表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第三章 お嬢様レベリング編
67/401

第十一話 お前ら、日本人だろ!

僕は着替え、リビングで二人が来るのを待った。


「お待たせー」


「お待たせしました」


お嬢様二人は、見事にドレスアップしている。

一方僕は、王都で買ったあの一張羅だが、どう見ても不釣合いだった。


「ニコル君、どうですか?」


「あっ、うん。ドレス似合ってるね」


僕は、戸惑いながらもユミナを誉める。


「また、二人の世界に入るのかな?」


僕はそんなつもり無いのに、エミリが変な事を言っている。


「エミリも似合ってるよ。二人は、ドレスを用意してたんだね」


「ニコル君が作ってくれた《魔法のウエストポーチ》に、一通り入れてきました」


「まあ、貴族令嬢だしね。何があるか分からないから」


「そうだね」


「遅くなっちゃうから、早く行きましょ!」


「ああ、そうだね。シロン、悪いけど行って来るよ」


「じゃねー」


「一人で、留守番させて御免なさいね」


「気にしなくていいニャ。楽しんできてニャ」



僕らは、シロンに申し訳なく思いながらも、予約した店に戻った。


《転移魔法》で移動してるので、それほど時間は経ってない。


店に入ると、席に案内された。


メニューを渡され、こういう場所に不慣れな僕は悩んでしまった。


「コース料理でいいんじゃない。ワインは、料理に合ったお手頃のを選んで貰えば」と、エミリがフォローをしてくれた。


「そうしてください」と、僕は店員に告げるだけだった。


心配だったが、予約無しでも対応してくれるらしい。


「エミリ、ありがとう。こういう店に、来た事がなかったんだ」


「任せて。親切なお姉さんが、『教えて、あ・げ・る!』から」


「ちょっと、エミリ。調子に乗りすぎよ」


「ごめーん」


「ところで、コース料理のマナーも分からないんだよね。スキルで、調べながらっていうのもね」


「それなら、私が教えます」


「ユミナ、違うでしょ。『教えて、あ・げ・る!』でしょ」


「エミリ!」


「てへっ!」



食事は、フランス料理風のコース料理だった。


食前酒から始まり、前菜、スープ、魚、シャーベット、肉、デザート、コーヒーをいただいた。

どれも文句の付けようが無く、美味しかった。


何となく、この店にも勇也さんの影を感じる。

フランス料理とか、それにコーヒーもあったし。


テーブルマナーが危うかったけど、ユミナの指導で何とか乗り切れた。


しかし、『高級店は、僕には合わないな』と、思っていた。

王都で通った食堂が懐かしい。

たしか名前は、《お食事処やまと》だったと思う。



店を後にし、酔いを醒ますのに街を散歩する。


「美味しかったねー。ニコル君、ご馳走様ー」


「美味しかったです。ニコル君、ありがとうございます」


「どういたしまして」


「支払いは、大丈夫でした?」


「うん、大丈夫だよ。ハハッ」


『王都で稼ぐ前だったら、やばかったけど』と、思うも言葉に出せない。

十万マネーを、超えてしまった。


「食事は美味しいけど、ああいう高級店はマナーとか緊張するよ」


「何言ってるの? こんなの馴れよ」


「前世でも、行く機会無かったしね。二人は貴族のお嬢様だけあって、自然だったね」


「そんな事言うなら、ニコル君には《チート》があるし、貴族になっちゃいなよ」


「そんな簡単になれるわけ無いし、なるつもりも無いよ。僕は『のんびり』暮らすのが、目標なんだ」


「私が男でニコル君のその能力があったら、てっぺんを目指したくなるけどな」


「ニコル君の能力は、貴族とか庶民とか超越してます!」


「庶民派の僕は、貴族社会を理解できないよ」


「そんな事言わず、でっかい功績を上げて貴族になったらいいのに」


「それ、私も賛成です。そうすれば、『ごにょごにょ』・・・」


「ユミナ、聞こえないよ」



そんな事を話しながら歩いていると、突然声を掛けられた。


「あれ、ニコルか? よく合うな。そうして着飾ってると、貴族令嬢の護衛みたいだな」


『鋭い。当たっている』


「アレンさんは、御食事帰りですか?」


「ああ、試験官連中と少し飲んで来たところだ。お前さんらは、試験に合格したみたいだな」


「ええ、おかげさまで。それで、お祝いにちょっと背伸びをしました」


「そうか、良かったな。ところで、お前らに質問があるんだが」


「何です?」


「お前ら、日本人だろ!」


「「「えっ!」」」


僕らは固まって、返事ができなかった。


「あれ、違ったか? 俺の感は当たるんだがな。酔ってるのかもな」


「「「・・・」」」


「まあ、気にしないでくれ。ダンジョンで、気を付けろよな」


「はい。おやすみなさい」


僕らは動揺を隠せないまま、《転移魔法》で借家へ帰った。



「ただいま、シロン」


返事が、無い。


「あれ、寝てるのか?」


「ねえねえ、ニコル君。あれは、気付いてるのかな? 《魔眼》からは、嘘は言ってないようだったけど」


「さあ、どうかな」


「でも、《鑑定》スキル持ってたよ」


「アレンさんの《鑑定》スキルが、エミリの《魔眼》スキルに匹敵するかは、分からないな」


「じゃあ、本当に感だけで言ったのかな?」


「そうかもしれないね」


「それで、今後どうするんですか?」


「どうしようか? 悪い人では無いと思うけど、君たちは伯爵令嬢だから、下手に情報を広めない方がいいと思う。まあ、信用できると分かれば、打ち明けてもいいかもね」


「そうですね」


「明日はダンジョンだから、お風呂に入って早く寝よう」


「はい」


その晩は、僕のベットで寝ているシロンを、約束通り抱きしめてやった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ