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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第二章 王都行商編
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第三十七話 なんか怪しい

今日は、昼近くまで寝ていた。


「良く寝たなー」


そんな事を呟きながら、起き上がった。

いろんな事があって、疲れているのかもしれない。


朝食は昼食と兼用でいいやと、常連になりつつある食事処に足を運んだ。


店に入り、牛肉百パーセントのハンバーグ定食を注文する。


「勇也さんありがとう。あなたのおかげで、美味しい日本の食事を味わえます」


勇也さんに感謝し、運ばれて来た定食を、美味しくいただいた。



午後は、子爵嫡男に見つからないように、どこに露店をだそうか考えながら王都を散策した。

ダニエル商会に商品を卸しているのだが、王都まで来て遊んでる訳にいかない。


良さそうな場所を何箇所か当たりを付け、商業ギルドで予約状況を聞いてみた。


「この場所、二日後に空いてるんですか? ならお願いします」


運良く一箇所だけ空いてたので、一日五千マネーの場所を借り、引き換えのチケット受け取った。


露店を開く場所は、最長で連続一年間借りる事ができた。

その他は、半年・三ヶ月・一ヶ月・一週間、以下は一日から五日まで何日でも借りる事ができた。

長期で借りると、割安になるらしい。


僕のように飛込みだと、いい場所はなかなか借りられないという訳だ。



商業ギルドを後にし歩いていると、一匹の毛の長い《白猫》を見かけた。

目は青と黄色のオッドアイだ。

なんとなく、僕を見ているような気がする。

僕は前世から猫好きだったので、思わずかまいたくなった。


「ほら、こっちにおいで」


すると、僕の言葉が通じたのか、すごい勢いでやって来た。

モフモフとした毛をなでてやると、白猫はすごく気持ち良さそうにする。


「こいつ人馴れしてるな。飼い猫かな?」


首輪はしてなかった。

周りを見渡しても、飼い主らしき人はいない。だとしても、野良猫と決め付ける事はできない。


「一人だと寂しいし、猫を飼うのもいいかもな?」


僕は思わず、そう呟く。


「ニャー」


「んっ、お前を飼えって言ってるのか? でもお前、誰かに飼われてるんじゃないのか?」


言葉が通じる訳無いのに、人と話すように話し掛けた。


「ニャー、ニャー」


「あれっ、こいつ首を横に振った。僕の言葉を理解してるのか?」


「ニャー」


「おっ、今度は首を縦に振った」


なんか怪しい。ここまで人の言葉を理解するのは普通ではない。


「お前本当に猫か?」


「ニャー」


「また、首を縦に振った。これはもう偶然じゃないよな」


「ニャー、ニャー、ニャー」


白猫は、一生懸命何かを訴えているようだ。


「何て言ってるか、分からないよ」


当たり前の事なのに、そんな事を口走ってしまった。


「私を飼ってよ!」


「あっ、ついに喋った。しかも日本語!」


「やっぱり、あなたも元日本人なのね。露店で売ってる物を見て、そうじゃないかと思ったんだ。日本食の店にもよく行ってたしね」


『僕の商品に、そんな事が分かる要素なんてあったか? 確かにカタログを真似たけど』と、考える。


「たしかに僕は元日本人だけど、君を飼うのはなー」


「何か問題があるの?」


「容姿は可愛いんだけど、喋る猫はどうもね」


「お願いニャー」


「今更語尾を猫っぽくしても、微妙だな」


「そんニャー」


『元日本人。しかも猫だ。突き放す事もできたが、貴族のお嬢様達に比べて、厄介事にはならないだろう』と、考える。


「分かったよ。とりあえず借家へ行こうか」


「やったニャー」


こうして僕は、元日本人の猫を飼う事になった。どうせ飼うなら、普通の猫が良かったんだけどね。

キーワードに上げた《猫》が、やっと登場しました。

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