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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第二十六話 ソフィア、二コルの家族に会いに行く③

ミーリアがソフィア様の目を盗み、《亜空間ゲート》を潜ってやって来た。

今日でかれこれ五日目になる。


「ねえ、ニコルちゃん。ソフィア様、今日も帰られる様子無かったわ。もう、お誘い断るのしんどいよー!」


ソフィア様は兄ジークと交渉し、村への滞在とゲストハウスの借用を勝ち取った。

滞在期間中は仕事を見学したり学校で得意な歌を教えたりと、村民と交流を深めていた。


またミーリアや子供達と食事をする機会も多く、世間話をしながらそれとなく王都の屋敷へ誘ってきたそうだ。



「そうか、ソフィア様もなかなか粘るな。このまま村に居座られても困るし、こうなったら一度行くしかないんじゃないか?」


馬車に設置してある《亜空間ゲート》の事を、ソフィア様に知られたくなかった。

その為使用を控えており、家族揃っての食事ができてない。


「でもでも、私達だけじゃ貴族のお屋敷なんて不安だし、やっぱりニコルちゃん早く帰って来てよー!」


「うーん、そうだなー。でもグルジット邸かー・・・・・・」


「ニコルちゃん、もしかしてソフィア様と何かあった?」


「いっ、いや、何にも無いよ」


「怪しいー!」


「分かった、分かった。僕も一緒に行くよ。明日の午後に村へ帰るよ!」


ミーリアには、僕が《転移魔法》を使える事を伝えてある。


「良かったー。ありがとう、ニコルちゃん!」


『チュッ!』


ミーリアは安堵の声を上げ、僕の頬にキスをした。


「ソフィア様が探してるといけないから、私帰るね。愛してる!」


「僕もだよ!」


僕はミーリアを見送った後、この先起こる厄介事に考えを巡らせた。



翌日の午後


《転移魔法》で帰路をショートカットし、僕は予定より早くエシャット村に到着した。

すると早速、スーパー前でソフィア婦人に捕まってしまった。


「と言う事でニコル君、旅から帰って来るなりで悪いのだけど、王都の屋敷に家族の皆さんを連れて来てくれないかしら?!」


そして一息つく間も無く、王都のグルジット邸へと招待された。


「《料理指導》の件は分かりました。それで、本当の用件は何でしょうか?」


「えっ、あら、いやだ。何を勘ぐってるのかしら。先程も説明した通り、私は偶々こちらのお店に新しい商品が置いてないか《チェック》しに来ただけよ。そうしたら、美味しい料理に出会ったのよ!」


「本当に?」


「本当よ。第一新しい商品が出たら、フロリダ街のお店に置いてちょうだいって言っておいたわよね?! 特に美容関係の商品はっ!!」


ソフィア様は僕へにじりより、両手を腰に当て僕の顔を見上げてきた。


「そっ、そうでした。すみません。これからは気を付けます」


『駄目だ。この人には何故か逆らえない』


僕は心の中でぼやいた。



「それで、我が家には来てくれるのかしら?」


「そうですね。ミーリアが良ければ、僕は反対しません」


ソフィア様にどんな思惑があろうと、村に居座られるよりマシだ。

僕は警戒を崩さず、了承した。


「そう。それでは早速、ミーリアさんに報告しに行きましょう!」


するとそのまま、《服飾工房》へ連れて行かれた。



服飾工房へ着くと、仕事中のミーリアを呼び出した。


「と言う事で、ミーリアさんどうかしら?」


ソフィア様は、僕が了承した事をミーリアに説明した。


『チラッ!』


『コクッ!』


ミーリアの視線に、僕は黙って頷いた。


「分かりました。ニコルちゃんが一緒なら心強いです。お屋敷に伺わさせていただきます」


「良かったー。ありがとう、ミーリアさん!」


ソフィア様は、満面の笑みを浮かべた。



「パパー、王都行くのー?」


学校が終わり服飾工房にいたエミリアが、質問してきた。


「ああ、行くよ。エミリアとサーシアとレコルも一緒にな」


「やったー、みんなでお出掛けー!」


この後日程を決めると、ソフィア婦人は意気揚々と王都へ帰って行った。



その頃王都では、独立を企てた《フリーデン公爵領制圧》の準備が着々と進められていた。


「英雄アレン殿が討伐軍に加わわるとなれば、制圧は済んだも同然ですな!」


「アレン殿なら、あのやっかいな《剣聖》ヒースクリフを討ち取れるだろう!」


「侮るでないぞっ! 敵はヒースクリフだけではない。フリーデン公爵家は強大な軍を有し、強力な武具やアイテムを有しておる。油断しておると、甚大な被害を被る事になるっ!」


「しっ、失礼致しました。ノーステリア大公爵閣下」


フリーデン公爵は尋問を受けたが、アーティファクト・魔剣・魔防具等がヤマトに持ち去られた事は敢えて語らなかった。



「ところで、今回の騒動の原因となったユミナ殿下には、そろそろ新しい伴侶が必要なのではないですかな?」


「同意ですな。今回の様な事が、また起こらないともかぎらない」


「そういう事で、我がグロスター侯爵家に嫁いでいただくというのはどうだろうか? 跡取りの長男は妻に先立たれ、歳もユミナ殿下と同じ筈だ!」


「何を言われるか。ユミナ殿下は我がランカスター侯爵家にこそ相応しい。長男は二十五歳で歳の差はあれど、ユミナ殿下をお慕いし騎士としてお守りしている。しかも独身だ!」


「失礼ながら、私も立候補させていただきたい。訳あって私も今は独身ですからな!」


「えーい、伯爵ごときが名乗りを上げるなっ! 家格が見合わんだろうがっ!」


「しかしそれは、ユミナ殿下に確認してみなければ分かりますまい!」


「ええい、黙れっ!」


「こらこら、争うでない。家格で決めるとなれば、我がノーステリア大公爵家が最有力となるぞ!」


「「「うっ!」」」


「今はフリーデン公爵領の制圧が優先だ。それに、その後の統治の事も考えておかねばならん!」


「「「そうでした」」」


ユミナを巡り争っていた三人は、肩を落とした。


『ドン、ドン、ドン!』


とその時、会議室のドアが叩かれた。



「入れ!」


「会議中、失礼致します!!」


「何用だ!」


「たっ、大変です! 東の隣国《アルシオン王国》の王太子殿下がユミナ殿下にお会いしたいと、先触れの使者を送って参りました。しかも王太子殿下は、既にこの王都にいらっしゃられるそうです!」


「「「「「「「「「「何ーーー?!」」」」」」」」」」


突然のアルシオン王国王太子の来訪に、重鎮一同驚きの声を上げた。

明けましておめでとうございます。

のんびりペースで、今年も投稿を続けていきたいと思います。

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