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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第二十四話 ソフィア、二コルの家族に会いに行く①

その日の夕方、いつもの様に《亜空間ゲート》を通って家族がやって来た。


「パパー、今日ドアに鍵が掛かってて、ずっとこっちにこれなかったよー。何してたのー?」


「えっ、あっ、うん、えーと、そうそう、悪い人を懲らしめてたんだ。エミリアが怪我しないよう、鍵を閉めたんだ」


「そうなんだー。パパ、偉いねー!」


「うん」


ソフィア婦人との事があり、言葉に詰まってしまった。

自分が悪い訳でもないのに・・・。



「パパ、悪人退治なら手伝うって言ったじゃん。何で僕を呼ばなかったんだよー!」


「レコルはスーパーで仕事だったろ。今はそっちで一人前になる方が先だ」


「パパの意見にサンセー!」


「何だよ、おねーちゃんまで!」


「だってレコルってば、お店で失敗ばかりじゃない。そんなんじゃ、パパの後は継げないよ!」


「ぐぬぬっ!」


レコルは僕の仕事を継ぐ為、スーパーで商人の見習いをしている。



「ところで、パパ。何か隠してない? 少し変だよ」


『ドキッ!』


「そっ、そんな事ないぞー!」


「そうかなー? ママはどう思う?」


「さあ、どうかしら。でもパパが話したくないなら、無理に聞く必要はないかな」


「って言う事は、やっぱり隠してるんだ!」


『ジーーーッ!』


『プイッ!』


僕は返す言葉が浮かばず、サーシアの視線にそっぽを向いた。


「ふふふっ。サーシア、パパが困ってるわ。追及はそのへんにしておきなさい」


「はーい、ママ!」


サーシアの追求は、結局ミーリアに助けられた。

良くできた嫁である。


この後テントを張り、みんなで夕食のテーブルを囲んだ。



二日後


ソフィア婦人は王都から《亜空間ゲート》を利用し、フロリダ街経由でエシャット村に向かっていた。


「マイク君には一人で行くと言ったけど、やっぱり不安だわ」


昨日一日考え、王族の一員となりそして未亡人になってしまったユミナが、平民のしかも妻子持ちのニコルに嫁ぐ事の異常さを感じていた。

ニコルの家族を説得できる良案など、一日やそこらで浮かぶ筈もなかった。

(※ニコル本人を説得する自信はあった)


しかし出立の準備を整えると、『私の熱い想いが冷めぬ内、先ずは行動よ。でなきゃ、何も変えられないわ!』と言って屋敷を飛び出してしまった。


「でもユミナちゃんの幸せ為、私が頑張らないと!」


エシャット村へ向かう馬車の中、あれやこれやと思考を巡らせた。



エシャット村の入口に到着すると、門番がソフィア婦人の事を覚えており、すんなりと村に入る事ができた。


「奥様。スーパーの前に到着致しました」


御者は馬車を降り、扉を開け告げた。


「わっ、分かりました」


ソフィア婦人は普段緊張する性分ではないのだが、この時ばかりは緊張していた。


「時間が掛かると思うから、あなたは自由にしてていいわ」


「分かりました。気を付けて行ってらっしゃいませ」


御者は深々と頭を下げ、ソフィア婦人を見送った。



「さて、先ずはスーパーへ行って」


ソフィア婦人はミーリアに合う前に、心を落ち着かせる為スーパーで一息つく事にした。


「ソフィア様?」


「?」


ソフィア婦人は、声がする方へ振り向いた。


「ミッ、ミッ、ミッ、ミッ、ミーリアさん?!!」


いきなりの対面に、驚きの声を上げた。


「もっ、申し訳ありません。驚かせてしまって!」


「いっ、いえ。良いのよ。気にしないで!」


「はい、ありがとうございます。ところで、今日はお買い物ですか?」


「そっ、そうなの。こちらの方がフロリダ街のお店より品数が豊富でしょ。だからたまにはね。おほほほっ!」


「ママ、お腹空いたー」


「エミリア、もう少し待って。今、ソフィア様とお話ししてるの」


「はーい」


「ソフィア様。私達これからフードコートで昼食にするのですが、良かったらご一緒に如何ですか?」


「そう言えば、私もお腹が空きました。ぜっ、是非、お願いします!」


「はっ、はい。では、どうぞこちらへ」


ソフィア婦人は緊張感を漂わせ、スーパーへと入っていった。



「サーシア、ご飯を食べに来たわ」


「おねーちゃん、ミートソースパスタ作ってー!」


「ママ、エミリア、それにソフィア様!」


「お久し振り、サーシアちゃん!」


「はい、お久し振りです。でも何で?」


「たまにはこちらで買い物がしたくなったの。ミーリアさんとエミリアちゃんには偶然外で会って、御一緒に食事をする事になったのよ」


「そうですか。それなら、美味しいものを作りますね!」


「サーシアちゃんの料理、楽しみだわ。おすすめは何かしら?」


「新作のボロネーゼパスタです!」


「新作? じゃあ、それをお願い」


「はい! エミリアはミートソースパスタで良いのね?」


「うん!」


「ママは?」


「私も、ボロネーゼパスタにしようかしら」


「分かった。みんなパスタできるまで、これ飲んで待ってて!」


そう言って、三人分のオレンジジュースが出された。



「ありがとう、サーシアちゃん」


「わーい、ジュースー!」


『ゴクゴクゴクッ!』


「ぷはー、おいしーっ!」


「ふふっ、エミリアちゃん可愛い。私もご馳走になりましょう」


『ゴクッ!』


「あら、本当に美味しい!」


この時ソフィア婦人の緊張は、サーシアとエミリアの無邪気な笑顔と美味しいジュースで、幾分ほぐれていた。

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