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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第十三話 フランソワの告白

僕の目の前には、フリーデン公爵家のお嬢様とその分家と思われる女騎士がいる。

そしてお嬢様の方が、僕を見ながらもじもじしている。


「あのー、おじ様」


「何でしょう?」


「以前とった無礼な態度、どうかお許しください」


「えっ! 公爵家のお嬢様が平民の私に謝罪? 随分変わられたのですね」


「はい。おじ様のお陰です!」


「私のお陰? 私、何かしましたか?」


「ええ。『平民の中にも、強くて美してそして才能に溢れる人物がいる』と、気付かせてくれました!」


「その平民って、もしかして私ですか?」


「その通りです! 私は公爵家に生まれたというだけで、何の努力も無く『自分は偉い』と勘違いしてました」


「そうなのですか」


「つきましては、私をおじ様の《お嫁さん》にしてください!」


「「なっ!!」」


お嬢様のいきなりな発言に、僕と女騎士は驚きの声を上げた。



「フッ、フランソワ! 正気で言っているのか?!」


「正気ですよ!」


「こいつは平民で妻子持ちだぞ。それに年だって親子程離れている。色々と問題があるだろ!」


「そんな事ありません。愛さえあれば、どんな困難だって乗り越えられます!」


「『愛』って。この男にフランソワへ向ける愛なんて、これっぽっちもあるものか!」


「分かってます。だから、これから育んでいけば良いんです!」


「公爵家を出て、この男について行くとでも言うのか?!」


「それもやぶさかではありません!」


僕は二人の会話を、聞き捨てならなくなってしまった。



「ちょっ、ちょっと待ってください。私にその気は無いので、お二人の議論は無駄ですよ!」


「ガーン!」


僕の言葉に、お嬢様はショックを受けた。


「そら見た事か。この男は子供には興味無いのだよ。まだ私の様な大人な女性の方が可能性はある」


『チラッ、チラッ!』


女騎士が、不自然に僕へ視線を向けてきた。


「言っておきますが、貴女も一緒ですよ」


「ガーン! 勇気を振り絞って、それとなく言ってみたのに・・・・・」


女騎士も同じく、ショックをあらわにした。



「イッ、イザベラさん! それって、イザベラさんもおじ様の事が好きって事ですか?!」


「いっ、いや違う。冗談だ!」


「嘘よ。イザベラさんは、こんな冗談言う人じゃない!」


「私だってたまには、こんな冗談も言うさ!」


そう言いながら、女騎士の目は泳いだ。


『ジーーーーーッ!』


そんな女騎士を追い詰める様に、お嬢様は黙って見詰めた。



「わっ、分かった。正直に言う。私もこの男の事が、ずっと気になっていたのだ」


「やっぱり」


「私の結婚相手は、私より強い男と決めている。そして長い年月を待って、やっと現れたのがこの男だった。しかも極上の男前ときている」


「そうだったのね、知らなかったわ。そうだイザベラさん、この際共闘しませんか?」


「共闘?」


「挫けず二人で、おじ様を籠絡するんです!」


「ハハハッ! フランソワは強いな。私はまだこの男の言葉から、立ち直れてないというのに」


「おじ様の《魅力》が、私を突き動かすのです!」


「若いって良いな」


『・・・・・ガラガラガラガラッ!』


二人がそんな遣り取りをしていると、貴族の馬車や護衛の騎馬が此方へやって来た。

そして僕達の横で停止し、馬車の窓が開いた。



「フランソワ、何をしている?」


「お兄様っ!」


「誰だ、この男は?」


「あのー、そのー・・・・・」


お嬢様は、返事に困っている様子だ。


「私は行商人のニコルと申します。お二人は盗賊の被害が無いか、私を心配してくださいました」


『おじ様、《ニコル》と言う名前なのね』


『この男、《ニコル》と言うのだな』


この時フランソワとイザベラは、初めてニコルの名を知った。



「平民。僕はお前に、話す許可を与えてないぞ」


「失礼しました」


どうやらこの兄は、僕が従来イメージしている貴族の様である。


「用事が済んだのなら、失せるのだな!」


「お兄様、ちょっと待ってください。まだ話しが」


「平民と何を話すと言うのだ?!」


「それは・・・・・」


「何だ。言えないのか?!」


『バサッ!』


とその時、僕が座る御者台の後ろの幌の出入り口が開いた。



「パパー。あれっ?」


「サーシア!」


「今、忙しかった?」


「丁度用事が済んだところだ。馬車を出すまで、待っててくれ」


「はーい!」


サーシアは、馬車の幌の中に入って行こうとした。



「待て、そこの娘っ!」


「サーの事?」


「何処かで見覚えがある。そうだ、以前バロン殿下と一緒にいた小娘だっ!」


「バロン君を知ってるの? バロン君のお友達?」


「バロン殿下を、《君付け》だと!」


「あっ、そうだ。バロン君って、《王族》だったんだ!」


「娘。バロン殿下とどういう関係か、じっくり聞かせろっ!」


タイミング悪く現れたサーシアは、公爵家の子息に引き止められてしまった。

お読みいただき、ありがとうございます。


次回投稿より、週一の投稿も難しくなりそうです。

申し訳ありませんが、ご了承ください。

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