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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
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第二十六話 乙女心が、分かってないよ!

繁華街には、未だに貴族の子弟と思わしき集団が幾つかいた。


貴族の子弟は、どうやら数家でダンジョン探索者パーティーを組んで、行動を共にしているようだ。


その中に、あのご都合主義の子爵嫡男を見付けた。

何かを話しているようなので、僕は彼にそっと近付き聞き耳を立てた。


「ユミナ嬢と運命的出会いを果たしたのに、奴に邪魔された。次期侯爵でなければ、蹴飛ばしているところだ。忌々しい」


『子爵嫡男と言い争ってた相手は、次期侯爵か。それじゃ、強く出れないな』


「せっかく同じダンジョンに来たのだから、パーティーに勧誘して私の勇士を見せるんだ」


『ほー、随分自身があるんだな』


「だったら、僕はエミリ嬢がいいなー」


「エミリ嬢なら、お前ら好きにしろ!」


「「「「やったー!」」」」


『へー、エミリもモテルんだ』



そこへ、子爵嫡男の護衛達が帰って来た。


「お前ら、ユミナ嬢は見つかったのか!」


「申し訳ありません。まだ、見つかっておりません。ただ、グルジット家とラングレイ家の別荘は、この街に無いそうです」


「ええいっ、別荘が無いのなら、滞在場所を商業ギルドで聞き出して来い。早くしないと、奴に先を越されてしまうわ!」


「わっ、分かりました」


『凄い熱の入れようだ』


『このままでは、見つかってしまうかもしれない』


『それに、次期侯爵の方も探してるのか?』


『探索能力のある奴がいたら、不味いな。何か対策を打つか』


僕はその場を離れ、買い物を済ませる事にした。



僕は借家に帰り、街の様子を彼女達に報告した。


「あの子爵嫡男、ユミナの事まだ探してたぞ。それに、次期侯爵も探してそうな事を言ってた」


「そうですか」


「あいつ、しつこいわね。どうしたら、嫌われてると理解させられるのかしら」


「子爵嫡男の取り巻き達は、『エミリがいい』って言ってたぞ」


「ウソ、やだー!」


「モテル女は、大変だニャ」


シロンは、僕が言いたかった事を代わりに言ってくれた。



「それから、滞在場所を商業ギルドで探してたから、情報を嗅ぎ付けてここへ来るかもしれない」


「ありえるわね」


「それで、人が近付けないように、この家の敷地に結界を張ったから」


「結界ですか?」


「うん。僕達以外、出入りできないようにしてある。だけど、見つかって外で騒がれるのも迷惑だから、君達は家の中にいて欲しい」


「何か、窮屈ね」


「ごめんね、エミリ。私の為に」


「ウソ、ウソ、大丈夫よ。全然、平気だって!」


「外に出る時は、《転移魔法》を使うからね」


「しょーがないわね」


「分かりました」


二人は、納得してくれた。



「でも、次期侯爵は見た目も性格よさそうだったけど、どこが駄目なんだ?」


「・・・」


「ユミナにそれを聞く? 酷いわねー、ニコル君。乙女心が、分かってないよ!」


「ご主人、酷いニャ!」


どうやら僕は、ユミナに無神経な事を言ってしまったようだ。


「いいのよ、二人共。ニコル君には、理由を知って貰いたいから」



ユミナは、少し間を空けてから話し始めた。


「私はこの目の能力の事が知られて、国や貴族に利用されるのが怖いんです」


僕はそれを聞いて、『なるほど』と思った。


「ユミナには言った事あるけど、それは私も同じ。だから今、自分を守れるようになる為、レベル上げに勤しんでるの。まあ、魔王襲来の件もあるけどね」


エミリも、ユミナと同じように考えていた。


「僕も同じだよ。家族は能力の事を知ってるけど、他の人にはなるべく知られないようにしてる」


「ニコル君。そんな事言って、私の家で結構な人数に見せてるでしょ」


『そうだった。そう言えば、孤児院でも能力を見せてたっけ』


僕がそんな事を考えていると、シロンが口を挟んできた。



「ユミナの理由って、それだけなのかニャ? ユミナは、どうしてご主人の事は大丈夫なんニャ?」


冷やかし半分の質問だった。


「えっ!」


だが、ユミナはその理由を言葉にできず、黙り込んでしまった。


「ユミナー、素直に言っちゃいなさいよー」


エミリは、それがユミナのニコルに対する《好意》で、単に恥ずかしがっていると思っていた。


しかしユミナには、親友のエミリにも言っていない《秘密》があった。

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