表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第二章 王都行商編
44/401

第三十二話 めっかっちゃった!

ダンジョンに行っている間は、毎日借家に帰って寝ていた。その間、夜明け前に起きていたが、今日は久しぶりにゆっくり起きた。


簡単な食事を済ませ、昨日の事を思い出す。


「ダンジョンで、予想以上の大金を手に入れてしまった。大金貨二百枚」


「それに、エリクサーと魔剣二本とヒヒイロカネとミスリル。魔石と素材に上質な肉。全部売ったら、いくらになるんだろうか?」


口ではそう言ったが、《検索ツール》で調べる事はしなかった。


「ダンジョンって、行商するより儲かるのか?」


邪まな考えが、頭を過ぎる。


「いやいや、僕は《行商人》だろう。変な欲を出すと、痛い目に合うぞ」


すぐに、考えを改める。


「しかしこれだけ資金があれば、村の物資を買うには充分すぎる。もう、王都にいる必要も無いよな。でも、借家の期限がまだあるし」


考えた末、結局借家の期限までは王都にいる事にした。

そして、今日何をするか考える。


「そう言えば、ダニエル商会から追加の発注があったっけ。いつまでも、ほおっておけないな。今日、顔を出してみるか」



ダニエル商会に行く前に、武器屋へ寄った。


「すみません。ダンジョン産のミスリルのインゴットがあるんですけど、買取りできますか?」


「何? ダンジョン産だと、見せてみろ!」


『なんか横柄だな』と、思いながら魔法袋から取り出した。


「おおっ、上物だ。十キロか、これなら片手剣を十本は作れる。普通なら五百万マネーだが、めったに出ないダンジョン産なら六百万マネーというところだな。どうする?」


店員は、まくしたてるように言い放つ。


『見ただけで、ダンジョン産って分かるのか?』と思いつつ、それは置いておく。


「六百万マネーですか。分かりました。それでお願いします」


《検索ツール》の相場と同じだ。吊り上げても無駄な気がしたので、決めてしまった。

それでも、エーテルの街の相場より《一割》ほど高かった。


「また、儲かった。ヒヒイロカネは、売らないほうがいいかな。これを出すと、騒ぎになるような気がする」


武器屋を出て、ダニエル商会の支店に向かう。



「ニコルさん、すごく待ってたんですよ。《グラス》が品切れです」


メゾネフさんは、少し興奮気味で僕を応接室に連れて行った。

いつもは落ち着いた感じなので、少しイメージが崩れる。


話しを聞くと、こんな感じだ。

強気で高値に設定し販売数の上限を五個にしたところ、最初は少しずつ売れたが、噂が広がるとすぐに売り切れてしまったそうだ。

今は見本をショーケースに飾り、予約制にしたらしい。ちなみに、青色が一番人気である。


ボックスティッシュも売れて、在庫は少ないとの事だ。


「グラスだけでも直ぐに欲しいんですけど、どうにかなりませんか?」


「あっ、はい。大丈夫ですよ」


「よかった。では、あるだけお願いします」


「えっ、あるだけですか?」


『各色一万個ずつありますが、買ってくれるんですか?』と、心の声。


「はい、すでに予約でいっぱいですから、多ければ多いほど助かります」


「分かりました。では・・・」


一万個ずつ出すわけにもいかず、今日は青色を八十個、赤色と黄色は五十個ずつ納めた。

次回からも、青色のグラスを多くして欲しいと要望されてしまった。


ボックスティッシュ三百個とケースも二種類を十五個ずつ納品した。


「二コルさん。ガラスの工芸品はないんですか?」


「はい、あれは大量に作れないんですよ。すみません」


「いえいえ、手に入ったら是非うちに納めてください」


「それはもう承知してますので、手に入りしだい納めます」


物はあったが、今回は無いと答えた。

あせって売っても、デザインがそのうち尽きてしまう。同じデザインだと、工芸品としての価値が下がるような気がした。


売り上げ合計は、六百八十四万マネー。また、大金を稼いでしまった。


「それじゃ、一月後にまた来ますね」


「ニッ、二コルさん。もっと早くなりませんか?」


「そうですね。頑張ってみます」


僕はダニエル商会支店をお暇し、その後繁華街の店を見て歩いた。



「そうだ、服を見て行こう。よその街より仕立てのいい物がありそうだ」


錬金術で作れるし、生地だけ購入という手もあったけど、大金を稼いだので贅沢する事にした。


服飾店に着くと、出来合いの物から選んだ。

小金を持った商人っぽく見えるシャツを、紺色と白色を三枚ずつと、紺色のズボンを三本購入した。


どれも、他の街で買うより高かったが、仕立てが丁寧で肌ざわりが良くて気に入った。

それに合わせて靴とベルト、下着に靴下も買ってしまった。

これらは一張羅にするので、魔法袋にしまった。


「いやー、いい買い物をした。安ければ、もっと良かったんだけど」


店を出て歩いていると、大きな声が聞こえた。


「あー、やっと見付けたー!」


僕は『あっ、めっかっちゃった!』と、心の中で呟き、声のする方を向いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ