第四話 初めての錬金術②
2021/04/15 ステータス表記を追加しました。
《検索ツール》で一番近い海を調べると、南に二十キロ程の距離だった。
しかも、山を一つ越えないといけないので、五歳の僕には行けるはずもなかった。
「神様が『全属性の魔法が使える』って言ってたから、《転移魔法》を覚えるまで待とうかな」
僕は塩の事を、直ぐに諦めてしまった。
「さて、魔力を無駄に使うのも嫌だし、もう一度考えるか」
だが、無い知恵を絞って考えたが、なかなかいい案が浮かばなかった。
「小麦の実を、小麦粉にするってのはどうだ? いや、駄目だ。父さんに理由を話さないと、小麦を大量に使えない」
そして、再び考える。
「そう言えば、父さんが『畑を増やしたいけど、石が邪魔だ』って言ってたっけ。できるか分からないけど、荒地の石ころの《分離》をやってみよう」
僕は父さんが言っていた場所に、行く事にした。
二十分程歩いて、目的地に着いた。
周りには、人が見当たらない。錬金術を使うのに、都合が良かった。
「確かに石が多いや。畑にするには、骨が折れるだろうな。《分離》の能力で、この荒地が何とかなるのか?」
そう呟きながら、地面に手を翳し『一立方メートルの範囲の土壌から、石ころを《分離》』と、念じた。
すると土壌が白く光り、石の山ができた。
そしてウインドウが現れ、〔経験値を5pt獲得しました〕と表示された。
「おっ、経験値5pt獲得。でも意外と少ない。レベルアップまで、何ポイント必要なんだろうか?」
「それにこの石の山、どうしようか。折角分けたのに、このままにできないよな」
しばし考える。
「そう言えば、《亜空間収納》があったっけ。取り合えず、入れちゃおう」
《亜空間収納》と念じると、魔方陣が現れた。
その中心には真っ暗な穴が開き、そこに物を入れるんだと思われる。
魔方陣とは別に、内容物を示すウインドウも現れた。
当たり前だが、中身は空だ。
「石を一個ずつ入れるのは面倒だ。まとめて入れられないか?」
魔方陣を石ころの山に被せるように移動し、収納するよう念じた瞬間、石の山が消えてしまった。
ウインドウの名称欄には《石の山》と表示され、数量欄には《25kg》と表示され、日付欄に今日の日付が表示された。
《亜空間収納》を閉じるイメージをすると、魔方陣とウインドウは消えてしまった。
「おー、これは便利だ。《亜空間収納》は、異世界チートに欠かせないや!」
「消費魔力は、どうなんだろうか?」
《検索ツール》で調べると、開閉一回で1MPしか消費しない事が分かった。
「よし、この調子で頑張ろう。一回の面積を増やした方が楽だな」
その後、深さはそのままで面積を十メートル四方に増やし、三回《分離》を使ったところでレベルが上がった。
〔経験値を50pt獲得しました〕
〔レベル2に上がりました〕
一回の面積は百倍に増えたが、経験値は十倍止まりだった。
増えた面積に比例して、消費魔力が増える訳ではなかった。
レベル2のステータスを確認したが、あまり上がっていない。
【名前】ニコル
【年齢】五歳
【種族】人族
【性別】男
【職業】大錬金術師の卵
【称号】-
【レベル】2(1up)
【体力】110/110(10up)
【魔力】11000/11000(1000up)
【攻撃力】2(1up)
【物理防御力】2(1up)
【魔法防御力】2(1up)
【筋力】2(1up)
【敏捷】2(1up)
【持久力】2(1up)
【精神力】2(1up)
【知力】12(2up)
【運】2(1up)
【賢者の石魔力量】18,002,706
【スキルポイント】1(1up)
【固有スキル】大魔導錬金術(Lv1)/検索ツール(Lv1)/亜空間収納(Lv1)
【スキル】-
【魔法】-
【武器】-
【防具】-
【アイテム】-
《魔力》は消費した分が全回復し上昇値が《1000up》とずば抜けてるけど、他はほとんど《1up》だった。
これでは危険が迫った時、自分で対処できそうもない。
「剣術でも、覚えたほうがいいかな?」
「それとも、レベルを上げまくるかだな」
「転生者は、厄介事に巻き込まれるのが《テンプレ》だし、今から準備しとかないとな」
「おっ! 良く見れば、《スキルポイント》が1ポイント増えてる」
僕は増えた《スキルポイント》を、《大魔導錬金術》のスキルに使った。
〔《大魔導錬金術》が、レベル2に上がりました。《形状変化》《合成》《調合》《調理》を覚えました〕
ウィンドウに表示が現れ、能力を四つも覚えた。
「いきなり、錬金術っぽいのが増えたな。でも、《調理》って何だ?」
「今は、能力の検証は後回しだ。中途半端だから、石ころ拾いをもう少し頑張ろう」
それから二十回繰り返し、レベル4になったところで止めた。
レベル3になった時、神様が言ってた通りステータスが三倍上がった。
それを見て、得した気分になった。
あと気付いた事は、レベルが上がるにつれて必要な経験値も増えていた。
「よし、《スキルポイント》を使おう」
4ポイント溜まっていたので、1ポイントずつ使ってみた。
〔《大魔導錬金術》が、レベル3に上がりました。《材質変化》《修復》を覚えました〕
〔《大魔導錬金術》が、レベル4に上がりました。《複合錬金術》を覚えました〕
〔《大魔導錬金術》が、レベル5に上がりました。《魔道具プログラム作成》《魔道具作成》を覚えました〕
〔《大魔導錬金術》が、レベル6に上がりました。《複製》《属性付与》を覚えました〕
「凄い! これだけ能力があれば、何でもできるような気がする」
新しい能力を試してみたかったが、体は五歳児なのでその日は疲れて家に帰った。