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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第二十二話 ソフィアの突然の申し出①

慌てて近付くフリーデン公爵の手から、魔法袋を奪い取った。


「勿論、これも没収する」


そう言い、奪った魔法袋を掲げて見せた。


「・・・・・返せっ、それは私の宝だっ!!」


フリーデン公爵は自分の左手を確認し、目の前に掲げられた魔法袋が自分の物だと気付くと、奪い返そうと腕を伸ばした。


『バスッ!』


「こいつもいただく」


僕は差し出された腕を素早くかわし、腰にぶら下げた《魔剣バルムンク》をフリーデン公爵から奪った。



「な゛っ!!」


「《物理攻撃》や《魔法攻撃》に耐性はあっても、《奪われ耐性》は無い様だな?」


この事に気付いたのは、魔法袋を奪ったたった今である。


「ぐぬぬぬっ!」


「そうと分かれば、身に付けてるアーティファクトもいただくとしよう。《影分身》x4」


『『『『スタッ!』』』』


「奴を取り押さえろ」


「「「「おうっ!」」」」


『『『『ギロッ!』』』』


四人の《影分身》は、フリーデン公爵をロックオンした。


「くっ、来るなっ! 私に近寄るなっ!」


『『『『ガシッ!』』』』


「やっ、止めろーーーっ!!」


フリーデン公爵を羽交い締めにし、両手両足を取り押さえた。

そして握り締めた拳を無理矢理開かせ、僕は一つずつ指輪を抜き取った。



「《睡眠》」


「スゥ・・・・・!」


アーティファクトの指輪を全て外し終えると、フリーデン公爵を魔法で眠らせた。


「《独立》に至った経緯は確認できてないけど、取り敢えずこいつを着けとくか」


そう言って、《亜空間収納》から《悪事矯正リング》を取り出した。


「今回みたいにアーティファクトを身に付けられたら効果は無いけど、そうそう手に入いるものでもないだろう」


《悪事矯正リング》の弱点を認識し少し不安は過ったが、この場は深く考えるのを止めフリーデン公爵の首へ取り付けた。


「さあ、後は宝物の回収だ。まあ領地運営もあるだろうし、金庫室や備蓄倉庫には手を出さないでおくよ」


この後残りのアーティファクトや高位魔道具、高位武具等を《亜空間収納》に回収した。



「これで《戦力》は多少削げたけど、《独立》に至った経緯は確認しとかないとな」


回収を終え、床に横たわるフリーデン公爵を眺め呟いた。


「《睡眠解除》」


「・・・・・うっ、ううっ」


「おい、起きろ!」


「ううっ、私は眠っていたのか?」


「そうだ。俺が誰だか分かるな?」


「ヤッ、ヤマトッ!!」


「言っておくが、アーティファクトは全て没収した。無駄な抵抗はせず、俺の質問に答えろ!」


「・・・・・!」


「何故、《独立騒動》を起こした? 王国に非があっての事なら、俺は《独立》も止む無しと思っている」


「先程も言った。貴様に話す謂れはない」


「そうか。それなら、これではどうだ?」


『キッ!』


「うわーーーーーっ!!」


素直に吐きそうもないので、《威圧》スキルを放った。



「言えっ!」


「ひぃーーーーーっ!!」


「言わないと、また食らわすぞっ!」


「言わない。誰が言うものかっ!」


「強情だな」


『キッ!』


「ひぃーーーーーっ!!」


この後何度か繰り返したが、フリーデン公爵が《独立》の理由を吐く事はなかった。



「仕方ない。取り敢えず王都へ行って、事情を知る人に確かめるとしよう。《転移》」


『フッ!』


魔法でフリーデン公爵を眠らせ、一緒に王城前へ《転移》した。



王城へ行くと待合室に通され、暫くしノーステリア前公爵とグルジット前伯爵が現れた。


「こ奴っ!!」


「フリーデン公爵っ!!」


二人は眠っているフリーデン公爵を、見て怒りを露にする。

僕は二人を落ち着かせ、事情を聞く事となった。



「それじゃこの男はユミナ殿下を我が物にしたいが為、『《求婚》を断った代償は周辺領地と共に《独立》し《国を興す》』と脅したのだな?」


「卑怯な奴じゃ。我々もみすみす《独立》など許す筈がない。結果、大きな争いが起こるじゃろう。こ奴はユミナちゃんが争いの火種になる事を嫌い、絶対断れんと踏んでおったのじゃ」


「ユミナは優しい娘だ。自分のせいで、多くの命が失われる事に酷く落ち込んでいたよ」


「そうか・・・・・」


僕はユミナの心情を思い、心配した。



「ヤマトよ。こ奴はヤマトのお陰で牢獄行きとなるが、この騒動暫く収まらんじゃろう。お主の力、是非我等に貸してくれぬか?」


「私からも頼むっ!」


「ちょっと待て。何故、俺に頼る? 俺はこいつを捕まえたんだ。後はあんたらがやればいいだろう」


「お主なら犠牲を最小限に抑え、直ぐに方をつけられるじゃろうて」


「今まで何度も王国の危機を救ってくれたではないか? 今更何を言う?!」


「成り行きでやったまでだ。俺は貴族の《飼い犬》になるつもりはない」


「ヤマトを《飼い犬》などと私は思ってない。これはユミナの為なんだ。大勢の犠牲が出る前に一刻も早く騒動を終らせて欲しいっ!」


「そうじゃ、ユミナちゃんの為じゃ!」


「『ユミナの為』か・・・・・」


『カツ、カツ、カツ、カツ、ガチャッ!』


「失礼致しますわっ!」


僕が悩んでいると、足音が部屋の前で止まり勢い良く扉が開いた。



「ソフィアッ!」


「マイク君。あなたの執務室へ行ったらヤマトさんが要らしてると聞いて、飛んで来たのよっ!」


「ヤマトに用事?」


「俺?」


「分かっているのよ。あなたの正体ニコル君なのでしょう。うちのユミナちゃんを《お嫁さん》に貰ってちょうだいっ!!」


「「えーーーーーっ!!」」


「なんとっ!!」


ソフィアさんの突然の申し出に、僕達三人は驚きの声を上げた。

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