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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第二十五話 ソフィア、二コルの家族に会いに行く②

『お腹空いたなー』と思いながら、仕事中のレコルはふとフードコートに目をやった。


「あーっ、ママとエミリアがジュース飲んでるー!」


レコルはフードコートにいるミーリアとエミリアに気付き、叫んだ。


「レコル、お仕事頑張ってる?」


「頑張ってるよっ! サーシア、ちょっとジュース飲ませて!」


「やー!」


「ケチー! おねーちゃん、僕にもジュース!」


「休憩時間まで待ちなさいっ!」


「なら僕、今からお昼休憩にして良いよね。ジークおじさん?!」


レコルと仕事をしていたニコルの兄ジークは、レコルとフードコートを交互に見る。



「後は俺一人でできるし、ミーリアとエミリアが来てるんだ。少し早いが良いぞ」


「やったー! おねーちゃん、ジュース。あと、ミートソースパスタも作って!」


「もう、ジークおじさんってばレコルに甘いんだからっ!」


「そう言うな。レコルだって頑張ってるじゃないか」


「まだまだ半人前よ」


「レコルは十二歳の子供なんだ。少しは大目に見てあげても良いだろう。みんながサーシアみたいに何でも直ぐできるわけじゃないんだ」


『チラッ!』


『コクコクッ!』


サーシアが視線を向けると、レコルは黙って頷いた。


「わーかーりーまーしーたー!」


サーシアは不服そうに返事しながら、オレンジジュースの入った容器を冷蔵庫から取り出した。



『トクトクトクッ!』


「はい、オレンジジュース!」


「ありがとう、おねーちゃん!」


レコルはすかさずフードコートのカウンターに行き、オレンジジュースの入ったコップを受け取り口に運んだ。


『ゴクゴクゴクッ!』


「ぷはー、美味しー!」


その飲みっぷりは、先程のエミリアとそっくりである。


「うふふっ、賑やかで楽しい御家族だこと」


ソフィア婦人は、この光景に思わず笑みがこぼれた。


『チラッ!』


その聞き覚えの無い声に、レコルは反応した。



「おばさん、誰だっけ?」


「おばさん?!」


「レコルッ! ソフィア様に失礼でしょっ! ソフィア様はバロン様のおばあ様よっ!」


レコルが覚えていないのも無理はない。

ソフィア婦人が最後にエシャット村を訪れたのは、レコルがまだ九歳の頃である。


「バロン君のおばあちゃん? ママの三つ位上だよね?」


「えっ、うそ、ヤだ。私がミーリアさんのたった三つ上だなんて。そんなに若く見えるかしら?!」


「見えるよ」


「嬉しい、ありがとう!」


若々しいミーリアと近い年齢に見られ、ソフィア婦人はすっかり上機嫌になっていた。



「ところで、バロン君元気?!」


「ええ、元気よ。今は剣術や魔法、それに《王族》としての教養を学んでるわ」


「大変そうだね」


「そうね。でもサーシアちゃんに負けない様、一生懸命頑張ってるわよ」


「何でおねーちゃんなの?」


「ナーイーショ!」


「???」


「ところで、レコル君のパパは?」


「パパ? パパなら仕事で旅に出てる」


「そう・・・・・・」


『やっぱり居ないのね。悪いけど、今の内に外堀を埋めさせてもらうわ。でもどうやって皆さんを説得すれば・・・・・・』


ソフィア婦人は良案の浮かばぬまま、エシャット村に到着していた。



「ねえ、黙ったままどうしたの。パパに何か用?」


「ううん、居ないなら良いの。レコル君や家族の皆さんが居れば。そうだ、お店のお勧め商品があったら教えてね」


「良いよ。でも、お勧めかー。ソフィア様って、貴族なんでしょ。そんな人に見合う物・・・・・・?」


店員としての務めを果たそうと、レコルはお勧め商品を考えた。



「レコル君、ごめんなさい。どうやら困らせてしまった様ね」


「考えてるから、もうちょっと待って!」


「ええ、分かったわ」


ソフィア婦人が謝るも、レコルは諦めず考え続けた。


「あのー、ソフィア様。こちらなど如何でしょうか?」


レコルへの助け船とばかりに、ミーリアはソフィア婦人に手の甲を見せた。



「まあ、何て綺麗な爪なの。艶と良い淡いオレンジ色と良い、とても素敵!」


「これは《マニュキュア》という商品で、この村だけでしか売られてないそうです」


「そう、製作者はニコル君ね。今度フロリダ街のお店でも販売してもらわなきゃ。今日は本当に来た甲斐があったわ!」


レコルはその様子を、じっと見ていた。


「爪かー。ソフィア様、ちょっと待ってて!」


レコルはフードコートを飛び出して行った。



「ソフィア様! お勧め商品持って来たよ!」


「これは?」


「《爪切り》!」


レコルが持って来たのは、現代日本でも使われている普通の爪切りだった。


「これで爪を切るの? 初めて見るわ」


「ナイフで爪を切ると怪我をするからって、パパが作ったんだ。これをこうやってここをこう持って、この刃の部分に爪を合わせ親指を押すんだ!」


「成る程、ニコル君が・・・・・・。ナイフと違って複雑な構造をしてるけれど、これを使えば安全に爪を切れるのね」


「気に入った?」


「ええ、気に入ったわ。取り敢えず十個いただくわ」


「十個も?」


「家族やお友達にプレゼントするのよ」


「そうなんだ、まいどあり! やった、十個も売れた!」


自分が役に立った事に、レコルは喜びの声を上げた。



「ママ、注文の料理できたよー!」


「はーい。レコルも運ぶの手伝って」


「うん」


フードコートは、基本セルフサービスである。



「ソフィア様、どうぞ。ボロネーゼパスタとサラダとお水です」


「まあ、良い香り。それにとても美味しそうだわ!」


「ほら、エミリア。ミートソースパスタだぞ」


「わーい!」


ソフィア婦人とエミリアは、目の前の料理に目を輝かせた。



「さあ、皆さん。いただきましょう」


「「「いただきまーす!」」」


「どんなお味かしら?」


食事の挨拶を済ませ、ソフィア婦人はワクワクしながらボロネーゼパスタを口に運んだ。


「美味しい!! 酷があって、ミートソースパスタとも違った深い味わいがあるわ!」


「気に入っていただけた様ですね。ソースは赤ワインと牛乳で煮込んで、酷を出してますの。私も家で時々作るんですよ」


とミーリアが説明する。


『ピキーン!!! 閃きましたわ!』


その時、ソフィア婦人に良案が浮かんだ。



「このお料理、私の屋敷でもいただきたいわ。《ボール焼き》の時みたいに!」


「それでは、後でレシピをお書きしましょうか?」


「ええ、それは有難いのだけど、うちの料理人に直接指導していただけないかしら? ボール焼きの時はニコル君とサーシアちゃんだけだったけど、今度は御家族全員でいらして!」


「家族全員ですか? 主人に聞いてみないと。それに主人は暫く帰って来ないので」


「ああ、そうね。それならニコル君抜きでも構わないわ。送り迎えもしますし!」


「そう言われましてもー・・・・・・」


ミーリアは、突然の申し出に困ってしまった。



「王都でしょ。僕、行きたい!」


「エミリアも行くー!」


「ほら、お子さん達もこう言ってる事ですし」


「でもー・・・・・・」


この後ソフィア婦人は、子供達を見方に付けミーリアを説得した。

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