第三十二話 転職
2021/05/08 ステータスのアイテムの表記を修正しました。
2021/04/19 ステータス表記を追加し、一部内容の修正をしました。
ダンジョンの様子を窺っていると、勇也さんが目の前に現れた。
「勇也さん!」
「ニコル! 何で、こんなところにいる?」
「偶々です」
ユミナの《未来視》スキルに触れたくないので、誤魔化した。
「そんな訳無いだろ!」
「まあ、いいじゃないですか」
「でも、ちょうど良かった。スタンピードが起きた。閉じ込められた人達の救出を、手伝ってくれ!」
「救出ですか? 分かりました」
「助かる!」
「でも、どうしてスタンピードが起きたんですか?」
「うっ、それは言えない。俺の命に関わる」
『命? いったい、何があったんだ』と、心の声。
「よく分かりませんが、そういう事なら聞きません」
「すまん。一刻も早く、俺の《空間転移》スキルとニコルの《転移魔法》で救出だ!」
「はい。それじゃ、僕を各階に連れて行ってください。その後、二手に分かれましょう」
「そうだな」
その時、僕は気付いた。
「勇也さん、ちょっと待ってください。魔法で《変装》しませんか?」
「変装?」
「《転移魔法》を使える事を、知られたくないんです」
「そうだな」
僕達は素早く場所を移動し、別人に変装した。
これは、グルジット邸で入手した魔法書《無属性魔法》の一種である。
「凄いな。こんな魔法も、使えるんだ」
「ええ、まあ」
「それじゃ、《転移》するぞ!」
「はい!」
こうして二人は、スタンピード中のダンジョンに侵入した。
◇
最初に逃げ場の無い、地上一階の通路で非常扉に閉じ込められた人達を助け出した。
そこは雑魚モンスターばかりで、怪我人はいなかった。
その後、地下一階から地下十三階まで、順番に転移してまわった。
その時、僕は違和感を感じた。
「勇也さん。何か、おかしくないですか?」
『ギクッ! もしかして、魔王に気付いたのか?』と勇也は思ったが、その事は口に出せない。
「何が、おかしいんだ?」
「魔物の《殺気》を、感じないんですよ。僕らを見ても、襲ってくる気配もありませんし」
「そう言えば、そうだな」
「何でですかね?」
「どっ、どうしてだろうな。俺にも分からない」
勇也は『魔王が関係している』と、心の中で思った。
「二手に分かれる前に、勇也さんに僕の魔力をあげます。大分消費してるでしょ」
「そんな事もできるのか? 助かる」
「それじゃ、いきますよ」
僕はそう言って、《魔力譲渡》を発動させた。
「凄いな。魔力が満タンになったぜ。それじゃ二コルは地下一階から奇数階を、俺は地下二階から偶数階を行く」
「分かりました」
こうして僕と勇也さんは二手に別れ、救出に向かった。
◇
日を跨ぐ頃、ようやく救出が終わった。
だが、魔物に立ち向かったダンジョン探索者が、返り討ちに合い多くが死んだ。
一方、魔物の大群に恐れをなし、逃げ隠れした者は助かった。
そして僕達は合流し、地下十二階にいる。
「勇也さん。もう、人はいないようです」
「ああ、二コルのお蔭で助かった」
「それじゃ、《変装》を解いちゃいますね」
「ああ、頼む」
『シュタッ!』
《変装魔法》を解いていると、突然何かが現れた。
「ハハハッ! お主ら、ご苦労だったな」
「なっ、お前!」
勇也は《死ぬ魔法》を掛けられ、『魔王』と呼べなかった。
「勇者よ。仲間がおったのだな。しかも、なかなかに強い」
「偶然、会ったんだよ! お前のせいで、酷く疲れたぞ!」
「そうか、それは良かった。まだ動けそうだし、地上の《非常扉》を破壊してやろうか?」
男はとんでもない事を、口走った。
「ばっ、馬鹿な事言ってんじゃねえ! もう、懲り懲りだ!」
僕は二人の遣り取りを見て、目の前の男は何者なんだろうと思い《鑑定》してしまった。
「魔王」
その他の情報は、名前とレベルしか分からなかった。
「我を鑑定したのか。そう、お主の言う通り我は魔王だ」
僕は圧倒的な《レベル差》に冷や汗をかきながら、どう行動すべきか考えた。
そして、僕が辿り着いた答えは《転職》。
僕はステータスを開き、本業を《ダンジョン探索者》に変えた。
すると、僕は光りに包まれ、体の構造というかステータスが変わっていくのを感じた。
「なっ! ニコル、どうしたんだ?」
「こやつは、何をしておるのだ?」
勇也さんと魔王は、突然光り出した僕に困惑した。
◇
そして光が止んだ時、僕の本業は《大魔導錬金術師》から《ダンジョン探索者》に変わった。
【名前】ニコル
【年齢】十五才
【種族】人族
【性別】男
【職業】(本業)ダンジョン探索者・大魔導錬金術師・見習い商人
【称号】-
【レベル】158
【体力】96400/96400←2410/2410(×40)
【魔力】48200/48200←241000/241000(÷5)
【攻撃力】5640←232(×20)+1000
【物理防御力】5640←232(×20)+1000
【魔法防御力】5640←232(×20)+1000
【筋力】4640←232(×20)
【敏捷】4640←232(×20)
【持久力】4640←232(×20)
【精神力】2320←232(×10)
【知力】4720←472(×10)
【運】2320←232(×10)
【賢者の石魔力量】500,123,234
【スキルポイント】140
【固有スキル】大魔導錬金術(Lv10)/検索ツール(Lv10)/亜空間収納(Lv10)
【スキル】剣術(Lv10)/体術(Lv10)
魔力感知(Lv5)/危機感知(Lv10)
魔力操作(Lv10)/魔法言語(Lv1)/身体強化(Lv10)/威圧(Lv1)/瞬動(Lv5)
農業(Lv1)/採取(Lv1)/狩猟(Lv1)/採掘(Lv1)/御車(Lv1)/騎乗(Lv1)/料理(Lv1)
【魔法】火属性魔法(Lv1)/水属性魔法(Lv1)/風属性魔法(Lv1)/土属性魔法(Lv1)
氷属性魔法(Lv1)/雷属性魔法(Lv1)/光属性魔法(Lv1)/闇属性魔法(Lv1)
聖属性魔法(Lv1)/空間属性魔法(Lv10)/防御属性魔法(Lv1)/結界属性魔法(Lv1)
重力属性魔法(Lv1)/付与属性魔法(Lv1)/無属性魔法(Lv1)/生活属性魔法(Lv3)
【武器】魔鋼の片手剣(攻撃力:+1000)・(強靭(中)付与)・(腐食耐性(中)付与)
【防具】オーガの皮鎧(物理防御力:+1000)・(魔法防御力:+1000)・(防汚(中)付与)
【アイテム】指輪(魔力回復(超特級)付与:全魔力回復所要時間8H)
ネックレス(状態異常耐性(超特級)付与:完全耐性)
「ニコル、お前! ステータスが、滅茶苦茶上がってるぞ!」
「何だ、こ奴! 先程のステータスと、全く違うではないか!」
魔王は意外にも、驚いていた。
それもそのはず、魔王が見たニコルのステータスは、自分を上回っていたのだ。
だが魔法の実力は、魔王の方が圧倒的に上だった。
「ニコル、魔王を倒すぞ!」
「ちょっと待て! ニコルとやら、話しがある。勇者抜きで話しがしたい」
「えっ!」
僕は魔王のその言葉に、戸惑った。




