第四十三話 もうご主人から離れられないニャー!
僕達は、シロンが加わった事で簡単に自己紹介を済ませた。
そして先ほどの子爵嫡男が、昨日の子爵の息子だという事をシロンの口からもたらされた。
「いやー、似た者親子とはよく言ったものだな」
「まったくニャ」
「顔は似てないけどな」
息子の方は、イケメンだった。性格はあれだが。
「それにしても、《転移魔法》って凄いね。一瞬で着いちゃった!」
「私も驚きました!」
何て返事をするか迷って、スルーした。
「ご主人は、凄いニャ。女子学生を二人も部屋に連れ込んだニャ!」
「シロン! 誤解を招く言い方は止せ!」
「部屋にいるのは、事実ニャ!」
これ以上のやり取りは、やぶ蛇だった。
「それより、ここがニコルくんの住まいかー。何も無いね」
「家を出る時は、なるべく荷物を残さないようにしてるんですよ」
「ふーん、そうなんだー。ところで、お腹空いたね。ユミナ」
「私は、緊張でお腹いっぱい」
「ご主人、何か作ってニャ!」
シロンは、軽くそんな事を口にする。
「えっ、料理できるの? それなら、パンケーキ作ってよ!」
「パンケーキですか? 錬金術でなら作れますけど、家族にしか見せてないんですから内緒ですよ」
「錬金術で作るの? 分かった内緒にする!」
「それじゃ、あの店のパンケーキでいいですね」
僕は待ち合わせの店のパンケーキと紅茶を検索し、そのまま《亜空間収納》で人数分調理した。
備え付けのテーブルだと小さいので、椅子と一緒に《亜空間収納》にしまい、僕が作った四人掛けのテーブルと椅子を出した。
続いてテーブルにテーブルクロスを敷き、パンケーキと紅茶を取り出し並べる。
ちなみに、食器類は販売用に作った高級品を使用している。
シロンの分も、みんなと一緒の方がいいと思いテーブルに出してやった。
「さあ、みなさんできましたよ。適当に椅子に座ってください。シロンはこっちね」
「「「・・・」」」
「どうしたんですか?」
「ご主人のチートに驚いてるニャ!」
「ニコル君、何それ。便利過ぎる!」
「凄いです!」
「まあその辺の事は後にして、冷める前に食べましょう」
「「「うん(ニャ)」」」
みんな、それぞれ席に着いた。
「「「「いただきます(ニャ)」」」」
そしてお約束の挨拶の後、食べ始める。
「何これオイスイー。これ凄いよ。お店以上だよ!」
「本当に凄く美味しい!」
「オイシイニャー。もうご主人から離れられないニャー!」
それぞれ、感想を述べていた。そして僕も食べた。
「自分で言うのも何だけど、美味しいや」
「何かニコル君って、何でもできちゃうのね。ステータスをこっそり見たら、使える魔法もすごく増えてるし本当チートよね」
「げっ、また見たんですか? 僕も人の事は言えないけど、なるべく控えてますよ」
「いいじゃない。減るもんじゃ無いし」
「何を言っても、無駄ですよね」
「そう、これは見れる人の特権なの。でも、私も公にしてないからナイショよ。それでね、食べ終わったらお願いがあるの」
「嫌な予感しかしないんですけど」
「まあ、まあ」
たわいのない話しをしながらパンケーキを食べ終わり、紅茶のお代わりを注いであげる。
すると、エミリさんがさっきの話しの続きをしだした。




