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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第十二話 再開

街道を急いで進むと、馬車を守る兵士と盗賊が戦闘を繰り広げていた。

僕達は、盗賊の背後につく形となった。


馬車は列をなしており、その豪華さから貴族の一行だという事が伺えた。


兵士は十五人程いるが、盗賊はその倍以上いる。

しかし兵士側に手練れがいて、今は拮抗している状況である。


「ご主人。何故、加勢しないニャ?」


「襲われてるのは貴族みたいだし、自分達で何とかならないか見極めてる」


「そんな悠長にしてて、死人が出たらどうするニャ?」


「あの兵士達、かなりやるよ。盗賊の方にも、突出して強いのが一人いるけどね」


「そんな事言って、貴族のお嬢様がピンチになるのを待つ気ニャ! そして颯爽と助けて、自分に惚れさせるつもりニャ!」


「シロン、何馬鹿な事を言ってるんだ。このまま兵士が勝てば、貴族と関わらなくて済むだろう。見ろ、兵士が押してきたぞ」


そんな会話をしながら、僕は戦闘を見守った。



『ズサッ!』


「ぐふっ!」


「頭が殺られたーっ! あの女、化物だーっ!」


「やばい。逃げろーっ!」


「「「「「「「「「「うわーーー!」」」」」」」」」」


盗賊達は頭目が殺られると一斉に逃げ始め、此方にも向かって来た。

馬に跨がる者もいれば、そのまま走って来る者もいた。


「危ないっ! そこの馬車、早く逃げろっ!」


すると女兵士が、僕に向かって叫んだ。



「逃げろったってね。今更だよ」


『キッ!』


僕は馬と盗賊に対し、《威圧》スキルを放った。


「「「「「「「「「「ヒヒーンッ!」」」」」」」」」」


「「「「「「「「「「うわあああっ!」」」」」」」」」」


「こっちにも、化物だーーー!」


すると馬と盗賊が悲鳴を上げ、僕達の前方で動きを止めた。



「馬鹿野郎、動きをとめるなっ! 草むらに入って二手に別れるぞっ!」


後から走って逃げて来た盗賊が、それを見て声を上げた。


「「「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」」」


その声で固まっていた盗賊達は、馬を乗り捨て街道の脇の背丈より高い草むらに逃げて行った。



『『『『『ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ!』』』』』


「追わんで良い。馬車の守備につけ!」


頭目を倒した女兵士が、他の兵士を制した。


「良いんですか?」


「我々の任務は主人を守る事が第一優先だ! 盗賊共の殲滅ではない!」


「そうでした」


「死体は、魔法で土に埋めておけ!」


「はっ、分かりました!」


盗賊を追ってきた兵士達は、戻って行った。

しかし女兵士だけは、此方の方へ歩いて来た。



「そこの御者。やつらが『化物』と叫んでいたが・・・・・」


女兵士は近付きながら話し掛けてきたが、その途中で話しが止まった。


「貴様、いつぞやのっ!!」


「お知り合いでしたっけ? えーと、どちら様でしょうか?」


「なっ! あんな事をしておいて、私の事を忘れただとっ!」


「すみません」


「くっ! フリーデン公爵家に支える騎士イザベラ・フリーデン。お前に剣を向け、《失禁》させられた女だっ!」


「・・・・・あー、あの時のー!」


「やっと思い出したかっ?!」


「はい」


イザベラは嘗て好意を抱いた男に忘れられ、女としての自尊心を傷付けられた。

そして《失禁女》として認識されていた事に、更に傷付いた。



「何故、こんな場所にいる?!」


「行商の旅の途中です」


「此処で会ったのは、偶然か?!」


「そうですよ」


「家族はどうした?」


「今は故郷の村にいます」


「一人か。これから何処へ行くのだ?」


「王都に向かってるところです」


「そうなのか。私達と逆方向だな」


イザベラは、残念に思った。



『タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!』


そんなイザベラの元へ、駆け寄って来る者がいた。


「イザベラさん、遅い!」


「フランソワ。馬車を離れたら、駄目じゃないか!」


「だって出発の準備ができて早くこの場所から離れたいのに、イザベラさん帰って来ないのだもの。一体何をしてるの?」


そう言いながらフランソワと呼ばれた少女が、僕の方へ視線を向けた。



「あわわわわわわわわっ!」


「フランソワ、どうした?!」


「おっ、おっ、おっ、おっ、おじ様ーーーっ!!」


「おじ様? もしや、以前王都でお会いしたフリーデン公爵家のお嬢様ですか?」


「はい! 覚えてらっしゃったのですね。私とても嬉しいです!!」


フランソワと呼ばれた少女は、満面の笑みで僕に答えた。



「おっ、お前。私の事は忘れておいて、あの頃から成長して大きくなったフランソワの事は何故覚えてるっ?!」


「ん? さっきイザベラ様、『フリーデン公爵家』って名乗りましたよね? 一緒にいるので、そう思ったまでです」


『ニコッ!』


「そっ、そうか」


イザベラは、焼きもちを焼いた自分の言動に恥ずかしさを覚えた。

またニコルの笑顔に、照れていた。

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