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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
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第十四話 ここだけの秘密

僕達は休憩後、《転移魔法》で地下四階に戻った。


シロンは食後眠っていたが、鞄の中に入れ連れて来た。


「シロン、まだ眠いか?」


「んニャ? ご主人、ダンジョンに着いたのかニャ?」


「ああ、着いたぞ。午前中の続きで、ゴブリンがいる地下四階だ。斥侯役は大丈夫か?」


「問題無いニャ。行って来るニャ」


シロンは鞄から跳び出し、魔物を釣りに行った。



「おまたせニャー!」


シロンが、ゴブリンを四匹連れて戻って来た。


「たくさん連れて来たな。良くやった」


「三匹は、任せてください。《光矢》《光矢》《光矢》」


ユミナが、待機させていた光の矢を三連続で放つ。


「残りは、私ね!」


残りの一匹を、エミリが剣の一刀で倒す。


「エミリ、危ないニャ!」


ユミナの攻撃で、急所が外れ生き延びたゴブリンが、エミリを背後から襲おうとしていた。


「ギャー!」


シロンが、跳び付いてゴブリンの顔を引っ掻いた。


『シュパッ』


シロンの掛け声より早く気付いていた僕は、《風刃》を放ちゴブリンの首を落とす。


「ありがとう。シロン、ニコル君」


「油断大敵ニャ」


「そうね。ユミナの攻撃が当たって、倒したと思い込んじゃった」


「エミリ、ごめんね」


「謝らなくていいわよ。今回は、私の落ち度。今度から、気を付けるわ」


「うん」


「二人だと、魔物の数が多くなると対応が難しいね。僕も、魔法盾で参戦するよ」


「う、うん。本当は遠慮したいけど、今のを見られたら、拒否できないわね。お願いするわ」


その後、僕が参戦した事で彼女達は攻撃に集中でき、効率良く魔物を倒しさくさくと進んだ。


ある程度レベルが上がり実力が付くまで、この体制で行こうと思う。



僕らは夕方になり、借家へ帰って来た。


「疲れたー。それにしても、一日でレベルが二つも上がるなんて、ダンジョンって効率いいね。ユミナ」


「私も、そう思う。一生懸命に勉強や訓練をして、一年に一レベル上がるかどうかだったしね」


「シロンも、五つレベルが上がったニャ。嬉しいニャー」


今日一日で、エミリとユミナはレベル8からレベル10になった。

シロンは元のレベルが低いという事もあり、二人より上がり幅が多く、レベル2からレベル7になった。


「だけど、ダンジョンって不思議よね。倒した魔物が、ドロップ品を残して消えちゃうんだから」


「精神的にも衛生的にも、良かったわ」


「お金になる素材も、大部分が消えちゃうから残念だけどね」


「みんながみんなニコル君みたいに、とんでもない収納が有るわけじゃないからね」


「それもそうか」


「解体も、しなくて済みますよ」


「ハハッ」


彼女達との、価値観のズレを感じてしまった。



「ダンジョン初日だし、ユミナは疲れてるだろうから、今日は僕が夕食を作るよ」


「そんな、悪いです」


「もちろん錬金術で調理するから、手間は掛からないよ。ブルドボアの上質ヒレ肉があるから、豚カツもどきでいいかな?」


「豚カツ、大好物ー!」


「私も好きです」


「食べたいニャー!」


どうやら、ユミナも納得してくれたようだ。


「それじゃ、豚カツとサラダとスープとご飯だね。すぐできるから、部屋着に着替えて来て」


僕は手早く《生活属性魔法》の《清浄》で体を綺麗にし、部屋着に着替えて食事を用意する。

手間を省く為、調理はすべて《亜空間収納》で行った。


二人が着替えに行って二十分程経ち、頃合いだと思いダイニングルームのテーブルに食事を並べ声を掛ける。


「凄いわね。もうできたの」


「美味しそう」


「いい匂いニャ」


「あっ、そういえば飲み物が無いな。何がいい?」


「赤ワインー!」


「ユミナも、それでいい?」


「はい。私も赤ワインでいいです」


僕は安物の赤ワインを取り出し、錬金術で美味しく熟成させる。

そして、切子ガラスでできたワイングラスを取り出す。まだ、ダニエル商会にも卸してない商品だ。


グラスを二人の前と僕の席に置き、ワインを注ぐ。


「素敵なワイングラスですね」


「あれっ、家にあるグラスに模様が似てる。やっぱり、ニコル君が作ったの?」


「そんな事、どうでもいいじゃない」


「でもこれ、ダニエル商会にも売ってないよね」


「さあ、どうかな。ご飯が冷める前に、食べようか」


僕は曖昧に答えたが、エミリにはお見通しなのだろう。


「まあ、言いたくないなら、追求はよしましょ」


「そうしてくれると、助かるよ。では、いただきます」


「「「いただきます(ニャ)」」」


「うまっ。王都の《お食事処やまと》の豚カツより美味しいよ。この肉凄いね」


「本当に美味しい。こんなに美味しい豚カツ、食べた事無いです」


「ご主人、美味しいニャ。幸せだニャ」


「そうだろ、そうだろ。魔物の肉とは、思えないよね」


僕もみんなの喜ぶ顔で、少し興奮してしまった。


「ハンバーガーといい、私もダンジョンのお肉持ち帰りたいなー」


「エミリが魔物を倒して、ドロップしたら考えてもいいよ」


「やったー。やる気出たー!」


ブルドボアやミノタウロスの階層まで行けるかは、また別の話しだけどね。


「このワインも、昨日のレストランのよりも美味しいです。それほど、高くないと思うのですが」


「どれどれ、ごくっ。ほんとだ、美味しい」


「これはさっき、錬金術で熟成させたんだ。何もしなければ、それなりの味だよ」


「これは、酒好きの王族や貴族に知れたら大変だね。ここだけの秘密にしないと」


「私も秘密にします」


「そうだね。周りで騒がれるのは好きじゃないから、よろしくね」


こうして夕食を楽しみ、この後は明日へ備え体を休めた。

2020/07/25 エミリとユミナの一日のレベルアップ幅を3⇒2に変更しました。

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