表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
72/401

第十六話 シロン、鉢合わせを回避する

僕達はダンジョンを出て、《ダン防》施設内を歩いている。


シロンは、いつものように鞄の中だ。


「戦闘時にニコル君がいないと、どれだけ守られてたか分かるわね。守備に攻撃に、へとへとよ」


「そうね。ニコル君がいたから安心して魔法が使えていたけど、守りが無いと詠唱を焦ってしまうわ」


「僕抜きで戦うのは、まだ早いかな。回復魔法が使えても、大怪我させる訳にはいかないからね」


歩きながらそんな話しをしていると、買取りカウンターが目に入った。


「そう言えば、魔石も素材も一つも買取りに出してないな。たしか、買取に出した魔石のランクと数で、探索者のランクが上がるんだよな」


「講習会でも、そんな事言ってたわね」


「うん。二人は、ダンジョン探索者のランクって気になる?」


「ランクが上がると、何か役に立つの?」


「エミリ、講習会で講師が言ってたでしょ。ランク別に、高額買取りの素材回収依頼があるって」


「そうだっけ?」


「それに高ランクだと、王国や貴族の兵士に就職するのに有利かもね。ただ、収入・安定・自由・危険なんかを天秤に掛ける必要があるけど」


「ふーん、そうなんだ。ニコル君のランクは、どうなの?」


「僕は一番下のGランクだよ。魔石を売った事無いからね。それに、本職は行商人だし」


「ユミナは、どうする?」


「今は、ランクに拘りは無いかな」


「じゃー、私もいいや」


彼女達がランクを上げたいと言ったら、魔石を売るつもりでいた。

僕はランクを上げたい訳じゃないから、結果的に良かったのだが。


僕達は用が無いので、そのまま《ダン防》を後にした。



今は、繁華街を歩いている。


そして、ダンジョンで話していた件を、もう一度二人に聞いてみた。


「二人の剣と杖は僕が強化するけど、武器屋と魔道具屋に寄る?」


「夕食まで時間があるし、行ってもいいかな」


「私も、行きたいです。あと、食材のお店もいいですか?」


「そうだね。じゃあ、順番に行こうか。でも、店員に気を持たせないでね」


「うん、分かったー」


「分かりました」


「ご主人、鞄から出てもいいかニャ?」


「ああ、いいぞ」


シロンは、鞄から跳び出した。



僕達は、折れた魔鋼の剣を買った武器屋に来ている。


店に入る前に、魔鋼の剣は鉄の剣に替えてある。

店主に剣を直したのがばれたら、面倒な事になりそうなので、その辺は抜かりない。


「いい物でも、私の剣と性能は変わらないわね。でも、こんなに高いんだ。自分で買ってないから、知らなかった」


エミリは、《魔眼》スキルで自分の剣の値段まで見てなかったらしい。


「杖も、やっぱり高いんですか?」


「王都の魔道具屋を見た時、いい物は高かったよ」


「装備の買い替えを想定してなかったから、そこまでのお金を持って来ませんでした」


「私もー」


「それはしょうがないね。それじゃ、一応魔道具屋にも行こうか」


「はい」


「そうね。行きましょ」


僕は、店主の顔をそっと窺う。すると、目が合った。


「おじさん、ごめんね。今回も買えないや」


「おう、頑張って稼いで、また来な」


「そうします」


最初から買う気は無かったので、店主には悪い気がした。

魔道具屋にも行ったが、見て回るだけでやはり何も買わず店を後にした。


「それじゃ、食材を見に行こうか?」


「はい。食材はまだまだ有りますけど、この土地の物があれば買いたいです」


ユミナの要望が叶うか分からないけど、僕が何回か通った店に寄る事にした。



「ご主人、聞き覚えのある嫌な声が聞こえるニャ!」


シロンの《超聴覚》スキルが、ある声を捕らえそんな事を伝えてきた。


「誰だ?」


「嫌な声と言ったら、あの貴族ニャ! 誰かに、怒鳴ってるみたいニャ!」


「王都でいちゃもんをつけてきた、あの子爵の嫡男か?」


「そうニャ!」


夏休みに入って、今日で七日が経っている。

王都からだと、昨日今日がこの街に到着するタイミングだ。

あいつに見つかると、ユミナに付き纏うのが想像につく。


「シロン、子爵嫡男はどっちから来るんだ?」


「商業ギルドの方から来るニャ」


「ユミナ、どうする?」


「私、会いたくありません」


「私も、嫌だなー」


「それじゃ、買い物は中止して帰ろうか?」


「はい」


「そだねー」


「帰るニャ」


僕達は《転移魔法》で、借家へ帰るのであった。


テンプレだと鉢合わせするんだが、今回はシロンのスキルに救われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ