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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
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第三十話 《お願い水着Ver.》発動

ユミナが、不吉な言葉を発した。


「ユミナ。スタンピードって、魔物がダンジョンから出てくるやつか?」


「はい、《未来視》スキルで視えました。ですが、スタンピードの対策がとられていて、地上の非常扉が魔物を感知し閉じられます。地上の人達は大丈夫ですけど、ダンジョン探索者がダンジョンに閉じ込められてしまいます。たぶん、今日中に起こります」


「まさか、エーテルの街のダンジョンか?」


「いえ、違います。場所は分かりませんが、オーエンという名前の街です」


「オーエン? 知らないな。調べてみるか」


僕は《検索ツール》で、ダンジョンのあるオーエンという街を探した。


「あったけど、隣国のアルシオン王国だった。この国と隣接するユンベルグ辺境伯領だって」


「アルシオン王国ですか?」


「うん。だけど、何でユミナが他国で起こる事を見るんだ?」


「それって、《勇者》が関ってるんじゃないかな? この国とニコル君に繋がりがあるし」


エミリから、鋭い指摘が入る。


「そうかもしれない」


僕は勇也さんの居場所を、《検索ツール》で探した。


「当たりだ。《勇者》は、オーエンの街のダンジョンにいる。でも、何で?」


「どうするの? ニコル君」


「どうするって、他国だし距離もここからだと《八百キロ》もある。それに、僕なんかが口出しする事じゃないよ。アルシオン王国の問題だ」


「それは、そうだけどさ」


「ニコル君。私、どうしたら・・・」


「ユミナは、何もする必要は無いよ。君が悪い訳じゃない」


「でも」


ユミナはそう言いながら、沈んだ顔をする。

僕はそんなユミナの気持ちをどうにかしてやりたいと、余計な事を言ってしまった。


「ユミナがどうしてもって言うなら、何ができるか分からないけど、僕一人でオーエンの街に行って来るよ」


ユミナは数秒考え、真剣な眼差しで言葉を発する。


「ニコル君、お願いします。一人でも、多く救ってください」


ユミナの《お願い水着Ver.》が、発動されてしまった。これじゃ、行くしかない。


「分かった行って来る。でも、君らをここに残して行く訳にいかないから、一度エーテルの街に戻るよ」


「ピザもバーベキューも、中止かニャ?」


「日を改めて、やるよ。今は急いでるから、この辺にある物はこのまま《亜空間収納》にしまっちゃうね」


「そんニャー」


「しょうがないわね」


「お願いします」



片付けを済まし、僕達はエーテルの街に戻った。

距離にして百キロはあるが、《転移魔法》で一瞬で着いた。


「それじゃ、オーエンの街に行って来るよ」


「はい。気を付けてください」


「行ってらっしゃい」


「早く帰ってきてニャ」



僕はみんなに見送られ、キャンプ場に転移した。

僕が行ける範囲で、ここがオーエンの街に一番近かった。


「さて、どうするか」


八百キロを、どうやって行くか考えた。

しかしいい案は浮かばず、面倒だが目視できる範囲で、《短距離転移》を繰り返す事にした。



四時間掛けて、国境に辿り着いた。


「いやー、疲れた。数百メートルから数キロを、何百回も転移したんだから当然だよな」と、愚痴を言う。


その後、出国と入国の申請なんかもあって、無駄に時間とお金が掛かった。

僕は行商人なんで、適当な物を仕入れに行くと嘘も付いた。


結局、オーエンの街に着いたのは夕方だった。

そんな時、ダンジョンの施設から大声が上がった。


「大変だー、スタンピードだ!」


ここでも、誰かの《ご都合主義》が発動した。



話しの内容をこっそり聞くと、魔物が地上に出て来て、通路の非常扉が全て閉められたそうだ。

幸いにも、魔物は外に出て来なかったらしい。

しかし同時に、ダンジョン内にダンジョン探索者が閉じ込められてしまった。


「ユミナが、言っていた通りになったな」


「下層の強い魔物が地上に向かっているとすると、上層で活動している人達は抗えないぞ」


「この広いダンジョンに、いったい何人いるっていうんだ」


そして、ダンジョンの中に入り救出しようにも、非常扉が閉まっていた。


「僕はせっかくここまで来たのに、手をこまねいているだけなのか?」


そんな事を呟いていると、突然勇也さんが現れた。

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