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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
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第十五話 続けては無理ー!

お嬢様達とダンジョンに来てすでに五日が経ち、今はオーガがいる地下十階にいる。


この階には、すでに二日目の午後に辿り着いた。

しかし、彼女達が戦闘に慣れるにも経験値的にも、丁度いいと判断し留まっている。


そして今は、僕抜きと言うかエミリ一人で戦闘をしている。


「グギャーッ!」


『ギンッ!、ギンッ!、ギンッ!、ギンッ!』


オーガが、金棒でエミリを攻め立てる。エミリは、防戦一方だ。


「こいつ、強いよー。ニコルくーん」


「エミリ、一人で大丈夫って言っただろ」


まだ早いと思ったが、レベルも上がって調子に乗っていたエミリの鼻っ柱を折る為、一人で戦う事を了承した。

もちろん、危ない時には直ぐ飛び出せるように、目を光らせている。


「でもー」


「エミリ、魔法盾を出すわ」


「早く、お願い」


ユミナは、呪文を唱える。


「*****、*******、*****、*******、*******、魔法盾」


『ゴンッ!』


「きゃっ!」


「ユミナ、大丈夫!?」


「力が強い。でも、大丈夫!」


「いくわよ、やっ!」


「ギャー!」


『ゴンッ!』


エミリが金棒を持つオーガの腕を切りつけ、金棒を落とした。


「今だっ!」


「ゴフッ」


エミリは、オーガの喉に全体重を乗せた剣を突き刺し、致命傷を与えた。

すぐさまオーガを蹴っ飛ばし、突き刺さした剣を抜く。


「これで、終わりよ。オリャー!」


『ザシュッ!』


脆くなったオーガの首を、力を込めた剣の横一線で切り落とし、止めを刺した。


「やったわ!」


「やったね!」


エミリは苦戦の末、何とかオーガを倒せた。


「エミリ、喜んでるところ悪いんだけど、次がもうお待ちかねだぞ」


「えっ!」


一匹のオーガに手間取っていた為、戦闘の音に誘われ他のオーガが三匹集まって来た。

それを僕が《結界》で囲い、動きを封じている。


「えー! 続けては無理ー!」


「じゃ、いいんだね」


僕はオーガに張った結界を解き、《瞬動》スキルで近付く。

《魔鋼の剣》に魔力を通し、横薙ぎにすると同時に魔力の刃を作り刀身を伸ばす。

それを振り抜くと、オーガ三匹の胴が同時に真っ二つになった。


その間、一秒にも満たない。


「何それ、反則ー!」


エミリが、いちゃもんを付ける。


「ニコル君、凄いです」


「さて、この後どうしようか?」


「ニコル君、剣を替えたい。オーガ、結構硬いよ」


「持って来てるなら、替えてもいいよ」


「武器屋に行く! 予備の剣の性能は、変わらないの」


「そうなんだ。お父さんがあれだから、いい武器を持たされたと思った」


「こんなに先に進むと、思ってなかったんじゃないかな?」


普通学生は、夏休みを通してこの辺りまで来るのも難しいらしい。

まさかラングレイ伯爵も、《転移魔法》でスキップして進むとは思わないだろうね。


「ニコル君。私も魔道具屋に行って、杖を見たいです」


「ユミナもか。それじゃ、ダンジョンに入って五日目だし、出入り口から出ようか?」


「はい」


「でも、剣と杖は僕が強化してあげるから、買わなくていいからね」


「本当ですか? ありがとうございます」


「やったー! ニコル君、男前ー!」


「ご主人、シロンも攻撃力を上げたいニャ」


「シロンの事も、ちゃんと考えてるよ」


「ありがとニャ。何だかんだ言っても、ご主人は優しいニャ」


こうして僕らは、出入り口からダンジョンを出る事になった。

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