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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第三十一話 ニコル君ご家族と家族になろう作戦①

僕達は休暇を取り、『グルジット家の料理人にボロネーゼパスタの作り方を教える』という名目で王都を訪れた。


「わぁ、王都久し振りー!」


「相変わらず人が多いや!」


《亜空間ゲート》施設を出ると、サーシアとレコルは久し振りの王都に高揚していた。


二人は成長し、今はエシャット村の仕事を熱心に頑張っている。

王都に来るのは、《仕入れの旅》に同行していた時以来だった。



「ねー、ねー、ニコルちゃん。少し時間があるし、あそこのお洋服屋さんに寄って良い?!」


高揚しているのは子供達だけでなく、母親のミーリアも一緒だった。


「だーめ。ミーリアは時間を忘れて服を見ちゃうだろ。グルジット邸に遅刻しちゃうよ。服屋は用事を済ませてからにしよう」


「えー、ちょっと見るだけだよー!」


「だーめ!」


「ねー、良いでしょう。新作のインスピレーションが湧くかもしれないじゃなーい!」


「ママ、わがままー!」


「なっ! エッ、エミリア。ママは、『わがまま』じゃないわよ!」


「レコルお兄ちゃんみたいになってるー!」


「レコル?」


『チラッ』


ミーリアは、レコルの顔を窺った。



「何だよ!」


「何でもないわ。あっ、そうだニコルちゃん。お洋服屋さんは帰りにするわ」


「あっ、うん」


ミーリアの突然の心変わりに、僕は戸惑った。


「ママのわがまま治って良かったねー!」


「ニャー!」


「ヒヒーン!」


「モキュッ!」


エミリアの無邪気な言葉に、シロン、シャルロッテ、ポムが同調した。


「えーん、エミリアー。だからママは、『わがまま』じゃないってばー!」


するとミーリアが、涙目になりへこんでしまった。

どうやら、『わがまま』というレッテルを貼られるのが嫌だった様だ。



「分かってる。ミーリアは決してわがままじゃないから、そんなに落ち込まなくて良いよ!」


そう言いながら、ミーリアの頭を撫でた。


「ニコルちゃん、ありがとう!」


ミーリアは指で涙を拭い、笑ってみせた。


『チラッ』


そしてふと、視線をレコルにやった。


「何だよ!」


「まぁ、あれだ。気にするな!」


不服そうにしているレコルを不憫に思い、軽く元気づけた。


「ふんっ!」


だが、効果はなかった。



僕達は《亜空間ゲート》施設の直ぐ横の門を通り、改めて貴族街に入った。


グルジット伯爵家の御用商人の通行証を見せると、家族連れだったが問題なく通る事ができた。

どうやらグルジット家から、連絡がいっていた様だ。


煌びやかな街並みを眺めながら徒歩でグルジット邸に向かうと、三十分程で到着した。

門番に案内されシャルロッテを厩舎へ預け、屋敷の前にやってきた。


そこには老執事が待ち受けており、挨拶を交わすと重厚な扉を開けてくれた。



「「「「「「「「「「いらっしゃいませっ!!」」」」」」」」」」


僕達が屋敷に踏み入れると、メイドや男性の使用人、料理人達がずらりと並び、頭を下げ出迎えてくれた。


「「「「「えっ、えっ?!」」」」」


「何これ、すげー!」


「これ、サー達のお出迎えなの?」


「人、いっぱーい!」


「二コルちゃん?」


「・・・・・・!」


そんな慣れない歓迎に、僕達家族は挙動不審になってしまった。

ちなみに、シロンとポムは静かだ。



「皆さん、いらっしゃい。お待ちしてたのよ!」


そこに遅れて現れたのは、ソフィア様だった。


「あの、この出迎えは一体何事でしょう?」


「あら、ニコル君のご家族が料理を教えにわざわざ来てくれるのだもの、これくらい歓迎しなきゃ」


「大袈裟過ぎます。私達は平民ですよ」


「まあまあ。それより皆さんにお部屋を用意したの。料理を教わる間、待つ人もいるでしょう。まずは部屋に荷物を置いて、落ち着きましょうか?」


「あっ、はい。お気遣い感謝致します」


そう言葉を交わすと、僕達は早速部屋に案内された。



「ここを使ってね!」


「「「わぁー、すごーい!!」」」


部屋に入ると、ミーリア、サーシア、レコルが声をあげた。

用意されたその部屋は、《高級ホテルのスイートルーム》並みの豪華な部屋だった。


「皆さん、気に入っていただけたかしら? ここがリビングであちらがダイニング、書斎や会議室もあって、寝室も四部屋あるのよ。寝室にはそれぞれ浴室・洗面台・トイレも備わってるわ!」


「ちょっ、ちょっと待ってください。いくら何でも私達には《分不相応》です!!」


「良いのよ。ニコル君には感謝しきれないほど、お世話になってるから!」


「パパ、何お世話したのー?」


「エミリア。パパは行商でグルジット家に商品を売りに来ていただけだよ!」


「あら、私達家族の命を救ってもらった《大恩人》よ!」


「身に覚えはありません」


「おかしいわね。お世話になったのは、《英雄ヤマトさん》の方だったかしら?」


「英雄ヤマトさんって、だーれー?」


エミリアが、触れて欲しくない質問を投げ掛けた。



「ソフィア様、この話しはそろそろこ終わりにしましょう」


僕はソフィア様に近付き、小声で話した。


「この部屋、使ってくれるなら良いわよ」


ソフィア様も小声で返した。


「分かりましたよ。不本意ですが使わせていただきます」


「良かった!」


「ねー、小声で何話してるのー?」


エミリアが二人の間に立ち、見上げながら尋ねた。



「エミリアちゃん。ヤマトさんはニコル君のお友達なの。『今度エミリアちゃんに会わせてあげて』って、お願いしてたのよ!」


「そうなんだー」


「なっ!」


『何を言ってくれてるんだ。約束と違う!』という気持ちで、ソフィア様を見た。


「パパ、お友達のヤマトさんに会わせてくれるのー?」


「あっ、うん、そうだね。そのうちね」


「やったー! パパのお友達ー!」


「ふふふっ。エミリアちゃん、大きくなったわね!」


「えっ!」


そこに突然現れたのは、王城にいる筈の《ユミナ》だった。

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