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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第十八話 新たな魔王

気配を消した僕の存在に気付く察知能力、醸し出されるオーラ、そしてその言動から、目の前の偉丈夫は『《魔王》なのでは』と僕は疑った。


「ところで、あんた誰なんだ?」


それを確かめる為、僕は率直に聞いた。


「我か? 我はロキ。まおぅ」


「わっ、馬鹿っ! 正体を明かす気かっ!」


『クワッ!』


ロキと名乗る偉丈夫は、フリーデン公爵の言動に表情が変わった。


「お主、我を『馬鹿』と申したな?」


「あわわわわわわわっ、すっ、すまん! 本心ではないんだ!」


「気を付けろ。お主の様な小者(・・)が我を愚弄すれば、次は命が無いと思えっ!」


「ひぃーーーっ!」


フリーデン公爵の顔は、思いっきり引きつっていた。



「あんた、魔王なのか?」


「その通り。我の正体を知り、退治する気にでもなったか?」


「いいや。あんたからは悪意や殺気を感じない。争う必要は無いだろう」


「そうか。お主は話しの分かる奴なのだな。しかし遊び相手(・・・・)に不自由しておるなら、場所を変え相手をしてやっても良いぞ!」


「遠慮しておく。今はこの男にこいつを嵌めたいんだ」


そう言って、《悪事矯正リング》を見せた。



「ああ、構わんぞ。我にこ奴を助ける義理は無い」


「そうか、じゃあ」


「待て、ヤマトッ! 王国とは関係無いと言ったな。金なら幾らでも出す。公国を樹立したら爵位を授け領地もやる。私の陣営に付かないかっ?!」


「断る。俺は《戦争》が無くなれば、それで良い」


「はははっ、こ奴にも振られおったか。お主は人望が無いのう」


「くっ、かくなる上は。《転移》!」


『フッ!』


「なっ、消えた!」


フリーデン公爵を魔法で眠らせようとした矢先に、姿を消されてしまった。



「《転移の指輪》を使いおったな」


「《転移の指輪》?」


「ダンジョンで手に入れたのだ」


「そんな凄い物を、手に入れていたのか?」


「お主には必要あるまい?」


「ステータスを見たのか?」


「ああ。それに姿を偽っている事もお見通しだ」


「魔王の《魔眼》、誤魔化しは利かないか」


「その口振り、もしや我以外の魔王に会ったか?」


「ああ、だが敵対はしていない。良い関係だ」


「ふっ、それでは我とも良い関係を築こうではないか?」


「良いだろう。しかし今は奴を追うのが先だ」


「そうか。だが一つ言っておくが気を抜くな。奴はアーティファクトを溜め込んでおるからな」


「ああ、分かった」


《地図》機能でフリーデン公爵の居場所を突き止めると、僕は急いでその場所に向かった。



その頃のフリーデン公爵。


「だー、くそっ! 何故あんな奴が、私のところへ来るんだっ!」


転移場所の地下保管庫で、怒りを露わにしていた。

此処には、ダンジョンで手に入れた多くの魔道具やアーティファクトを保管している。


「兎に角、奴に抵抗できる備えをしなければっ!」


そう言って様々なアーティファクトを選び、身に付けていった。

《超身体強化の指輪》・《物理攻撃無効の指輪》・《魔法攻撃無効の指輪》・《状態異常無効の指輪》・《超魔力貯蔵の指輪》・《魔法無詠唱の指輪》・《魔剣バルムンク》といった品々である。


「ぬはははっ、これで私は無敵だーっ!」


フリーデン公爵はアーティファクトを身に付けると、叫びを上げた。



『ガチャッ!』


フリーデン公爵のいる場所へ辿り着くと、扉の鍵を魔法で解除した。


『ギーッ!』


そして扉を開くと、広い部屋の奥にその姿はあった。


「ヤマトッ!」


「逃げても無駄だ。観念しろ」


「良く此処が分かったな。それに扉の鍵の開錠。流石だ。だが私は先程までの私ではないぞ!」


「アーティファクトを身に付けたか?」


「その通り。今の私なら貴様にも勝てる!」


「大した自信だ」


「ハッタリではない事を、今から証明しよう!」


そう言うと、剣を鞘から抜き構えた。

その剣は魔力を纏い、紫色の光を発した。



『シュバッ!』


次の瞬間、フリーデン公爵が素早い動きで間合いを詰めてきた。


『ブオンッ!』


その勢いで、剣を袈裟斬りに振るった。


『スッ!』


僕は剣の軌道を見切り、ギリギリ避けた。


『ズザザザザザザッ!』


その斬撃は、後方の壁や床を破壊した。


『ドスッ!』


しかし僕はそれと同時に、左フックを脇腹に放った。



「何かしたか?」


フリーデン公爵は僕を見下ろし、言い放った。


「ノーダメージか。ならば、《睡眠》」


『ピーンッ!』


フリーデン公爵の体が音と共に一瞬光り、魔法を弾き返した。



「ふはははっ! 貴様の打撃も魔法も、私には効かんっ!」


「厄介な」


僕は魔王ロキが助言した言葉を、改めて実感した。

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