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神様候補の転生者は異世界のんびり生活を所望する  作者: sato
第十章 エステリア王国騒動編(仮)
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第十一話 フリーデン公爵、消える

一週間が経ち、フレデリック・フリーデン公爵が再び王城に現れた。


「グルジット殿。この一週間、良く考えたのか?」


「ああ、考えたとも」


「では早速、返事をお聞かせ願おう?」


「フリーデン公爵、率直に言う。今のままでは、ユミナはやれん」


「どういう事だ?!」


「ユミナには慕っている人物がいる。その人物からユミナの心を奪えたなら、やっても良い」


「慕っている? そんな噂、微塵も聞こえて来なかったぞ!」


「本人が隠していたからな」


「一体、誰だ?!」


「気になるか?」


「当たり前だ。この私の邪魔をする元凶だぞ!」


「良いだろう教えてやる。その人物は、《英雄ヤマト》だ!」


マイクはニコルの名を伏せ、正体が明らかになってないヤマトの名を出した。



「英雄ヤマト?!」


フレデリックの表情は、険しくなった。


「彼は旧王城がガーランド帝国の勇者達に襲われた時、ユミナとバロンそして私を窮地から救ってくれた。その後起こった《魔素爆発》からも、妻ソフィアを含む多くの人の命を救った。他にも数々の功績が確認されている」


「それらは私も聞き及んでいる。肝心なのは二人の関係だ!」


「残念ながら、ユミナの《片思い》だ。だがユミナの想いは並大抵の事では動かせんぞ」


「ん? グルジット殿。いつの間にやら、話しがすり替わってないか? 私は我が領地の《独立》と天秤に掛け交渉していた筈だが」


「ユミナの気持ちは、関係無いと言うのか?!」


「今更そんな事に時間を掛けるつもりは無い。手に入れてから考える」


「そうか。やはりフリーデン公爵に、娘はやれんな!」


「本当に、それで良いのか?!」


「そちらこそ、独立など国が許さんぞ。諦めるなら今の内だ!」


「交渉決裂だな」


二人は、鋭い視線をぶつけ合った。



『バンッ!』


とそこへ、エドワードが扉を開き入って来た。

その後ろには、何人もの近衛騎士が控えている。


「この馬鹿者がーっ! 貴様がしておる事は、《国家反逆》じゃぞっ! このまま城から帰れると思うなーーーっ!」


マイクとエドワードはフレデリックが考えを改めなかった時、捕らえる算段をしていたのだ。



「エドワード様。この私を捕らえると言うのか?!」


「その通りじゃ。そしてお主の公爵位を剥奪するっ!」


「はははっ! やはり、《若王》を自由に操る《陰の支配者》だ。だがこれで、《独立》への決心もつくというもの!」


「この状況で、まだ言うかっ!」


「策も無しに、のこのこと王城へ来んよ!」


「抵抗する気か? 皆の者、この者を捕らえろっ!」


「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」


近衛騎士達は、フレデリックとその護衛の前に立ち塞がった。



「《転移》」


『フッ!』


「「「「「「「「「「なっ!」」」」」」」」」」


「馬鹿な。フレデリックが消えたじゃと!」


「魔法? いや、奴に《空間属性魔法》が使える筈はない!」


「お主等、どういう事じゃ?」


取り残された二人の護衛に、エドワードは尋ねた。



「「しっ、知りません!」」


「本当か?」


「「本当です!」」


「どうやら、嘘ではない様じゃのう」


「ノーステリア様!」


近衛騎士の一人が、エドワードに呼び掛けた。


「何じゃ?」


「フリーデン公爵の指輪が、一瞬光った様に見えたのですが」


「何じゃと! まさか《空間転移》の魔道具を持っていたというのか?!」


「エドワード様。とても興味をそそられる話しですが、奴を追わなくては」


「そうじゃな。先ずは奴の王都屋敷を探すのじゃ!」


「はい!」


この後大勢の兵士を引き連れ、マイクはフリーデン公爵邸に向かった。



「最悪だっ!」


フレデリックは魔道具を使って、フリーデン公爵領の屋敷へと《転移》していた。


魔道具の名は『転移の指輪』と言い、指輪と魔方陣が描かれたプレートが対になっている。

指輪を嵌め『転移』と唱えると、プレートの場所に《転移》できるという代物である。


発見された場所はフリーデン公爵領内の《ダンジョン》であり、公爵家は代々貴重な品を収集していた。


「しかし、子供達を領地に帰らせておいて正解だった」


普通なら王都の学園に通っている子供達は、馬車で領地に向かわせていた。


「奴等が私を捕らえに来る前に、体制を万全たるものにしとかねば」


フレデリックはハッタリで言った《独立》の道を、突き進む羽目になった。

しかし全く考えていなかった訳で無く、《ダンジョンの利権》を王国から奪いたいと常々考えていた。



「あー、早くのんびりしたいなー」


僕は仕入れの仕事を済ませ、王都へ戻る道中にいた。


「ご主人、また言ってるニャ!」


御者台の僕の横には、シロンが座っている。


「レコルが成人したら、仕入れの仕事は任せよう」


「《世直し》はどうするニャ?」


「どうするかなー。僕が『止める』って言ったら、サーシアが『引き継ぐ』って言いそうだしなー」


「ご主人は、反対ニャ?」


「サーシアには、普通に幸せになって貰いたいんだよ」


「それは無理だと思うニャ!」


「何故だ?」


「女の勘ニャ!」


「勘だと!」


『ご主人様。お話し中のところすみません。前方で馬車が襲われてます!』


シャルロッテが、《念話》で話し掛けてきた。


「本当だ。良し、行くぞ!」


『はい!』


僕の号令と共に、シャルロッテは走るスピードを上げた。

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