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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第十九話 フリーデン公爵対ヤマト①

フリーデン公爵が身に付けているアーティファクトは、予想していたより厄介なものだった。

物理攻撃も魔法攻撃も、通用しないのだ。


「《睡眠》×10」


『ピーンッ!!!』


「やはり駄目か」


試しに十倍の魔力を込めて魔法を放ったが、結果は同じだった。

また弾かれた時の音や光は、込めた魔力に比例していた。



「幾ら魔力を込めようが、魔法攻撃は無駄だ!」


「その様だな。だがそのアーティファクト、魔力消費が激しのではないか?」


「ははっ、心配無用。こちらの魔力は潤沢だからな!」


「・・・・・、《魔力貯蔵》のアーティファクトを身に付けているのか」


《鑑定》してみると、膨大な魔力を溜めている指輪を身に着けてている事が分かった。


「そうだ。これで理解したろう。私は『無敵』だ!」


「ふっ、笑わせる。貴様が無敵を名乗りたいなら、せめて目の前の俺を倒してからにしろ」


「ぐぬぬぬっ!」


フリーデン公爵は、悔しさに奥歯を噛みしめた。



「どうした? 『無敵』を名乗りたいんだろう。掛かって来い」


「私を舐めるなーーっ!」


『ブオンッ、ブオンッ、ブオンッ、ブオンッ、ブオンッ!』


『スッ、サッ、サッ、スッ、サッ!』


僕は太刀筋を見切り、ギリギリのところで避けてみせた。



「遅い。それに大層な物を手にしているが、剣の腕は大した事ないな」


「クソがーっ!」


『ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン!』


フリーデン公爵は怒りに任せ、無詠唱で《風属性魔法》の《風刃》を連続で放った。



「《転移》」


『フッ!』


『ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ!』


『ガラガラガラガラガラガラッ、ガッシャーン!!』


「あっ!!」


「おいおいちゃんと狙わないと、大事な物を壊すぞ」


《転移》で《風刃》をかわすと、後ろの棚が破壊され宝が崩れ落ちた。

中には、破壊されてしまった物もある。



「ぐぬぬぬっ!」


「どうした? もうお仕舞いか?」


「貴様、卑怯だぞっ!」


「卑怯も何も、自分でやっておいてそれは無いと思うが」


「うるさいっ! 貴様のせいだっ!」


「とんだ濡れ衣だ。お前が来ないのなら此方からいく。《火属性の超級魔法》で良いか?」


「ちょっ、超級? まっ、まっ、待て! 提案がある!」


「・・・何だ言ってみろ」


「外、いや、《闘技場》へ舞台を変えないか?」


「闘技場? この期に及んで宝の心配か?」


「これからの戦局に影響するのだ。宝の心配をして何が悪い!」


「そうか良いだろう。しかし提案を飲む代わり、俺が勝ったら此処の宝は全て頂く」


「なっ!!」


考えてみれば、お宝を破壊してしまうのも忍びない。そこで条件を突き付け、提案を受け入れる事にした。


「どうする?」


「かっ、勝てば良いのだ。勝てばっ!」


この後屋敷を出て、闘技場へと向かった。



「せやーっ!」


「うりゃーっ!」


「おりゃーっ!」


闘技場ではフリーデン公爵家の騎士や兵士達が、有事に備え訓練を行っていた。



「皆の者、聞けーーーっ!!」


「「「「「「「「「「こっ、公爵様っ!」」」」」」」」」」


「今直ぐ、闘技場を空けろっ!」


「はっ、はい。御命令とあらば従いますが、剣など握られてどうされたのですか?」


「決闘だ!! 英雄をこの手で倒し、『最強』の称号を手に入れるっ!」


「えっ、英雄と決戦ですか?!」


「そうだ。そこにいる黒髪の男が、《救国の英雄ヤマト》だっ!」


「ヤマト? あの男が?!」


「「「「「「「「「「ザワザワザワザワッ!」」」」」」」」」」


ざわつきと共に、皆の視線が僕に集まった。


《魔王騒ぎ》の時、この領地でも魔物の群を始末している。

そんな事もあり、ヤマトの存在は広がっていた。



「でも何故、公爵様と英雄ヤマトが決闘なさるのですか?」


「奴は我が領の《独立》を知り、私を制裁しに来たのだ!」


「なっ、ならば我々も加勢致しますっ!」


「無用だ。奴は私一人で倒す!」


「しかしっ!」


「えーい、私はアーティファクトを身に付けておるのだ。お前達は足手まといだっ!」


「はっ、はい。分かりました!」


騎士や兵士達は観客席へと下がり、僕とフリーデン公爵は闘技場の中央で対峙した。

またこの時僕の右手には、オリハルコンの剣が握られていた。



「今から私は本気だっ!」


「道理で手ぬるい攻撃だと思った。さっきまでのは本気じゃなかったんだな」


「くっ、先程は《身体強化》三倍の力だ。だが今度は更なる力を見せてやる。《身体強化》十倍だっ! ぬおーーーっ!!!」


《魔力感知》スキルで、フリーデン公爵の纏う魔力が色濃くなるのが分かった。



「行くぞっ!」


『ビュンッ!』


フリーデン公爵は、先程とは見違える早さで間合いを詰めた。


『ブオンッ!!!』


『ガギーーーン!!!』


しかし僕にとって、余裕で対処できる早さと攻撃力だった。



「なっ!!」


「お前への攻撃が効かない様に、俺への攻撃も効かない。だがこの剣を使って、もう一度試してやる」


『ヒュンッ!』


『ガギーーーン!!!』


『ピーーーンッ!!!』


オリハルコンの剣は、フリーデン公爵の纏う障壁にあっさりと弾き返されてしまった。

どちらも決め手に掛ける闘いとなった。

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