第三十九話 ハーレムは作る気無い
先日、《日間ファンタジー異世界転生/転移ランキングBEST300》にランクインさせていただきました。
今日はすでに消えてるので、最初で最後だと思います。
いい記念になりました。ありがとうございます。
シロンと初めての朝を何事も無く向かえ、朝食を済ませた。
今日の午前中の予定は無い。
「シロン。今日は、午前中暇なんだ。何かしたい事は無いか?」
「ご主人と、一緒にいられればいいニャ」
「そうか、何も無いんだな」
シロンを当てにした自分が悪い。僕は改めて考える。
そう言えば、ダンジョンに行って思ったんだが、防具にいい物が無かった。
自分を初級者と装うにはこの間の防具でも良かったが、ラスボスを相手にするには防御力が足りなかった。
現にダメージを受けている。
「行商人だけしていれば、ダンジョン用の防具を着る機会なんて無いんだけどね。たまに盗賊と遭遇するけど」
今持っている最上位の装備は、《対ドラゴン用》に作った《オリハルコン》の大剣と鎧だけど、そんなもの目だってしょうがない。
「ダンジョンで手に入れた素材で、防具でもつくるかな?」
そこで、どんな物を作るか考えた。
しかしアイデアは出ず、《検索ツール》で日本の有名なゲームや漫画を検索すると、格好いい鎧がたくさん出てきた。
「これ、朱色で格好いいな。でも、派手だ。ヒーローじゃないんだから、勿体無いけど止めとこう」
「おっ、これなんかいいな。色は地味でも、デザインが僕好みだ。性能を高くしてやれば有りかな」
「材料は、地下十階でドロップしたオーガの皮を使おう。良すぎる物を使って、バレルのも嫌だかね。見る人が見れば、素材が何か分かるだろうし」
《亜空間収納》の中でも作業はできたが、こういう事は目の前で作った方が盛り上がる。
オーガの皮とその他の材料を取り出し、錬金術でパーツ毎に形を作っていく。
所々に魔鋼も使い、防御力を上げてやる。少しだけ、スノーウルフの毛を使い見栄えを良くする。
自分のアイデアも加え、徐々に出来ていく過程が実に楽しい。
そして、できた各パーツを錬金術で合体し鎧の形にする。
仕上げに、ミノタウロスの魔石を三個使い能力の《付与》をする。
それぞれに、《物理防御力(大)》《魔法防御力(大)》《防汚(大)》の付与を掛ける。
こうしてでき上がった皮鎧を試着していると、今まで静かにしていたシロンが話し掛けてきた。
「ご主人、凄く決まってるニャ」
「そうか? お世辞でも嬉しいぞ」
「そんな事無いニャ。本心ニャ。それより、さっきのは錬金術かニャ?」
「ああ、そうだ。転生する時、神様から授かったんだ」
「すると、アクセサリーやガラスの置物も錬金術で作ったのかニャ?」
「そうだ。昨日のステーキの調理も錬金術だぞ。割と何でも作れる。シロンの寝床も作ってやるよ」
「ご主人はチートニャ。イケメンだから、ハーレムでも作る気なのかニャ?」
「そんなつもり無いよ。錬金術で商品を作って、行商をするだけだ」
「うそニャ。チートでハーレムを作る主人公ニャ。お金もたくさん持ってて、戦闘力も勇者並みニャ」
「やけに突っ込んでくるな。正直否定しにくい部分は多いけど、ハーレムを作る気は無いから」
「本当かニャー?」
「どっちにしろ、シロンには関係無いだろ」
「関係あるニャ。ご主人に愛されたいニャ」
「今はどっちかって言うと、《居候》のポジションだな。まあ僕は《モフモフ》が好きだから、撫でてやらない事は無いぞ」
「《居候》なんて、ひどいニャ! でも、撫でて欲しいニャ」
そう言って、体を僕に擦り付けて来た。
僕が撫でてやると、満足した様子でのどを『ゴロゴロ』と鳴らしていた。
その後は、シロンの寝床を作ってやった。
材料は、贅沢にもスノーウルフの毛皮を使った。
「ご主人、寝心地いいニャ。ありがとニャ。でも、夜はご主人と一緒がいいニャ」
「毎日だと鬱陶しいから、気が向いた時ならいいぞ」
「分かったニャ。拒否されないだけよかったニャ。《都合のいい猫》になるニャ」
何か変な言い方をされたけど、スルーした。




