第十二話 お嬢様達の初ダンジョン
今日から、お嬢様達のダンジョン攻略が始まる。
そんな日の朝食時の会話である。
「シロン。昨日の晩ニコル君とは、どうだったの?」
「私も、気になります」
「二人には、内緒ニャ」
「お前、僕らが帰って来た時から、ずっと寝てただろ!」
「いい夢、見れたニャ」
「それは、良かったわね」
シロンは夕べの事を、それなりに満足していた。
話し変わって、エミリとユミナにちょっと気になっていた事を聞いてみた。
「今日からダンジョンで今更だけど、二人はお嬢様なのに、何でレベルを上げたいんだ?」
「異世界に転生したんだから、チートがしたいに決まってるでしょ」
「今までも、二人で頑張ったんですけど、伸び悩んでしまったんです」
「チートか、やっぱりそうだよね。僕もその気持ち分かる」
「それに、三年後に魔王が来るからね。少しでも、生存率を上げたいし」
「魔王か。そう言えば、勇者の勇也さんがそんな事言ってたな」
「ニコル君が、魔王を倒しちゃえばいいのに」
「あまり、無責任な事を言わないで欲しいな。そう言う僕も、勇也さんに同じような事言っちゃったけど」
「昨日の話しじゃないけど、魔王を倒せばきっと上級貴族になれるわよ」
「それじゃ、ますます遠慮したいな」
「二人ともお喋りはその辺にして、ダンジョンへ行く支度をしましょう」
「そうだね」
「分かったー」
◇
僕達は、ダンジョンに到着した。
三人の入場料は、ユミナが払ってくれた。
『猫の持ち込み禁止』とか言われると不味いんで、シロンは念の為、空の鞄の中に入って貰っている。
装備はおのおので用意し、僕は二人に何の手助けもしてない。
そこはまあ二人ともお嬢様なので、心配する必要が無かった。
今後必要であれば、付与アイテムを貸し与えたり、装備を強化する予定だ。
二人共魔法学科に進学してるので、当然魔法で戦うと思っていたが、エミリの方は剣と魔法で戦う魔法剣士スタイルだった。
どうも、父親譲りらしい。
「二人は初めてだし、地下一階からでいいよね」
「はい、いいです」
「そだねー。物足りなかったら、次の階に《転移》して貰おうかな」
彼女達は初ダンジョンという事もあり、地下一階から順番に攻めて行く事にした。
地上の通路を進み、地下への階段を降りた。
「へー、ここがダンジョンかー。わくわくするね」
「エミリったら、全然物怖じしないんだから。私は少し不安だわ」
「大丈夫だって。この階には弱い魔物しかいないって、ニコル君が言ってるじゃない」
「そうだけど、魔物でも命を奪うのよ。覚悟がいるの」
「まあ、私もそれには同意するわ。お互い頑張りましょ」
二人は、対照的な心情を語った。
「ご主人。シロンも、経験値貰えるのかニャ?」
「んー、分からないな。戦闘に貢献しないと、駄目なんじゃないか? 僕は戦闘しても、一切経験値が入らないけどね」
「ん? 何でニャ」
「神様から『錬金術でしか経験値が入らない』って、言われたんだ」
「「「そうだったニャ(のー)(んですか?)」」」
「でも、気にしなくていいから。ところで、シロンもレベルを上げたいのか?」
「せっかくだから、上げたいニャ」
「それじゃ、斥侯を頼めるか? 魔物を、僕達のところへ連れてくるんだ」
「ん、頑張るニャ。ご主人がくれた《物理防御力+1000の首輪》があれば、大丈夫ニャ」
「そうか、頼んだぞ」
「それじゃ、私が前衛でユミナが後衛ね。ニコル君は、危なかったら助けてね!」
「うん、任せて」
こうして、二人と一匹の魔物との初戦闘が、始まろうとしていた。




