改造済みの荷車は《亜空間収納》に何台もあったので、その中から選んで錬金術の《複製》能力で改造するだけだ。

一から作るより、《複製》の方が手早くできた。


「見た目は、行商人っぽくて地味目なやつがいいな。小回りが利くように、小さめのでいいかな」と呟きつつ、錬金術を掛ける。


《複製》能力を使うのに、《亜空間収納》から対象となる荷車をわざわざ出す必要はない。

それは、改造に必要な材料にも言える事だ。


荷車に錬金術を掛けると、造りのしっかりした幌が付いた荷車に変わった。

振動吸収機能を要し御者台の座り心地が良く、《重量軽減》の付与も掛けてある。


「行商人の馬車だから、こんなものかな」


「ご主人、すごいニャ!」


「ヒヒーン!」


シロンもシャルロッテも驚いていた。



休憩後、街道を進んでいると、お約束の盗賊に遭遇した。


「兄ちゃんよ。馬車と金を置いて去りな。素直に言う事を聞けば、命は助けてやんよ」


しかし今回は、貴族の御令嬢やお姫様を助けるとかではなく、自分達がターゲットだった。

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