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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
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第三十四話 キャンプのやり直し

夕べの帰りは午前様だった事もあり、今日は随分遅い時間に起きた。


昨日は朝から海産物を買いに海に行ったり、滝のある山にキャンプに行ったり、何百回も転移を繰り返して八百キロ離れた隣国に行ったり、スタンピードからダンジョン探索者を救出したり、魔王に遭遇したりと、いろんな事があり過ぎて本当に疲れた。


そして今も、エミリの追及を受けて、疲れに追い討ちを掛けられているところだ。


「ニコル君。勇者の事やダンジョンでの救出の事は分かったけど、スタンピードの原因を隠してるでしょう」


僕は悩んだ挙句、魔王の事は黙っている事にした。

エーテルの街のダンジョンには、まだ行かないといけないので、二人に変なプレッシャーを掛けたくなかったからである。

ダンジョンでの滞在期間中は、魔王に遭遇しない事を願うばかりだ。


「勇者の勇也さんは、何も教えてくれなかったよ」


僕はエミリの《魔眼》をかわす為、本当の事を交えて答えた。


「ウソは言ってないようだけど、誤魔化してるわね。そ・れ・に、そのステータス! どうして、そんなに変わっちゃったのよ!」


『ステータスの《職業》を変えたら、こうなった』と教えてもいいが、『魔王と一戦交えそうになったから《職業》を変えた』とは、不安を煽るので言えなかった。


「何か、ステータスの《職業》を変えたら、こうなったんだよね」


「そうなの。でも、まだ何か隠してるわね」


「エミリ、もういいじゃない。ニコル君だって、言えない事はあるわ。今日は、キャンプをしに行くんでしょ」


「エミリ、男を追い詰めるのは良くないニャ。ご主人に逃げられたら、どうするニャ」


シロンは、何気に失礼な事を言っている。


「分かったわよ。でも、そのステータスだったら、魔王を相手にできそうね」


『ぎくっ!』


「今、動揺したわね!」


「三年後、魔王と戦いたくないな。なんてね」


僕は言葉を選んで、慎重に答えた。


「怪しい!」


「エミリ!」


「さっき言った事、もう忘れてるニャ。キャンプが遅くなるニャ!」


「分かったってば!」


そこで話しが終わり、キャンプ地へと向かった。



僕達は、《転移魔法》でキャンプ地に到着した。


「ニコル君は疲れてるだろうから、ゆっくりしててください」


「うん、そうさせてもらうよ」


僕は先日《亜空間収納》にしまった物を取り出すと、天然プールの横に木製のチェアベッドを置いた。


「ご主人、シロンのもお願いニャ」


「ああ、そうだな。みんなの分も出すか」


そうして、人数分のチェアベッドとクッションを取り出した。


「ご主人、ありがとニャ」


シロンはそう言って、チェアベッドのクッションの上で横になった。

僕も一緒に横になり、美しい自然に囲まれ体も心も癒された。


「ご主人、魚がいっぱいいるニャ」


「そうだな。水が綺麗だから、良く見える」


「魚、捕まえるニャ」


「昨日、ユミナがいっぱい買っただろ」


「キャンプで釣りは、定番ニャ」


「そうか、ゆっくりしたい気持ちもあるけど、これだけ魚がいると釣りもいいかもな」


天然プールにいる魚は、主にアユだった。


アユと言えば友釣りが有名だが、オーソドックスな平竿に浮きのスタイルにした。

撒き餌を使うといいようなのだが、目の前にたくさんいるので、それをする必要は無かった。

ユミナから、昨日買ったイカの足を分けて貰い、針に刺して餌にした。


「おっ、もう引いた」


浮きの動きに合わせ竿を上げると、アユを吊り上げた。


「ご主人、凄いニャ」


釣った魚は網状の袋スカリに入れ、生きたまま確保する。


その後アユは、入れ食い状態で次々と釣れた。



「ニコルくーん、準備できたよー」


「分かったー」


エミリに呼ばれて二人の元に行くと、バーベキューの食材が切り並べられて、ピザも焼き待ちの状態で何枚も用意されていた。


「ニコル君、ピザの焼き方教えてください」


「そうだね。でも、実際の調理は、素人に毛が生えたようなものだからね」


今のユミナは、パーカーの前を閉じてないので、ビキニの水着姿が凄く主張している。

手取り足取り教えたいが、理性が邪魔をする。


「ピザ釜の温度が高いから、焦げないようにピザの向きを変えながら、二分くらいで焼き上げるんだ」


などと、ユミナに口頭で指導し、決して体に触れる事はしなかった。


その間、エミリはバーベキューコンロの上に、野菜や海鮮を乗せていた。


ユミナの焼いたピザは、思いの他上手に焼き上がりった。

流石に、《料理スキルレベル3》を持っているだけはある。僕なんかより、手際がいい。


ユミナがピザを切り分け、出来上がりをみんなで食す事になった。


「このピザ、美味しい。ユミナ、今度屋敷でも作ってよ」


「生地の作り方を、ニコル君に教わってからね」


「だってさ、ニコル君」


「分かったよ。後で教える」


「ご主人、ピザ美味しいニャ! でも、アユも食べたいニャ!」


シロンは猫のくせに、猫舌ではなかった。だが、猫らしく、自分の欲求には忠実だった。


「アユか、ちょっと待ってろ。今焼いてる食材を、食べてからな」


今回バーベキューに使った海鮮は、貝類とエビとイカだけで魚は無かった。

僕はシロンの意見を取り入れて、釣ったアユを焼く事にした。


ピザや海鮮や焼きとうもろこしを食べ、切りのいいところでアユを下処理し串に刺して焼く。

前世のテレビで見たんだが、アユから出る油を利用してじっくり焼く事で、皮がパリパリして美味しそうだったのを思い出す。


「ご主人、美味しいニャ! 料亭の味だニャ!」


「これ、凄いよ! 素材もいいけど、焼き方がいいのね」


「美味しいです! アユなら王都でも手に入るので、私も今度やってみますね」


ピザより、こっちの方がみんなのウケが良かった。



食後は、みんなで天然プールで遊ぶ事になった。


「ユミナ、何恥ずかしがってるの。ニコル君しか、男はいないのよ」


「でも」


「ユミナ、シロンはスッポンポンでも恥ずかしくないニャ」


「シロンは、猫でしょ」


シロンの言葉に、僕は思わずユミナのスッポンポンを想像してしまった。


「ニコル君は昨日、ユミナの《お願い》を聞いて頑張ったんだから、サービスしてあげなさい」


ユミナはその一言が決め手となり、パーカーを脱いで水着を披露した。


僕は今回の件で口を出せなかったので、エミリとシロンに感謝した。


「ご主人、見過ぎニャ!」


「ばっ、馬鹿、ちょっと見ただけだろ!」


その後みんなは自然の中で心と体を癒し、明日からのダンジョンに備えるのであった。

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