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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第十五話 フリーデン公爵領、独立騒動

フリーデン公爵領には《王国一》の上級ダンジョンがあり、その周辺には怪我で働けなくなった人や孤児が多くいた。

だが僕達家族は、そこでも慈善活動を既に行っていた。


領主家が支援してくれるのであれば、僕達の負担は減る。

そんな思いから、不安はあるが一度フリーデン公爵家の子息を信じてみる事にした。


ただ行動を共にするには都合が悪く、僕達は一足先にフリーデン公爵領へ向かった。

帰宅の予定を変更した事で、実家のスーパーや服飾工房には《亜空間ゲート》を通って納品を済ませている。


そして十日後、フリーデン公爵領の《領境》に到着した。


「何だあれ?」


「兵士がいっぱいいて、街道を塞いでるニャ!」


「バリケードまである。何かあったか?」


「行ってみれば分かるニャ!」


「そうだな」


不安に感じながらも、僕は馬車を進めた。



「止まれーっ!」


「シャルロッテ、ストップだ!」


「ヒヒーン『はい』!」


争いを避ける為、強行突破はせず兵士の指示に従った。


「検問だ。身分証を見せろ!」


「身分証ですか? ・・・・・はい、どうぞ」


そう言って魔法袋から身分証を取り出し、兵士に差し出した。



「リートガルド領の商人か。何の用事だ?」


「何って商売ですよ。ダンジョン産の素材を買い付けに行くんです」


本当の目的は違ったが、それっぽい理由を答えた。


「本当か? 王都からの《刺客》ではないだろうな?!」


「えっ! 何で王都がフリーデン公爵領に刺客を送るんですか?」


「知らんのか? フリーデン公爵領は、近々《公国》として《独立》する事になったのだ!」


「なっ、何ですって?!!」


僕は兵士の言葉に、驚きを隠せなかった。

そしてあの兄妹が王都を離れた理由に、納得がいった。



「本当に知らん様だな。通りたければ、一人につき一万マネーの通行料を払え!」


「一万マネーですか? 今まで領境越えで、お金なんて取らなかったじゃないですか?!」


「此処は直に《国境》になる。嫌なら引き返すんだな!」


「わっ、分かりました。支払います!」


僕は不満に思いながらも、一万マネーを支払った。

この時荷台を確認されたが、出しっぱなしの《亜空間ゲート》は適当に誤魔化し事なきを得た。



「何だよ『独立』って!」


後ろを振り向き兵士達の姿が小さくなると、先程の兵士の言葉が口を衝いて出た。


「王族の統率力が、弱くなってるのかもしれないニャ」


「だからってそんな勝手な事してたら、敵国に付け入る隙を与えるぞ!」


「その敵国の《ガーランド帝国》は、既にバラバラになって無くなったニャ」


「それはそうだけど」


「ご主人は、どうする気ニャ?」


「どうするもこうするも、僕が口出しする事じゃないだろ」


「兵士達の緊張した様子ニャと、王国との《戦争》が起こってもおかしくないニャ」


「それは困る。生活に困窮する人達が、大量に増えてしまう!」


「ご主人が言う『のんびり生活』なんて、夢のまた夢ニャ」


「そうだな。『のんびり生活』の為にも、傍観は止めるよ」


僕は今後の国の情勢を観察し、状況によっては《独立騒動》に介入する決心をした。



思い掛けない事がフリーデン公爵領を中心に巻き起こったが、取り敢えず僕達は《領都》を目指した。


そして通り道にあるダンジョンの街のある施設で、資金や物資の援助を済ませた。

その後ダンジョンの近くを通ると、ある光景が僕達の目に飛び込んできた。


「フリーデン公爵様の命令書は、三日前に渡した筈だ。王国兵士と王国職員は、速やかにフリーデン公爵領から出ていけっ!」


「ふざけるなっ! 勝手に《独立》などしおって。ダンジョンは王国政府の管理下だ。我々に命令できるのは王国政府だっ!」


ダンジョンを守る王国兵士とフリーデン公爵領の兵士が、一触即発の状態になっていたのだ。



「此処がどなたの領地か分かってない様だな? どうなっても知らんぞ?!」


「貴様らこそ、王国が動いたらただでは済まさんぞっ!」


「はははっ! 此方にはヒースクリス隊長がいるのを忘れたか?!」


「くっ! 《剣聖》ヒースクリフか・・・・・」


剣聖ヒースクリフとはイザベラの兄であり、フリーデン公爵軍の隊長でもある。

その強さは、イザベラをも寄せ付けなかった。



「ヒースクリフ隊長の名に、臆したか?!」


「何を言う。王国には《英雄》アレン・ライト伯爵がいる。いくら剣聖と言えど、英雄殿には敵うまいっ!」


「くっ! アレン・ライト伯爵か・・・・・」


「誰が誰に敵わぬだと?」


「「「「「「「「「「ヒースクリフ隊長っ!」」」」」」」」」」


「「「「「「「「「「剣聖ヒースクリフッ!」」」」」」」」」」


そこに、話題の本人が現れた。


「確かに過去の私はアレン殿に敵わなかった。しかし今は違う。この《聖剣ミスティルティン》に選ばれたのだからなっ!」


ヒースクリフは、腰に携えた聖剣に触れ宣言した。


「「「「「「「「「「おおーっ!」」」」」」」」」」


するとフリーデン公爵領の兵士達から、歓声が上がった。



「私は君らを、力ずくで追い出しても構わんのだぞ。はたして、五体満足でいられるかな?!」


『ギンッ!』


「「「「「「「「「「ひーーーっ!」」」」」」」」」」


ヒースクリフが王国兵士に向け、《威圧》スキルを放った。

すると皆、悲鳴を上げた。



「さあ、どうする?」


「まっ、待ってくれ。《施設長》と話しをさせてくれっ!」


「分かった。明日の朝まで待ってやる」


こうして翌日の朝、王国兵士と職員達はフリーデン公爵領を発っていった。

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